16-1
◇結
(目の前には虹が描かれたふわっふわの雲形の観覧車。
聴こえてくる音楽はクロード・ドビュッシーの『おもちゃ箱』。曲のせいなのか観覧車が小さなおもちゃ箱のようにみえてくる。
そして甘いキャンディの香りと共にパチパチという弾けた音も聞こえてくる?
そう……ここは。
まだまだまだ遊園地の中の観覧車前。)
パチパチパチ。静電気でバチっと電気が走った時のような音が聞こえてくる。
「に、兄さん。口を閉じて食べてよ。なんか音が痛い感じに聞こえるから」
「え? でもこれはパチパチを楽しむものなのに?」
「口を閉じてでも食べられるでしょ」
「……」
ケイは口を閉じ、頬を膨らませて不貞腐れたような表情でルカをジト目でみる。
ケイが食べているもの、それは綿あめ。結が食べていたものと少し違うのはパチパチするキャンディがトッピングされているということ。食べると口の中でキャンディが弾けるようになり、口に痛みと言うか刺激を感じるものである。
「まったく兄さんは子供なんだから」
「ルカ! あーんして」
「い、いらないよ! そんな子供のお菓子なんか」
「食べないと、夜な夜な悪戯しにいっちゃうぞ!」
「可愛く言ってるけど、それは脅しだからね? 犯罪だからね!」
「じゃあ僕が犯罪者にならないように食べて、ね」とルカの口に無理やり綿あめを押し込むケイ。
(そういえば、今日はケイくんもルカくんも全然絡んでこない。というより、兄弟で仲良しごっこしてる! なんだか和むな~。はっ! なんかこれって素敵じゃない! なんか兄弟っていいな! 私もエマさんに甘えたりしていいものだろうか?)
結はそんな想像をし顔がニヤけている。いつもの妄想少女爆走中な主人公。どんな時も妄想をしちゃいます。そんなマイペースな結なのです。
お読みいただきありがとうございました!
次回もよろしくお願い致します!




