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「俺はヒナが好き」
「だから、私も陽が好きだってば! 子供じゃないんだから駄々こねないの! さあ帰るよ」
「俺の好きはこういうことだよ……」と言って陽は私を抱き寄せキスをする。
さすがの私も驚いて何も言えないまま、顔がボッと熱くなった。こういう時どうしたらいいのかわからなくって放心状態になっていたら、顔と耳まで真っ赤にした陽が私の頭にポンと手を置いて「俺の気持ちわかってもらえたかな……」と眉をハの字にしてじっと見つめてくる。
「うん。わかったよ。私も陽が好き」そう返した。
それから間もなくして、私たちは彼氏彼女の関係になった。
付き合いはじめた時、陽と約束事をした。私たちが付き合っていることは誰にも言わないこと、誰にもバレないようにすること。そして高校に入ったら、苗字で名前を呼ぶこと。陽は理由も聞かず小指を出して「わかった。約束」と言って指切りをした。
私には結が必要だし、結にも私が必要な存在だと思ってもらいたい。けど、私の隣にいつもいてくれるのは陽だけだってわかっていたから、結には悪いと思ったけど私たちは付き合うことにした。陽が私を必要としてくれている、それが本当に嬉しかった。
私の一番ダメなところ……それは結も好きだけど陽も好きってところ。結の隣に私以外がいるのは嫌で、でも陽の隣に私以外がいるのも嫌。結が陽以外の男の人を好きになるのもきっと嫌なんだと思う。そんな最低で我儘の私は大切な人たちに嘘をついて生きている。今もこれからも……。表向きは相手のことを考えているとか偽善者ぶって……本当は自己中心的なだけという理由なのに。
結を好きな人はたくさんいる。結は天然で人のいいところをみてそれを口にする。だから結の言葉で助けられてきている人をたくさん知っている。星もマモもそう。そして陽が私に向ける好きとは別の好きを結に向けていることも知っている。もしその好きが私への好きより大きくなったらと思うと私の居場所がなくなってしまう。
そんな理由で私は陽の一番になることを選んだ。
なのに……私の一番は結。
私はなんで女の子に生まれたんだろうね。
ずっとずっと隣にいたいよ……。




