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それから小学生になって、中学生になって。
結の好きな人も王子様もずっと陽のまま。私は結の心友という存在にはなったけど、私が求めているものにはなれないまま。これからもずっとこうなのかなと思っていた。
そんな時、陽が「今日は三人じゃなくて、二人で帰ろう」と言ってきた。私は結に嘘をついて、陽と二人で帰った。
陽と一緒にいても陽はほとんど話すことはない。けれど私がずっと結の隣にいる様に陽もずっと私の隣にいてくれる。隣にいてくれるだけで心が安らぐ存在、それが陽だった。
いつも私と結の後ろを歩く陽が今日は横に並んで歩いている。子供の頃はよく手を繋いで歩いていたな、なんて思っていると陽が珍しく話しかけてくる。
「ヒナはまだ結の王子様になりたいの?」
陽は私が結の王子様になりたいことも、私にとって結が王子様なのも知っている。
「うん! いつか王子様になって結に認めてもらうんだ」
「結は今のヒナを認めていると思うけど」
「それは心友としてね。そうじゃなくって私に恋しちゃうくらいに好きになってもらいたいんだ」
「王子になるって、好きになってもらうってこと?」
「ちょっと違うけど。尊敬される王子様にはなりたいし、一番好きになってもらいたい」
「なんか、すごい目標だね。俺は今のヒナのままでも十分だと思うけど」
「まだまだだよ。私は王子様でヒーローになりたいの。この人がいなきゃダメって感じの」
「俺にとっては、ヒナは俺の王子様でヒーローだけどな。ヒナがいたから今の俺がいると思っている。いつもありがとう、ヒナ」
「うふふ。こちらこそだよ! 私は陽の王子様でヒーローになれて嬉しいぞ」
「ねぇ、ヒナは結ことが好き?」
「うふふ。当たり前のことを聞かないでよ」
そんなことを質問する割にはこっちを一切見ない。それが陽だね。そんなことを思い、陽と同じに前を向いて歩きながら会話をする。
「そうだね、愚問だったね」とクスクスと笑う陽。
「うふふ。陽ったら面白い」
「俺はね」
「うん」
「ヒナのことが好きだよ」
「うん。知ってるよ!」
そんなセリフもこっちを一切見ないで話しちゃうんだもん。陽はマイペースだよね。と歩き続けていると会話が途切れてしまう。横を向くと陽の姿はなく、後ろを振り向くと陽が歩くのを止めて、じっとこちらを見ていた。
「陽?」と声を掛けても止まったまま。
私は陽がいるところまで戻り、陽の手を取り歩き出そうとすると。




