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「あ~休みが嬉しいはずなのに家にいたくないよ~。姫~ギュッとさせてよ。癒してよ」
こんな感じで結に甘えてしまう。結本人はフリだと思っているらしいが俺は本気だったりする。結の前ではなんとなく甘えられるから、甘えてしまう。
「星の前じゃないし、今は必要ないでしょ?」
「俺は女子っていう癒しが常に必要なんだよ、だからお願い!」
なんていうのは嘘。本当は結っていう癒しが必要なんだ。
「おモテになるようだし、他の女子にお願いしたら」
「俺は大好きな姫にお願いしたいんだよ」
「だから、それは星がいる時のキャラでしょ」
結と二人きりでいられる特別な時間。そんなことを考えていると俺は無意識的に結の唇に触れるか触れないかのキスをしてしまう。
「マモ!」
結は顔を真っ赤にし、両手で口を隠す。
「なんだ! 結も乙女だね」
そんな可愛い反応も出来るんだ!
「(両手で口を押えたまま)なんれ、こんらころするお」
「え? なに? ちゃんと口を開けて話さないとわからないよ」
「なんで、こんなことするの? らしくないでしょ」
結の反応が珍しく可愛いから……キスしたくなっちゃうだろ。
俺は結にキスをしようと顔を近づけると、結は両手で顔を隠したのでガラ空きの耳に優しくキスをする。
「ひゃっ」
結は泣きそうな顔で真っ赤にした耳を両手で隠す。
「あはは。今日の姫は可愛いな」
「そういう感じだから、星に嫌われるんでしょ」
「おっと痛いところを。でもさ、俺も好きな人は選んでいるつもりなんだけど」
「好きな女の子がいるのに、他の子にキスするとか信じられない」
「俺は結が好きだよ」
「それは星がいる時の演じているときのキャラでしょ。今ここでは必要ないことでしょ」
「ねえ、結」
「なに?」
「俺と付き合わない」
「だから……」
「俺は真面目にいってるんだよ」
「……」
「ほとんどの人が俺の見た目を褒めてくれるんだよね。本当の俺のこと理解もしてないくせに。でも結は、本当はカッコ悪い俺を知ってくれているし、俺のことを見た目で判断しないでくれているから。そんな君だから、俺は結が好きなんだよ」
「……」




