プロローグ
「あなたは死にました。」
「あれ?そうなの?」
「驚かないのですか?」
「充分驚いてるよ。綺麗なお姉さんだなって。」
「え?ちょっ…」
「あはは。そんなに慌てちゃうなんて、お姉さんは童貞なんだね。」
「話を逸らさないでください!」
「否定しないって事は事実なんでしょ?」
「そうですけど…」
「で、可憐で初心なお姉さんは誰?」
「その呼び方はやめてください!えっと…私は転生の係員なので名前は覚えなくていいです、それより本題に入ります。あなたは死にました、前世では善行よりも悪行が多かったので、地獄に行く前に罪を軽くする為に転生して償うか、地獄に行き罪を洗い流してから転生するか決めてください。」
「じゃあ地獄行きで頼もうかな。なんならもう転生はしなくていいよ。」
「…何故ですか?」
「あれ?気になる?でも教えてあげなーい!」
「…」
「お姉さんの名前を教えてくれたら教えてあげる。世の中ギブアンドテイクだよ。」
「…ココナ」
「じゃあ転生したくない理由を教えてあげる!一度しか言わないからよーく聞いてね!ココナ!」
「う…うん。」
「転生したくないからでーす!」
「…」
「いい顔してるねー!そうそう!こういう顔が見たかったんだよ!」
「あなたは転生した記憶があるんですか?」
「ないよ?」
「じゃあなんでこんなに落ち着いていられるんですか?」
「これを落ち着いているとは言わないね。」
「冗談はよしてください!」
「あれ?もしかしてココナ怒っちゃった?」
「決めました!あなたは転生してください!今すぐ!」
「だからいやだって…あらららら…」
足元が消えていく。揶揄い過ぎたか。
「また死んだら怒っているココナにはお土産持って来るから待っててね。」
「勝手に死なないでくださいね!そして!もっと素直になってから帰って来てください!ちゃんと説教します!」
ココナの声が遠くなっていく。そもそも転生なんて嫌なんだけどな...