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第7話:失望

それから町の人や、友人、俺の知人に月光の言い伝えについて聞いてまわったがが、全く情報がはいらなかった。

美樹の姉の知識は、そういう言い伝えがあることを知っているだけで、他の情報は知らなかった。

そんな中、俺の前に一人の老人が現れた。

俺のじいちゃんの、氷治[ざいじ]じいちゃんだ。

「どうした、蓮……やつれるているではないか。この町を仕切るわしの孫として、恥ずかしいわ。」

そう、氷治じいちゃんはこの町の町長なのだ。

昨日まで隣町まで出張にいっていた。

「それでなにゆえ窶れているのだ?」

「それが……好きな人が……記憶を失っていて看病しているのと、願いが叶う月光を捜してて……。」

「っ!!蓮、その月光のことを誰から聞いた!」

じいちゃんが、めずらしく驚いていた。

「友達の姉から……。」

「なんと!!この言い伝えをまだ知ってる者がいるとは……うむ、その言い伝えは、本当じゃ。」

!!本当にそんなことが

「じいちゃん!それは、どこにあるの!!」

「うむ、自分の足で捜せ。」

「やっぱりですか。」

予想はしていたが、やっぱり自分で捜さないといけないのか。

「ぅん、ヒントだけやろう。正確な言い伝えはこうじゃ、海の上、満面の月が輝くとき月光下の海の神がそなたの願いを叶えるであろう。これをてがかりに、捜せ。では、これから仕事なのでな。」

そういって、じいちゃんはさっていった。

「満面の月………満月?」

てがかりは、満月だけ。

どうすれば………

「蓮くん!!情報ゲットしたわよ。」

そこには、委員長と美樹がいた。

「今、この町の図書館で言い伝えについて美樹くんと二人で調べてたんだけど、貸し出し禁止の本でその月光は、満月の時に見れるみたいなの。」

「それは、さっき俺のじいちゃんがいってた。あとは、自分の足で捜せって。」

「けど、それだけじゃないんだ。閲覧禁止の本で、ある程度の場所まで割り出せたんだ。」

そういって美樹は、この町の地図を渡してきた。

そこには、海沿いに何箇所か赤で印がついていた。

「これは……ありがとう。でも、どうしてこんな……」

「そんなの、友達だからだろうが!」

「そうだよ、場所を捜す時も手伝うよ。」

「………あ、ありがとう。」

最近、涙もろいな。



「というわけで、満月の日になったわけだけど、佐々木さんの外出の許可、とってあるの?」

「いや、これからだ。」

「随分といきあたりばったりだな。」

よし!っと気合いをいれて、担当医のもとに向かった。

……………………

「ほぅ、佐々木さんの外出の許可を?何故こんな日に。」

担当医は、顔いろを一つも変えずに対処した。

「あいつに、月光を見せてあげたいんです。そしたら記憶が、戻るかも知れないから。」

正直ダメかもと思ったが、担当医はすぐ許可を通してくれた。

「わかりました、許可しましょう。しかし、万が一にそなえて、わたしがついていくとします。」

そうして、願いが叶う月光捜しが始まった。


「あの……どこにいくんですか?」

「願いが叶う月光を見にいくんだよ。」

「あっあの海の水面上が、緑色に光る月光のことですか?…蓮さん」

!?

「見たことあるの?」

「はい。蓮くんを好きになったばかりのとき、一度だけ。」

「場所覚えてる?」

「それは………忘れました。」

病気のせいではなく、本当に忘れたらしい。

「また見たかったんだー、楽しみだな。」

本当に楽しそうに笑う。

そして約1時間。歩き続けたが一行に見つからない。

「みなさん、そろそろ時間なのですが……」

担当医がちょっと同情するような顔で、告げた。

「なっ、もう少し、もう少しだけお願いします。」

その時、辺りが明るくなった。

「蓮!あそこ!!」

美樹が指差すさきには、月の光が海面で反射し、緑色に輝いていた。

その光は、今まで見たことのないほど美しい光だった。

「蓮!」

「蓮くん」

美樹と委員長の二人が声を合わせて言う。

『願い事!!』

お前ら、結構お似合いだな。

っと、こんなことを考えてる場合じゃない。

「どうか、どうか………。」加奈の記憶が戻りますように………。

……………………

その光は、三分くらいで消えてしまった。

「よかったな蓮、見れて。」

「うん、本当によかったね。」

「ありがとう。」

この二人には、本当に感謝しないとな。

「加奈は何をお願いしたんだ?」

「??お願いって、なんのことですか?あれ?みなさんどうしたんですかこんなにそろって。これから、なにかあるんですか?」

!!……加奈?まさか、今のことを忘れたんじゃ……。

俺が、泣き崩れそうになったところを、美樹と委員長に支えられる。

「今、みんなで夜の散歩をしていたところなんです。」

すかさず担当医がフォローする。

確実に、日に日に加奈の病気が悪化していた。

「では、病院へ帰りましょう。」

そうして病院へ帰った。

ここで、一つの疑問がういた疑問ではない。以前から気付いていていながら、担当医に聞くことの出来なかった疑問。

〜加奈の病気って一体何なんだ?〜

俺は、担当医のもとへいった。

「先生っ!!」

担当医は、わかっていたかのように即座に振り返った。

「加奈の、加奈の病気は一体何なんですか。」

担当医は、決心をつけたようにひと呼吸いれ、淡々とした声で病名を告げた。

「佐々木 加奈さんの病院は、……脳腫瘍のうしゅようです。」

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