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第4話:噂の果てに

友達記念日以来、2人でいろんな所に遊びに行くようになった。

隣町の水族館に行ったり、スイーツ巡りをしたり。

学校でもよく話すようになった。男女混合の班の場合は、なるべく組めるように配慮した。

そんな関係だったためか、学校では、俺と加奈ちゃんが付き合っているのではないか。という噂が流れ始めた。

俺も加奈ちゃんも、別に噂は所詮噂だ、と思って気にすることもなく今まで通り生活した。

たまに2人でいるとき、噂を耳にした生徒が本当かどうかを聞いてくると、加奈ちゃんは、満更まんざらでもない反応をした後、全力で否定するのだ。

そんな反応を見て、質問した生徒と俺は、互いの顔を見て苦笑するのだった。

しかし一方で、その噂を妬ましく思う輩がいた。

加奈ちゃんに好意を抱いている生徒だ。

加奈ちゃんは、自分を過小評価してみんなから好かれていない、なんて言っているが実は、すごく美人である。

顔はいいし、肌は色白、大人しくて優しい、面倒見がよくて、成績もいい、まぁ世に言う大和撫子っていうやつだ。

だから、男女問わず結構人気がある。

女子の方は、あたたか視線で見てくるだけですむのだが、男子の方はそうもいかず、俺は高校生とは思えないちょっとした嫌がらせを受けていた。

嫌がらせを受ける度、加奈ちゃんは、泣きながら謝ってきたが、高校にもなって小学生並の嫌がらせで精神的にまいるわけはなく、そんな嫌がらせをされる日々は数日続いた。

俺と加奈ちゃんの関係を妬ましく思う輩の中に、俺の親友の[榎本えのもと 美樹よしき]がいる。

嫌がらせはしないが、関係がぎこちなくなった。

そんな関係が嫌だったのか、放課後話があるから加奈ちゃんと2人で来てくれと伝言があり、今屋上で加奈ちゃんと2人で待っている。

「……美樹くん遅いねぇ〜。」

「ああ、そうだな。」

本当に遅かった。

特に時間の指定はなかったが、そろそろ来てくれてもいい頃合いであった。

もうすでに辺りは夕焼け色に染まり、校庭では野球部が練習に情をだしている。

そろそろ時間も時間なので、2人で帰ろうとしたとたん

バンッ!!

ドアがいきなり開いた。

そこには、息をハアハアときらした美樹がいた。

「〜っハアハアッ、わ、悪い。サッカー部の先輩に、ちょっと頼み事されて遅れた。ハアハア。」

美樹は、サッカー部である。しかも1年からレギュラーで、ジュニア・ユースにも選ばれる程の実力があり、先輩からは頼りにされてて個人レッスンに付き合わされることが、間々あるようだ。

「ハアッ。じゃあ早速本題にはいるけど、お前ら付き合ってるの?」

最初は、そこかららしい。

「そ、そんなことある訳無いじゃん。」

何時も通り加奈ちゃんがそう答える。

「本当なのか?蓮。」

「ああ、本当だ。今までも、たまに遊びに行く程度な付き合いだ。」

「そうか………。じゃあ加奈ちゃん、俺と付き合って下さい!」

!?、いきなり美樹が告白をした。

加奈ちゃんは、どう答えるのだろう。

「………あの、その、」

ちょっと戸惑った表情になって、答えに苦しんでいた。

ズキッ! ?なんだろう、このモヤモヤした気持ちは。それは、今までに感じたことのない感覚だった。

「ご、ごめんなさい。私は、蓮くんじゃなきゃ駄目なの、蓮くんがいいの。」

!! 恥ずかしさと、嬉しさのようなものが込み上げてきた。

隣を見ると、美樹が苦笑していた。しかし、その苦笑の中には、何か、あたたかいものを感じた。

「実は、知ってたんだ。加奈ちゃんが、蓮のことが好きだって、小学生の頃から。けど、蓮は鈍感だし、片思いの時間が多ければそのうち蓮への想いを忘れてくれると思ってたんだ。けど、時間がたてばたつ程想いが強くなってるなんてな。本当にいい子だよ、加奈ちゃんは。」

………美樹……お前も相当加奈ちゃんを……。

「蓮!!」

不意に声をかけられて、びっくりした。

「な、なんだ?」

美樹は、今まで見たことのないような表情で

「お前は、加奈ちゃんが好きか?」と、聞いてきた。

「えっと…………。」

今まで友達で通してきて、一番大切なことを考えていなかった。

………俺は、加奈ちゃんをどう思ってるんだろう?………

……わからなかった。

「……わからない。」

「はぁー。全く蓮は、何時も何時も、何で肝心な所が抜けてるんだろうな。他人の気持ちを考えて行動するのはいいが、もっと自分の気持ちにも、素直に向き合えよな。」

………自分の気持ちに素直に……。

「まあお前のことだ、時間が必要だろ。ゆっくり考えるといい。でも今度の週末の夏祭りくらいまでには、考え、まとめて加奈ちゃんに言えよ。じゃあ、俺これからバイトだから。」

そういって美樹は、学校をあとにした。

………気持ち……。

「れ、蓮くん、そろそろ帰ろう。」

加奈ちゃんは、悩んでいる俺に優しく声をかけてくれた。

「……うん。」

そして、加奈ちゃんを家まで送った。

「送ってくれてありがとう。じゃあね。」

このまま帰らせては、いけないきがした。

「加奈ちゃん!俺、絶対夏祭りまでに答えだすから、必死に考えて答えだすから。」

「蓮くん……。うん、わかった待ってるね。」

そうして俺は、家へ帰り、いろんなことを考えながら眠りについた。

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