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大学。そこは馬鹿の巣窟

 カーテンの隙間から入り込む光。

 まだ肌寒い朝は布団から出る事がためらわれる。


『朝ですよ』

「そっかぁ、ありがと」


 眠たさで目が開かない。だが今日は学校だ、起きなくては。

 身体を伸ばし、眠気を覚ます。

 連日の手合わせで、寝ても疲れがとれない。


「綱~起きた?」

「起きた、起きた——って何でいる!?」

「美人が起こしに来てくれたんだぞ、ありがたく思いなよ」


 朝から、部屋に不法侵入か。驚きで目が覚めたわ。


「ツクモいるから大丈夫なんだけど」

「ツクモだけで目が覚めてないんだもん。時間知ってる?」

『今、8時ですよ』

「やべぇ! ツクモとアメノ助かった!」


 朝食を取る暇も無く、身支度を直ぐに済まして、家を出た。





 何とか時間には間に合い。出席扱いになった。

 ……代返できたら楽なんだけど、この教授は無理だからな。


 2コマ分、授業を受け終わり、昼食を取るため、友人と食堂へと向かった。


「よく間に合ったな、竜」

「ギリギリだったけどな。お前が上手い事、代返してくれたら、急がなくて済んだんだけど」

「あの人は無理だからな」


 祐介と他愛もない話をしていると。肩を叩かれる。


「おう横田。何だ?」

「お前、美人と同棲しているらしいな」

「はぁ?」

「横田それは本当か?」

「事実だ。確認してきた」

「いや、本当に何の話ししてるのかわからん。てかどこから湧いた、木村」


 突然、何言ってんだこいつは。

 さっきまで近くに居なかったのに、木村が突然話しに飛びこんできた。

 そういった話しに敏感とかそんなレベルじゃないぞ。


「しらばくれてんじゃねぇ!! 証拠はあるんだよ」


 そう言って、写真を見せつけてくる。

 ——これは、まさか。


「こんな美人と一緒に家に帰ってるのを確認してんだよ!」

「……なんだと!? 竜之介のくせに」

「いや、その人とはお前らが羨むような関係ではなくて……」

「嘘をつくな。知っているんだぞ、これ以外にも肩を組んでいる写真があるんだぞ」

「何で持ってんだよ」

「裏切りかどうか見極めるために後を付けた」


 アメノか…… あいつ何かと俺の災いの元になるな。

 しかし、付けてくるとか気持ち悪い。

 しかも、肩を組んでいるってあれは、手合わせでボコボコにされすぎて立てなくなったから、肩借りてるだけだしな。


「本当に、その人とは何も関係なくて」

「あくまでシラを切るつもりか。いいだろう」


 少し黙って、スマホを操作する。

 何だ、まだ写真でも持っているのか。

 すると、メッセージアプリの通知音が鳴った。

 何だ? 直ぐに確認する。

 グループに送信されたのは先ほど証拠として見せられた写真。


「お前、まさか——」

「その通りだ」


 やりやがった。このままだと鬼以外の原因で人生を終える事になる。

 急いで、食堂から逃げだそうとするが、遅かった。

 すでに増援は、入り口から流れ込んできていた。


「竜之介く~ん?」

「良い身分だなぁ」

「男ばかりの学部で、夢も希望も失った俺たちに対しての当てつけか?」

「違う! これは誤解がある」


 てか、学部内で出会い求めんなよ。ただでさえ男女比がひどいのに。

 外で探せ。だから無理なんだよ。

 って言いたいが、そんな台詞ここでは火に油を注ぐような物……

 今から1つの選択も間違えられないぞ。言葉を選ばなくては。


「幼馴染も、妹もいて更にこの所行。万死に値する」

「お前らの基準おかしくないか……」

「幼馴染もこんなに可愛いのに貴様っ……!」


 何で泣くんだよ。


「待て、唯の写真までどこで手に入れた」

「坂上がくれた」


 祐介を見ると後ろでにやにやとしている。

 クソ野郎が、人がどうなるかわからない状態なのに楽しんでるな。

 あいつは、絶対殺す。写真の件は唯に報告してやろう。


(……ツクモ)

(何でしょう?)

(祐介の写真と適当な女性の写真を上手く合成できるか?)

(出来ますが……)

(なら、恋人っぽく合成して、出来たら写真をグループに張ってくれ)

(いいんですか?)

(かまわない、出来るだけ速く頼む)


 ため息をつきながらも仕方ないですねと残し、作業に入った。

 よし、後は時間稼ぎだ。


「木村! 縄持ってるか」

「まかせろ、シャベルと軍手も準備している」

「よくやった。お前らこいつを埋めるぞ!」


 うおぉぉ!と野太い雄叫びが上がる。

 クソ、どうする。次の手を考えろ。


「待て、祐介も唯と幼馴染だぞ」

「かまわん。こいつが情報提供者だからな」

「クソ野郎!」

 

 こいつ、自分に矛先が向く前に、先に友達を切り捨ててやがった。

 だから、あれだけ余裕があったのか。

 しかし、今に見てろ。天罰が下るぞ。


「何か言い残したい事はあるか」

「処刑宣言じゃねぇか」


 まだか、まだなのか……

 すると、通知音が鳴った。

 助かった、これで逃げられる。


「横田これを見てみろ!」

「——これは!」


 ツクモが作り上げた、祐介と謎の女性とのツーショット、背景は夜の歓楽街。

 背景は指定していないのにこれを選ぶとは、中々悪いな。

 完璧だ。これで、矛先は奴に向く。


「待て! こんな人知らないし、行った事もないぞこんなとこ! 竜、なんだこれ!」

「俺が一人で死ぬと思うなよ」


 必死に誤解だと言い張り、抵抗するが、その言葉があいつらに届くわけがない。


「「「坂上を血祭りに上げろ!!」」」

「これは、作られた物だ! 俺は知らん!」

 

 先ほどまで俺に向いていた、怒りは祐介へと向いた。

 この一瞬を狙い、食堂の外へと逃げ出す。

 後ろで悲鳴が聞こえたが、気にしない。人を売るからそうなるのだ。


「助かった。ありがと」

『あれで良かったのですか?』

「大丈夫。当然の報いを受けただけだから。それにしても背景まで完璧だった。凄いな」


 申し訳なさそうに、でも少し照れくさそうにしているツクモ。

 あんなクズは捨て置くのが良いのだ。


 今日はこれ以上、何もないし。あいつらに絡まれる前に早く帰るか。

 急ぎ足で帰路についた。





 バイトの準備を終わらせ、仕事場へと向かう。

 先にレジに入っていた。アメノと出会った。


「結構な頻度で入ってるけどしんどくない?」

「楽しいから問題ないよ。 住まわせてももらってるし」


 アメノはほぼ毎日、レジに入ってる。

 楽しいか、そりゃ良かった。

 てか、横田達に写真撮られたのって、あいつら元々アメノ見つけて付けてたからか? 確かに見た目だけで言ったら、美人だけれども。


「何か、難しい顔してるね? 考え事?」

「いや、大学の連中からお前と住んでるって事で殺されかけたから」

「そっか、楽しそうな学校だね」


 あははと笑うアメノ。

 どこがだよ、とため息をつく。


「家に来るときは、隠れといてね」

「なんで?」

「ややこしくなるから」

「よくわかんないけど、わかったよ」


 すんなり受け入れてくれて良かった。


「今日の手合わせはツクモとやってね。今日私が入ってるのは綱の代わりだから」

「そうなんだ。てか、どうやって?」


 今日はバイトの代わりに手合わせって事か。


「ツクモ出てきて」

『かしこまりました』


 スマホが光り、ゆっくりと人型を成していく。


「ちょっと待って、裏行くから!」


 直ぐに裏に入る。待てあんなところで、出てこられたら、色々と面倒だ。

 出てき方は、この有名なテレビから出てくるあれとは違い。すっと人になった。

 スマホの中の時の映像と同じで、女子高校生ぐらいの見た目だった。


「凄くないですか? こんな事出来るんですよ」

「凄いすぎて、訳がわからなくなる」


 手合わせって事は、何かあったらこの見た目の子に攻撃を入れるって事か……

 すっごくやりにくいな。


「不安ですか?」

「当ててしまったらって考えると……」

「そのことなら気になさらず」


 にこっと笑う。めっちゃ可愛い。

 ……じゃない、待てさっきの発言は、攻撃当たらねぇぞって事だろ。なめられてんな。


「お庭でやりましょう」

「了解」


 見とけよ、絶対当ててやる。

 煽りで罪悪感など無くなった。そして、手合わせに挑んだ。





 結果は分かりきっては居たが、一撃も与えられず、一方的にボコられた。

 アメノより手加減がなく、隙がある度に攻撃を入れられ、立てなくなるほどボロボロにされた。


「強いな……」

「これでも、アメノ様に鍛えられましたから」

「肩貸して」

「仕方ないですね」


 肩を借り、家へと入る。


「痛っ」

 

 手合わせで食らった、傷にお湯がしみる。

 毎日、こんな感じになるのか……

 生きるために仕方ないとは言え、流石につらいな。


 大学の馬鹿どもから言われたが、確かにアメノは美人だよな……

 何だかんだで、戦いに集中しやすいようにサポートをしてくれているのか。

 普通に出会ってたら惚れてるかもなぁ。

 まぁ、クソな部分が目立ってしまってるから今は何も感じないのかもしれない。

 そういえばあいつの事何にも知らないよな。


 そんな事を考え風呂から出て、布団へと入った。

 疲れからか、そのまま死ぬように眠る。


 そして、1日が過ぎ去っていった。

大学生っぽくしてみたかったです。しかし、難しかったので馬鹿を出す事にしましたすみません。そろそろあらすじ通り鬼狩れやって思ったので、次回は鬼狩れたら良いなって思ってます。

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