外出。つまり買い物
「疲れた……」
帰宅し直ぐに、ベッドへ倒れ込む。
授業も連続して何時間も受けるとなるとしんどいな。
あの寝たら駄目な雰囲気、めっちゃ見られてる気する。
休息の状態に入るが、扉がノックされる。
「勝手に入って~」
一々出るのが面倒くさい。今日はこのまま寝てしまいたい。
「もう死んでるね、だらしないぞ」
「肉体的より精神的に疲れた」
「男らしくないぞ」
「女だよ今は」
扉を開け、アメノが入ってくる。
入ってきてすぐに嫌みか、しかし、苛つく体力すらない。
「で? どうだった?」
「どうって、何が?」
「鬼がどこにいるか目星付いた?」
「わかんない。ってか馴染むのに必死でそれどころじゃなかった」
そういや、そんな事で潜入してるんだよな。すっかり忘れてた。
そもそも、気配とか元々わからないし、目星もクソもないけどな。
『微かに気配があるのでいるのは確実ですね』
「やっぱりいるんだ、あとはどうやって引きずり出すかだね」
『そうですね。やはり、気付かれないよう呪いを掛けるのが最適だと考えます』
「なら、鬼と関係者のみ外に出られない呪い作るしかないね」
アメノとツクモが淡々と話を進める。
この会話だけ聞いてると、信用できるんだけどな……
「よし、ならその方向で行こう」
『その間に目星は付けておきます』
「了解。じゃ綱、今から手合わせね」
「は?」
今からは、もう疲れで身体が動かないぞ。
ある程度戦えるようにはなってるんだし、高校生活慣れるまで休ませて欲しいんだが。
「その身体で一度も戦った事無いでしょ?」
「まぁ、そうだけど」
「その身体に慣れなきゃ」
確かに、この身体で生活したのは1日も経ってない。
若干の違和感あるから、慣れなきゃけないのはわかるけれど……
なんせ今日は寝たいんだよな。
「この服装でやるの?」
「実際戦うときは制服でしょ?」
「手合わせぐらい動きやすい服装でやらしてくれよ」
「それしかないんだけど」
おい、マジか。
むしろ何故、制服と下着買ってはくれたのに、私服を準備してくれてないんだ。
寝間着は別に誰に見られるわけでもないから、現在使ってるのでも良いけれども。
「よし! 今から服買いに行こう!」
「は? いやいや、寝たいんだけど」
「手合わせか買い物か選びな」
どっちに転んでも寝る事は出来ないのか。
今から、痛い思いしたくないし。でも外歩きたくもないし……
そんな事をうだうだと悩んでいると、突然扉が開く。
「話しは聞いた! 今すぐ行こう!」
「びっくりした! 突然何!?」
「服買いに行くんでしょ!?」
勢いよく鈴が入ってきた。
どこから話を聞いたのか……
それにしても生き生きしてるな。
「なら、買い物って事で」
『わかりました』
何故か話しが次々と進む。
今になってやっとわかったが、基本的にこいつらこちらの意見は聞いちゃいない。
周りの意見は受け入れるのにな。なんだこの扱いは……
鈴とアメノに脇を抱えられ部屋から連れ出された。
✩
「もうよくない? ジャージあれば良いんだから」
「まだ、これも着て!」
そう言って試着室に押し込まれる。
ほとんど着せ替え人形のような扱いを受けたため、何着試着したか覚えてない。
そのおかげと言っても良いのか、ほとんどの種類の女性服は一人で着られるようになった。
……嬉しくはないな。
「こんなもんかな!」
「いや、十分でしょ。いつまで着るかもわかんないんだし」
「ほら、あとで私が着れるから」
こいつ、服買いに来た理由の大半それだな。
山ほど服を買う妹に全てゆだねる。
ファッションは全くわからないし、考えるのも面倒くさい。
遠い目をして買い物に付き合っていると、ツクモから話しかけられる。
『竜さん鬼の気配が』
「マジか、どこで?」
『近くですね、アメノ様にももう伝えているので、そろそろ呪いが展開されるかと』
このタイミングか。流石に着替えをしなきゃな。
「そういえば充電大丈夫?」
『そんなに余裕はないですね』
あまり長丁場になると負けるな……
てか、唯か祐介呼べば良いのに。……いや、この姿は見せられまい。
『竜さん、アメノ様から「今回は物壊しても大丈夫だから50分は好きに暴れて良いよ、あと人払いはもう掛けたから」とのことです』
「呪いの効果は50分か、了解です」
あいつ、仕事はちゃんとするんだよな。当たり前だけど。
説明も仕事の範疇だと思うけどね。
「鈴、もうよくない?」
「そうだね」
思ったよりすんなり言う事聞くな。
これが、人払いの効果なのかな。
店から、妹を遠ざけ、服を着替える。
やっぱり、制服より私服の方がいいや。
さ、鬼を見つけなきゃな
人気がいなくなった、店内を歩き回る。すると、男が一人立っていた。
明らかに怪しい。が、万が一、一般人だったら攻撃するわけにもいかない。
「あの~、すみません——ってあぶな!」
振り返ると共に刀を振り下ろしてきた。
挨拶もなしに攻撃か。こっちが何者でもお構いなしか。
もしくは気配とやらでもわかるのかも。
『何してるんですか……』
「挨拶はするでしょ!」
『鬼の気配が凄かったですよ』
「わかってたら言ってよ」
わかってて黙ってるとか、こいつも、中々ひどい奴だな。
迷わず、反撃したいが、刀を出すべきか。
刀を出し、反撃に出る。
一瞬の隙、いける。
刀を振りかぶり、首を狙う。
仕留めた。と思ったが刃先のみが相手に触れる。
目測を誤ったのか…… 嫌違う。
腕の長さが変わっていた事を頭に入れていなかった。
「もう、やりにくいな!」
今の元のサイズなら確実に仕留めれたのに。
だが、ぐだぐだ言ってても意味が無いな。
このサイズで戦いきらなくては。
こうして3回目の鬼との戦いが始まった。
学校とバイトで更新速度落ちてますが、完結するまで逃げる気はありません。よろしくお願いします。
次回は鬼との戦いです。




