第1話 魔族?自分が?ふーん、あっそう(汗)
不定期更新なり。
おもしろいゲームがいっぱいなり。
みんなアポコラボ頑張った?僕はねぇ。うーんと。
脚の筋トレしながら周回していたよ。
「つれぇ。」
出口へと続く一本道を歩くこと三日、その間飲まず食わずの状態が続いた。
空腹を耐えながら歩くことの苦しさは勇者時代の訓練よりも辛い。
ふふっと笑いが不意にこみ上げる。
「(いや、やはり訓練のほうが辛かったな。)」
思い出せば、寝ずに重労働ってどんな筋骨隆々としたやつでも無理があるぞ。
そんなことを思いながら歩くこの道、だがそれももう終わる。
出口へと向かうその歩みが不思議な気持ちと共に速める。
目指した場所から差す光がだいぶ大きくなりその距離が認識できるほどまで近づいた。
棒のようにほぼ感覚のなくなった脚を前に動かし、魔族(?)になってからのスタート地点に向かう。
数分後、出口へと達成した男が一人ポツンとそこ立っていた。だがそれを喜ぶ元気はない。
「され、着いたけどどうしよう。」
着いたはいいけど判断に迷う森の中。
食料はどうしようかと考えながらとりあえずその場を歩き始める。
休むことも仕事と言うが今は歩いて食料や飲み水を探すことが仕事だとはっきり分かる。
木の実や茸があるかを確認するために無意識に辺り一面を見ていた。
「そんな都合よく食料が見つかればわけもねぇか。」
よし、順番は食料よりも水が先決だ。
歩を進めるその足が一つの考えが沸き上がったために停止する。
「(歩く風貌は悪魔のごとしというより魔族だろう。 そもそも最弱か最強かすらもわからない、こんな状態でもしも騎士団や冒険者に遭遇したら非常にまずいな。)」
現実的に見れば安易に動くべきではないと悟る。
食料や水を手に入れるには山や森、海でも採取できるだろうがそれよりも手っ取り早いのは街を見つけてそこから奪取することだ。
自身の体が悪魔なのであれば勇者の時と違い悪事を働いてもなんら問題はないだろう。
最終的には騎士団や俺をしごいたあのイカツイおっさんがおっかけてくるだけだ。
「(あの面子が俺を嬉々として殺しに来るのか・・。)」
考えただけでもゾッとする。
「いかんいかん!俺よ、割り切れ!お前は魔族になったのだ!二回目の人生を・・人生?まぁいいや!生き残れ!」
自身の視界に捉えている尻尾から魔族になったのは分かりきっていることだった。
あの長い通路を歩いている最中に決めたことだが単純に割り切った。
だが、やはり鏡で自分の顔を見ない事にはなんとも言えないため割り切れない部分もあった。
「助けてぇ!」
しれっと割り切ったその数瞬の内に甲高い声が聞こえた。
何事かと思い声が聞こえた方に歩き始める。
こんな森の中で悲鳴が聞こえるなら、盗賊か野党に襲われている村人だろう。
とりあえず様子見のために行って駄目そうなら無視しよう。
徐々にその声は複数名であることが分かってきた。剣戟がぶつかる音が聞こえ、鉄の匂いがしてきた。
視界に捉えたその様は分かりきっていたがさも当然の如くいままでイベントの一つとして処理してきた内容だった。
「・・・やっぱりね。」
想像のとおり村が襲われていた。
盗賊の頭らしき男が指揮を執りながら、切りかかってくる農民を逆に切り殺し周囲を警戒している。
指揮をされた部下が女子供の体を縛った状態で馬車に一人ずつ入れていく様が遠目で見えた。
統率され且つ洗練されているのが見てよくわかる。さながら秒速で札束を数える事務のようだ。
動きを見続けてから1分ほどで盗賊はほくほくした顔で帰っていった。
あれは相当数やっていないと村一つを蹂躙できない。時間が早すぎることから下見も一度や二度はしたのだろう。
村人のことなども露ほども思わず、盗賊が引き返した音が止んだことを見計らい村に入った。
「まぁ酷い。」
隣にぽっちゃりしたおばちゃまがいれば『ちょっと!奥さん!』と言った後に続けたくなる一言をいいながらその惨状を見る。
頭蓋骨を割られ脳みそが飛び出て死んでいる者、その周囲に血溜まりを作りながら倒れている青年もいれば、首から上がない死体もあった。
その倒れている死体をジャンプで避けたり、踏んだりしながら通り過ぎ家の中を物色し始めた。
狙いは一つ、食料だ。
盗賊といえども家の中までは見ていないだろうと見越して食べられるものを探す。
だが、なにも見つからない。どこの家を見ても食料が一つも見当たらなかった。
「ちくしょう!一つぐらい食料落としてから帰ってけよ!!」
膝を床に着きながら大声で叫んでいるとガサっと家の奥から聞こえた。
すぐさま身構え音をした方向を見る、後方にも気を配りながら前進する。
息を殺しても数分間静かにいればさすがに分かる。
人は緊迫の状況下で鼻で息をして息を殺すことがある、だがあれはここに自分がいますとアピールしているのも同様だ。
本当に息を殺す場合は口を大きく開けて息をする方が呼吸音がしにくく、また呼吸を整えやすいのだ。
位置を用意に特定できた俺は呼吸音のする方向に向かって用心をしながら近づいた。
音のする場所は台所の収納棚の中からだった。
そっと開けると中には小さい妹らしき茶髪で短髪の子と十五歳ほどと思われる顔が綺麗に整った女性がいた。
空色と言えばいいのか分からないが蒼味がかっているが透き通っているようにも見えるその髪にほぉと思わず声が出てしまった。
「・・・・!!!!!」
目を瞑って妹を抱いて守っている。一方、守られてるほうはこちらをじっと凝視していた。
なぜか少し面白かったのでじっと見入ってしまった。
扉が開いたのに何もないことを不思議がり女性がこちらをチラッと見た。
「ヒッ!?」
瞬間、なぜか立とうとした為ゴンッと頭を打ち頭部を押さえながら痛がった。
「ひでぇな。俺はただ見てるだけだぜ?」
始め俺は会話から入り、できれば食料を恵んでもらおうと思った。
だが、いくら自分が飢えていようと自制心が奪取することを止めた。
先の戦闘では自分自身が魔族としてどの程度強いのか分からないため見ているだけだったが、少女から物を奪うぐらいならわけもない。
だが、いくら少女がいたと言ってもその体系はかなり細っており、満足に食事がとれていないことが分かった。
さすがにそんな少女から食料を奪取、もとい恵んでもらうわけにもいくまい。
生きるために自分優先で考えていたのに今更その現状を見ただけで他者優先になるとは本末転倒だ。
「おい、黙ってたらわからないだろう。うんとかすんとか言えよ。」
「・・・っすん。」
一瞬ふざけてると思ったがすぐに違うことに気付いた。
返答ではなく少女の鼻水を啜る音だったようだ。
よく見れば返答以前に息を殺して泣いている。
まぁ、盗賊に攫われるか殺されるか考えたところに魔族登場だから怖がるのもわけないのだが。
とりあえずずっと収納棚に居られても困るので腕を掴んで無理やり引きずり出した。
腕を掴んでからずっと泣き喚き続けたが「うるさい!」と怒鳴ると鼻を啜りながら沈黙した。
「はぁ、あー、信用ないと思うけど俺はお前らを殺さないし、攫いもしない。とりあえず飯をくれ。」
先ほどもらわないとか考えておきながら突発的にでてしまった。
思わずでてきた言葉に自分自身でびっくりしながらもとりあえず回答を待つ。
「・・・ごめんなさい。ごはんはないの・・・。」
一緒に引きずり出した妹を抱きしめながらボソッと呟くその口調は非常に弱々しく見えた。
自分の命と妹の命を助けるために必死になって捻りだした回答なのだろう。答えたきり黙りこくってしまった。
「あー今のは失言だった。だが、食料が一つもないなんてことないだろう?少し遠目から見ていたがあんな短時間で食料が奪われるわけがない。どこかに備蓄していないのか?」
たぶんこの家には食料はないのだろう。分かりきってはいるが一応聞いては見る。
理由?分けてもらう+もし鍵が掛かっているなら俺が壊す役目を担うからだ。
こんな小さい子に鍵を壊す役目を与えても意味ないからな。
「っっ!!!」
途端、二人がこちらを睨み始めた。
その目には力が籠っている。俺も何度か見たことのある目だった。
なぜ助けてくれなかったの?と訴えかけてくるのがよくわかる。だが、傍から見ればおかしいことには一目瞭然だった。
だが、魔族に助けを求める人間がどこにいる?
少女たちの目には恨み、憎しみ、怒りが見て取れる。というよりさっきから妹さんが睨む前から凝視し続けていて怖いんだけど。
「おぉ、怖い怖い。それで?お前達は睨んだ後どうするんだ?」
その目にあった力が徐々に弱くなり、そして俯いて再び泣き始めてしまった。妹さんのほうはまったくかわらないし。
このままじゃ埒があかない。
二人の少女を発見した俺は溜息混じりにしばらく動かず静かに待つように強い口調で言う。
そして歩き出し、家の出口へと向かった。
「はぁ、とりあえず行くか。」
とりあえず方針が一つ決まった。食料をあの子たちに聞いても仕方ない。
さきほど盗賊がすべて持って行った可能性も含めて奴らに聞くか。逆に奪取したほうが賢明だろう。
「とりあえず、道中動物にあったら自分の力を試しがてら盗賊の捜索だな。」
歩を進めながらそんなことを独り言で呟く。
だが、この時気づかなかった。
少女が抱きしめていた妹が、じっと凝視をしている理由に。
あとがきって何をかけばいいのだろう。
ストックも作ってはいないんだよなぁ。
だけど今後の進展ははどんどんメモ帳に埋まっていくんだよなぁ。