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末席魔王。オーリス・ロイスは今日もサボりたい。  作者: 嘘つきな猫
第5章 序列変動 編
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思惑と理解

おひさです。


「ようやく帰って来たか。この大変な時に今まで何してたのやら。アオスすまないが坊主に話があるから私の部屋に来るように言ってもらえるか」


「なんのお話…って内容を聞くのは無粋ですね。男同士の話し合いですものね」

「理解のある妻を持って私は幸せだな」

「あら。それなら今度欲しい宝石があるので愛してる妻にプレゼントして下さいね」

「ははは…は」


「ディア、あの子の出迎えに行きますよ」

「はい、お母様!」


2人はオーリスとイースを迎えに部屋をでた。

入口にはイースを背負った煤だらけのオーリスがポツンと立っていた。


「あっ。今帰りました」

「どうでした?楽しかったでしょ」

「楽しい?色々あって大変でしたよ…」

「そうですか。とりあえず今はゆっくり休みなさいと言いたいところですが」

「えっ!まだ何かさせる気ですか!?無理ですよ!気力も体力も底を尽きて」

「気力、体力が無くても根性と愛があるでしょ」

「俺に精神論なんて言われても…。それに愛と言われても意味がわかりません」

「まったく。鈍い男は殺されますよ」

「俺は誰に殺されるのでしょうか?」

「身近な相手に後ろからぶすりと。なんてね」

「いやいや、まだ俺、死にたくないんですけど…」

「あなたは簡単に死にませんよ、安心なさい。それより旦那が呼んでましたよ」

「おっさんが俺に?なんの話ですか?」

「内容は聞いてません。ただ男同士の話だと思いますよ」

「お断りしてもいいですか?」

「断るなら本人に直接言いなさい」

「ですよね…」


この場からどうにか逃げられないかと模索するオーリス。

その時ちょうどアオスの背後に隠れていたリアを見つけた。


「あっ、リアいたのか!元気だったか!」


話をそらしてアオスの元を離れようとするオーリス。


「当然、私はいつでも準備中ですからね!」

「そうか!よくわかんないけどそれはよかった!」

「よ、よかったって…それじゃぁ…そろそろって事よね…」

「そーだな!そろそろだな!」


リアは頬を赤らめた。


「本当に噛み合わないんだから…。娘を使って逃げようなんて考えてないではやくお風呂にでも入ってきなさい。旦那は部屋で待ってるはずよ」


クソッ!

このババァは心の声が聞こえてるのかよ!


「あ゛?」

「いえっ!なんでもありませんお姉様!!あ、こいつ疲れて倒れたみたいなので宜しくお願いします!それじゃ!」


「お父様と話を…来たのね…この日が!」


リアの勘違いと妄想はどこまでも進み続けている。

その勘違いと妄想が実現する日は近い??


ひとっ風呂浴びて珈琲牛乳片手にアマドの部屋の前で立ち止まり扉をノックした。


「入れ」

「はーい。失礼しまーす」

「なんて格好しているんだ」

「着替えなかったし、見られても別に気にしないので」

「まぁーいい、とりあえずそこに座れ」


アマドの顔がいつもより真剣な気がする。


「ふぅー。さて何から話せばいいやら」

「いや、話さなくていいです」

「そうも言ってられない状況だ」

「どうせ面倒事なんでしょ」

「面倒と言うよりは危機的状況だな」

「そうですかお疲れ様です。私はこれから自分の家に帰るので頑張って下さいアマド様!じゃっ!」

「こらこら…そう急ぐな」


部屋から出ようとするオーリスの襟を掴むアマド。


「いいか、私では無く危機的なのはお前の方だ。正確にはお前とお前の領地って事になるか」


アマドは今起きている事をオーリスに説明した。


「すみません。言ってる意味がわからないのですが」

「話聞いてたか!?」


アマドは人間軍と結託し魔王達の話オーリスに聞かせ、ロイス領もその対象だと再び簡潔にオーリスへ伝える。


「あらら!随分面白い事になってじゃないですか」

「この状況で焦らないとはな」

「焦る?ないない。それはありえないって、なにしろ俺が居なくてもうちの連中は俺より呆れる程優秀だからまったく問題ないから」


オーリスは余裕の表情でアマドに答える。


「それなよかったのだが…」

「え?何か問題でも?」

「ロイス領は人間達の手に落ちたようだ」

「マジでっ!フフルさんやサーシャ達…は大丈夫か」

「部下に見にいかせたが領地内のどこにも魔族は見つからなかったと」

「…これで俺は自由だな」


オーリスは顔を緩ませて笑った。


「とは言え、うちの4大貴族様がたは何してんだ。人間とかファウス1人でどーにでもなるだろ」


「そのファウスだが。人間軍に寝返った」

「いやいや、ないない」

「それだけならまだしも裏切った魔王を束ねているようだ…」

「ない…よね?」

「残念ながら」

「あの野郎っ!何が心友だ!欲に塗れやがって!あっ、あいつは元々欲、性欲の塊りだったわ!」


オーリスはファウスの事をよく理解している。


「それはそれとして、なんでここは静かなのか説明してもらえるんだよな」

「ハイロット領が未だ攻め込まれていないのはファウスと密約を交わしてるからだ」

「へー。密約ねぇー。どんな?」

「これを」


アマドは封筒をオーリスに手渡した。


ー 直接お前に話すべきだと思うが色々あってそれは出来なくなったのでアマド様にこの手紙を渡してもらう事にした。この手紙をお前が読んでいるころ俺はお前の側にはいないと思う。周りからなんて言われたとしても俺はお前の心友だという事を忘れないでくれ。俺は俺のすべき事をする。我が友オーリス、すまん! ー


「なるほど、ファウスらしな」

「どんな内容だ?お前も寝返れと?」

「いーや」

「ならなんだ?」

「んー、しいて言えばファウスはファウスだって事だ」

「はぁ??」


オーリスは手紙を燃やす。


「面倒だけど俺も魔王としてやるべき事ができたみたいだから自分の家に帰るわ」

「そうか。守ってやれなくて済まなかった」

「は?守ってもらおうなんて思ってませんよ。だから謝らなくていい」

「そうか。もし困ったら我がハイロット家はお前の味方になるからな」

「それはどーも。その時は存分に助けて下さい。それじゃ」


オーリスはハイロット領を出た。


「さて帰るか」

「オーリス様!」


空からグリが舞い降りた。


「帰るなら帰るって言ってくださいよ!」

「え…誰ですか?」

「何を冗談言ってるんですか。貴方のしもべグリですよ!」

「いやいやグリはもう少し細マッチョだったはず…まじ?」

「本物のグリですよ!まったく…モシャモシャ」

「つーかお前…太ってないか?」

「そうですか?」


目論見とは違ったがグリはオーリスを驚かす点においては成功した…のか?


少し時間を遡る。


まるまると大きくなったグリは2人が特訓という名の拷問を受けていたころ何をしていたかと言うと。


「お腹すいたなー…ん?あっちに強そうな餌…相手がいそうだ!オーリス様が帰ってきた時にさらに強くなった姿を見せて驚かせましょう!いざ尋常に勝負!!」


「ほぉー。若いグリフォンか」

「暇なので戦いを挑みにきた!」


グリの目の前に横たわるは茶色の羽を持ち強靭な4本脚、尖った大きな嘴、そして鋭い目が3つ。


グリよりも2回り以上も大きなグリフォンがいた。


「珍しい白いグリフォンか」

「そうですか!では尋常に勝負!!!」


グリは自分よりも大きなグリフォンに飛び掛かる。


「舐めてるのか若いの」

「くそっ!放せっ!!」


一瞬で返り討ちにあうグリ。


「襲って来た相手を放す訳ないだろ」

「オーリス様が戦っているのに私がゴロゴロしてる訳には!」

「誰だそいつ?」

「私のご主人様だ!」

「ご主人様だと…」


茶色のグリフォンがグリの脚に力がはいる。


「気高き空の王、グリフォンが誰かの下につくなど恥を知れ」

「恥とは何ですか!オーリス様は私の命の恩人であり誇れ…はしないけど立派…でもないけど真面目…でもない…ご主人様です!」

「おいおい…いいとこが何もないように聞こえるのは気のせいか?そんな相手に尽くす価値があるとは思えが…自分で言ってて悲しくならないか?」

「ちょっと悲しい気持ちになりました…」

「もういい…呆れてお前を食い殺す気も冷めたは」


茶色のグリフォンがグリの首元から爪を離した。


「さっさと帰れ。食事の邪魔…っておい!!」

「隙あり!!」

「馬鹿…め!?」


グリは翼を羽ばたかせ低空飛行しながら茶色のグリフォンの背後に回り込みそして…。


「この肉美味いですね!…モシャモシャ」


目の前にあった肉に飛びつき貪る。


「それワシの肉!」

「そうなんですか?落ちていたので」

「落ちてなどいない!置いておいたのだ!」

「まぁー同じようなものですよね。モシャモシャ」

「いいから食うのやめろ!」

「もう少しだけ…モシャモシャ…ごっくん」


国試まであと4ヵ月です。

かなり焦っています。


嘘つきな猫です。


月に1本は投稿したいと思っていますが勉強優先なのでごめんなさい!

今まではのんびり話でしたがこれからはがらりと展開が変化していくと思いますのでお楽しみに!


次回

「狂王と夜王」


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