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末席魔王。オーリス・ロイスは今日もサボりたい。  作者: 嘘つきな猫
第5章 序列変動 編
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訓練なのか拷問なのか

他の投稿してました!

しかしこっちがメインです笑


「ほらもう一度!」

「はい…」

「はっきりと返事をなさい!」

「はいっ!!!」


イースは地獄の中にいた。


「…んしょ」

「オーリス!!足を崩さない!それと1ミリだけ空中に浮くのも禁止します。すぐ楽をしよーとするのは感心しませんね」

「くそっ、バレたか」

「何か言いましたか?」

「いえっ!真面目に正座させていただきます!」

「素直ね、そーだ。まだ序列が上がったご褒美をあげていなかったわね。今の序列は確か…」

「44席です!!」


ご褒美で許してもらえると思いオーリスは安堵した。


「なら44時間そーしてなさい」

「えっ…」

「なんですか?不満ですか?ならその倍の…」

「いえ!ありがとうございます!!」


アオスはニッコリと笑った。


「ほら!イース!もっと集中なさい!死にたいのですか?」



ここはハイロット領の兵士達が使用する訓練場の中でも広さと頑丈さには定評のある第1訓練場。

そこで2人はアオスから愛のある、いや愛しかない訓練を直々受けていた。

見方によっては拷問、ご褒美とも言う。


いつもなら周りには大勢の兵士達が訓練をおこなっているのだが、今日はたまたまどこかの誰かがアオス様が視察に来る事を聞きつけたせいか兵士全員、原因不明の頭痛、腹痛、関節痛、目眩、吐気、震えなどから顔面蒼白も伴い体調不良で訓練を休んでおり誰もいない。


「久々に兵士ども皆を一緒に鍛えてあげようと思ったのに。でも広々と使えるならよしとさしましょう。さぁークリアちゃん。手加減は必要ありませんから殺す気で襲ってしまいなさい」

「イェス!マム!」


イースの頭上を飛ぶ鳥にアオスは命令を出す。


クリアちゃんことクリスタルバードは極寒の地、クダミナス山脈にしか生息しないとても珍しい鳥で翼を広げると大きい個体では10メートル近くある。

その翼はあらゆるものを反射する結晶成分が含まれており光を屈折させる事で自分の姿すら隠してしまう。

羽根1枚だけでも用途は沢山あるためたまに市場に出回るとかなりの高値で取引される。

なので人間も魔族も捕獲に挑む者が多くいるが殆どが寒さによる凍死、またはクリスタルバードの吐く冷気によって凍死し命を落とす。

警戒心がとても強くその姿を見たものは殆どいないため人間達の間ではこの世でもっとも美しい伝説の鳥と言われ、見たものに幸福と死を与える伝えられている。


そんな鳥がなぜこんな所にいるのか。


それはアマドからクリスタルバードの話を聞いたアオスが単独で見に行き襲ってきたので返り討ちにしたら懐かれてしまったよーでクダミナス山脈から一緒にハイロット領に帰りアオスのペットとして大切に飼われている。


クリスタルバードは綺麗な翼を羽ばたかせイースを見下ろす。


「早く相手をどーにかしないと凍死するわよ」

「ばぃ…」


イースは半分凍りつきながらクリアちゃんに炎魔法を打ち続ける。


「わぁっ!!どこ狙ったんだよ!危ないだろ!!」


イースの放った炎魔法がクリアちゃんに反射されオーリスを襲った。


「誰がそこを動いていーと言いましたか、オーリス」

「これは不可抗力では!?」

「あなたは何をしてもそこを動くんじゃありません」

「はい…」


オーリスは再びその場に正座した。


「イースそんな屑魔法でどうこうできる相手じゃありませんよ。もっと魔法を形式的に捉えるのでなく。自分の身体の一部と思って扱うのです」


クリスタルバードが羽ばたくたびに吹雪の勢いが増していき次第に目の前すらも見えなくなっていった。


「ゾンナゴドイワレデモ…ガラダガオモヴヨヴニヴゴガナグデ…」

「それくらいでだらし無い」


正直、イースがだらし無い訳ではない。

ただこの環境が過酷すぎるだけ。

体感温度、およそ-50℃の世界で裸で動いているのと同等の環境にイースはいるのだから。


「さむっ」

「オーリスを見なさい。そして学ぶのです」


イースはオーリスを見たが、ただ正座している相手から何を学べばいいのかわからない。

寒さにより思考がだんだんと鈍くなり、身体の動きが止まりかけ更に瞼も重くなり目を閉じかける。


「この程度で挫けるのならあなたはそこまでの男。あなたの愛もまたその程度の愛だったと言うこと。それなら今すぐ諦めて楽になりなさい。女なんて幾らでもいるのだから。今回はたまたま気の迷いでその女に興味を持っただけ。次の女をもっと楽に手に入れたらよいではないですか。さぁ。もー諦めて暖かい部屋で暖かなスープでも飲みましょう」

「楽に…」

「あなたは楽になりなさい。そしてあなたをこんな目に合わせている愛した女を憎みなさい。諦める、たったその言葉を口にするだけであなたはこの苦しみから逃れられるのですよ」


アオスは言葉をかける。


「この人やっぱり悪魔だな…」


オーリスもイースに呼びわかけた。


「イースこのままだと死ぬぞー。いい加減諦めろって。愛されてもいない女の為に命はるとこ意味不明だから。可愛い子なら多分ファウスに頼めば幾らでも紹介してくれるって。だから諦めろって」


辛い、苦しい、痛い、寒い、眠い。

イースはなぜこんな目に遭っているのか。

自分は何をしに来たのかを考える。


「わかりました…」

「ようやく素直になりましたね」


「アオス様の…言ってることは…わかります。だけどすみま…せんが。諦められ…ません。私は…彼女を守る為に…強くなると決めたん…です。自分自信に…誓った約…束を破る…くらいなら…それで…死んだとしても…私は…満足で…す……」


「そんな訳あるか。アホかお前。その子はお前が死んで喜ぶよーな相手なのか?」

「オーリス…さん」

「死んだら何もしてやれないんだから、愛した相手より先に死んで楽になろーとするな。本当にお前は真面目なんだから。適当にはい、わかりましたって言っとけばいーのに」

「すみま…せん」

「だから最初に言っただろ?あの人には逆らうなって。ほら起きろ。まだお前にはやる事があるだろーが」


「やる事…!!」


イースは眼を開け気合いで立ち上がる。

すると吹雪で覆われていた目の前が水晶が砕けるように破片となり飛び散った。


パチパチパチパチ。


アオスは拍手していた。


「まぁー誰かさんの手助けありでギリギリでしたけどいーでしょう」

「これは…」

「この鳥が使うただの幻覚だ」

「幻覚?」


正座するオーリスの頭に嘴をのせクリアちゃんは満足そうに翼でオーリスを包んでいた。


「いつから?なぜ私に幻覚を?」

「強さとは何も武力や権力と言った見えているものだけではないのです。何より大事なのが心。自分を支える想いの強さが己を強くするのです。こればかりは他人がどうこう出来るものでは無いので己自身に勝つ強さそれこそが真の強さであり成長の源と言う事を理解して欲しかったのです」

「よーはヤル気の問題ってこと」

「オーリス、口をはさむんじゃありません!」


「さて、死ぬ覚悟ができたみたいなのでこれから本格的にあなたがたを鍛えて差し上げます」

「よ、よろしくお願いします!」


そろーり…そろーり…


「オーリス。どこに行くのですか?」


ギクッ!


「いやぁー、イースをお任せできるよーなので私は自分の領地に帰って仕事でもしよーかと思いまして」

「あー、それなら…」


アオスは胸元から通信機を取り出しとある場所に電話した。


「アオスです」

「これはこれはアオス様。そちらでオーリス様がお世話になっているよーですがご迷惑をかけていませんでしょうか?」

「えぇー。迷惑掛けられっぱなしですけどそれはいいのです」

「本当に申し訳ございません!帰ってきたらこちらでもきつーーく言い聞かせておきますのでどうかお許し下さい。それで何かこちらにご用件でも?」

「オーリスをしばらく借りるけど問題ありますか?」

「いーえございません。領内の仕事もいつも通り我々だけで問題ありませんし、会議も当分無いよーなので数日でも数ヶ月でもアオス様の気がすむまで存分にお使い下さい」

「ありがとう。それでは御機嫌よう」


「ちょっと!フフルさん!!」


「プープープープー…」


通信ふきれた。


「さっ。オーリス、あなたもこれから色々あるのだから付き合いなさい」

「そんなぁー…」


クリアちゃんの嘴の下でオーリスは冷えた体を震わせてガックリと項垂れたのだった…。



「えっ!?オーリスが来るの!?…とうとうきたんだわこの日が!!」


「私だ…例の件ならいつでも構わない。その代わり私は手を出すつもりは無いからな…」


影でもうひと波乱ありそーなハイロット領であった。



春休み中です。


嘘つきな猫です。


もっと投稿本数増やしたい気持ちはあります。

気持ちは笑


今後とも宜しくです!

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