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末席魔王。オーリス・ロイスは今日もサボりたい。  作者: 嘘つきな猫
第4章 人間と魔族 編
53/97

先立つもの

短いですが!


国がこんな状態だけど組合場はひらいているだろーか。


オーリスが、今1番気にしているのは金!


マネー!銭!ゴールドゥッ!!


つまりは先立つ物!!


金について考えながら隣のミュゼをみた。

不安を隠しているその表情をみると、さすがに金をくれとは言えなかった。


「そー不安な顔をするな。ダメな時は何してもダメなんだから」

「オーリス様、それって慰めているおつもりですか?」


「捉え方によってはそーかもな。ところで組合場って今でもやってるかな?」


「組合場ですか?こんな状態ですから多分、規約通りに多くの冒険者達は戦場に出ていると思うのでどーでしょう?」


「規約?」

「はい。冒険者の方々は自分が取った素材や採取した物については自由に組合との売買が出来ることになっているんです。その代わり国が危険になった場合、兵士として力を貸さなければならないって言う国との約束です!」


「へー。その規約守らないとどーなるんだ?」

「規約と言っても罰則は特に無いはずです」


「罰則ないなら誰もいくわけないな。危険だし面倒だし」

「みんなオーリス様みたいな方ばかりじゃないですからっ!まぁー、多少はそんな人も居るでしょうけど。でもその分見返りもありますからっ!功績や立派な働きをした者には恩賞がありますし、それに無条件で等級を上げるチャンスでもあるので、うでに自信のある方々は、皆さん張り切って戦場に出て行くみたいですよ」


「見返りあっても俺なら行かないけどな。でも、等級かー。俺も受けたい依頼があったんだけど、等級がとーとかで断られたんだよな」


「そーなんですか?お父様からあらゆる免除がだされたはずでは?」

「俺もそー言ったけど信じてくれなかった…」


オーリスが落ち込むと顔に巻かれた布もスルリと落ちた。


「そ、そーだ!その顔で組合場に行けば間違いなく特等級は間違いないないですよっ!魔王だし!」

「いやダメだろ。等級はしらないけど、変装が解けたこの顔で行ったら俺が討伐対象になりかねない」


ミュゼは苦笑いしたオーリスを見て笑った。



その時、外からの大きな爆発の衝撃が城を揺らした。


「なにっ!?」

「おっ?おっ!けっこう揺れたな」


オーリスが、爆発があったであろう方向を見ると門とは関係ない壁に大きな穴が空いているのが見えた。


「穴、空いてるな」

「オーリス様、どーしましょ!」


ファウスがこんな事をするとも思えない。

相手国の誰か、または何かがあの爆発を起こしたと考えるべきだが、一体何が?


「とりあえず見てくるからミュゼはジョルジュの近くにでもいろよ」


オーリスは窓から飛び出した。



その爆発に気づいてもう1人も既にその場に向かっていた。


「クンクンッ…くさっ!!なんだこの臭いだよ!?なんか腐ったよーな。これは強烈すぎだろっ!」


オーリスが到着するよりも早くファウスが到着する。


「臭いより、この大穴を開けたの誰…」


言葉を失ったファウスが見たのは首の長さだけでも10メートルはあろうドラゴンの姿だった。


「おいおいおいっ!なんでこんな場所にドラゴンがいるんだよっ!!」


ファウスに向けてドラゴンは咆哮する。


この光景にはさすがのファウスも驚き動きを止め相手を見る。


よくよくドラゴンを見てみると、体の至る所が崩れかけ、骨が見えている箇所もある。


眼は濁りきっており片方だけしかなく、翼は穴だらけのボロボロ。


そして何よりこの腐敗臭。


「どーみてもまともなドラゴンじゃないな…腐ってるのか?」




「さー!もう一度だっ!あんな壁など消し飛ばせっ!!」

どこからか聞こえた声に反応して、ドラゴンは再び口を開ける。

そして、腹の底から真っ赤に燃える炎をクラスタ王国に向けて吐き出した。


「ちょっ!やばっ!!」


ドラゴンの真正面にいたファウスはとっさに空へ逃げた。


魔法が弾ける音はドラゴンの吐いた炎の音にかき消されファウスの変装は解け、壁も炎の勢いで吹き飛ばされまた熱によってドロドロに溶かされてしまった。


「おー!愉快愉快」


「ほらっ!もっとだ!もっとお前の炎であの国を燃やし蹂躙しろ!!」


「これでクラスタ王国も終わりだな」


「完璧とまではいきませんでしたが、禁術で蘇らせたあのドラゴンでも十分落とせるかと」


「よしよし。それなら攻め続けろっ!」

「はっ!!!」



ドラゴンは炎を吐き続けながらゆっくりと進行する。

そしてとうとうクラスタ王国内が火の海へと変わった。



「隠れるんだ!早く!」

「隠れる?こんな状況てどこに隠れろとっ!?」


「早くっ!街から逃げるんだ!ここにいても焼かれるだけだ!」


「外だっ!門を開けさせろっ!!」

「どけっ!門をあけろっ!」


民集は門番達を排除し外に逃げるため門を開けた。


「お前たちやめないかっ!!」

「外には敵国の兵士がぁ!」


武器を持っている兵士だったが無駄に自国の民集を傷つける事ができず、必死に説得したが民集にその声と意味は届かなかった。


門は開いたが民集は外に逃げる事は出来なかった。


それはなぜか。


説得した兵士が言った通り外には敵国の兵が待ち構え、門が開くのを今か今かと待っていたのだ。

そして開いたと同時にクラスタ王国内に人の波となって侵入してきた。


「いけぇー!ここにいる全員を殺せっ!燃やせっ!そして全てを奪えっ!」


「「「「おぉぉぉぉぉっっ!!!!」」」」




敵国の兵士が民集を蹂躙する。

民集は悲鳴や大声をあげ逃げ惑う。

燃え盛る街の中で敵国の兵士から逃れようと人々は行き場をない場所で逃げ惑い、そして最後は炎に焼かれるか、敵国の兵士に殺された。


「あー。この国終わったな」


ファウスが呟くとようやくもう1人も到着した。


「ここにいたのか」

「オーリスも来たか。それ見てみろよあれ」


「なんなんだあれ?遠目だとドラゴンかと思って来たけど、なんか様子おかしくないか?」


「見た通り腐ってるなあれ。近くの臭いなんて鼻が落ちそうなくらい臭いぞ」

「確かに…臭うな」


オーリスは鼻をつまんだ。


「それに人間に命令されて動いているけど。そんなのありえないと思わないか?」


「ないない。ドラゴンが人間ごときの命令に従うなんてありえない。けど、そーなると俺達の目の前にいるアレはなんだろな?」


「そんなの俺に聞かれても知らん!それでどーする?」


「ん?何が?」


「いや、何がじゃなくてこの状況だよっ!外からも攻められ、中にも侵入されてるこの状況だよっ!」


「はぁー。俺は魔王っ!クラスタ王国がどんなろーと俺には関係ないっ!」


「でたよ!それ!」

「それってなんだよっ?」


「あー、なんかこのやり取りも懐かしいな。けど今回は本気で時間ないから真面目に答えろって」


「だから人間の争いなんて魔王の俺には関係ないし、滅びようが攻められよーがどーでもいい」


「はいはい。魔王様の意見は十分聞いたのでもーいいって。俺はお前の、オーリスの意見を聞いてるだっ!最後に聞くけど、本当にいーのか?」


「…と、言いたいところだけど。せっかく金稼ぐチャンスだし!それにまだ土産買ってないから今、クラスタ王国が無くなるのは困る!」



「お前、本来の目的忘れてるだろ…」

「あー。そんな事もあったな!それにわざわざミュゼを助けてやったのに殺されたら俺の努力が無駄になるのもなんかイラッとくるしな。仕方ないから助けてやるかー」


「そーこないとなっ!で、俺は何をしたらいーんだ?」


「当然、俺の邪魔をする全てを排除する」

「いーね。魔王はそうでないと」


「とりあえず中はクラスタの人間に任せて。俺らは先に、アレをぶち殺すに決まってんだろ」

「まじかー。竜殺しかぁー」


「本物のドラゴンには程遠いだろーけど、久々に派手に暴れられる程度には強いだろ」

「どーだろーな。じゃっ、久々の共闘でもするか!」



オーリスとファウスは笑う。


体内を廻る血が沸きたつ感覚。


強者に挑戦できる喜び。


戦う事を喜びとする魔族の本能か2人を支配する。


その姿はいつもみる女の胸な鼻の下を伸ばすファウスの姿はとは違い無表情。

視線があっただけで凍りそうなくらい瞳の奥は冷たく。


オーリスは子供が悪戯を考えている時のような無邪気な顔つき。

いつもは見せないやる気に満ち溢れた表情を浮かべ剣を抜いた。



三連休始まりましたが俺には関係ない。


嘘つきな猫です。


勉強三昧の合間に。

ここからしばしオーリス&ファウスの無双タイムだと思われます笑


気が向いたら評価、感想よろー

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