良いことは長続きしない
初めてブックマークされました!
ありがとうございます!!!!!
誰かに読んでもらえるのってこんなにもうれしいのですね( *´艸`)
今後も定期的にアップできるよう頑張りたいと思います。
さてさて・・・。
ブルギャンに到着するとすぐ、ロハスがあらかじめ予約していた宿に直行した。
お小遣いは貰った。
出かけない理由はないと意気揚々にオーリスとファウスはロハスにいくつか注意ごとを言われてから外に出た。
この2人が真面目に話なんか聞いているわけがない。
ファウスはすれ違った女性に声を掛けられ、気が付いたらその女性とファウスは消えていた。
オーリスは宿を出てすぐ1人になった。
それから色々な事に巻き込まれに巻き込まれたどり着いたのが現在。
【ぼろ布で出来た服】
【くず鉄の剣】
【木の板の盾】
これらを装備し目の前には涎を垂らしたキマイラ1匹。
直ぐにでも襲ってこようとこちらを睨んでいる。
「「「おぉぉぉぉぉ!!!!!」」」
オーリスは今、闘技場のど真ん中に立ち歓声が向けられている。
そうここは闘技場。
戦いの勝敗を賭け事にしている場所。
そこにオーリスは立っている。
_____遡ること2時間前。
とある賭博場にふらっと入るとポーカーの席に座る。
そこまで賭け事に関しては知らないが唯一、ファウスのおかげでポーカーだけは知っている。
他は、勝ち負けの賭け事くらいしか知らない。
座ってからまず1勝。
そしてまった勝った。
それから勝った。
そう、勝ちまくった!
これぞ王のなせる業!
「はっははー。今の俺には幸運の女神が付いている!次の勝負相手は誰だ!」
気持ちが今年1番大きくなり、鼻が天にも届くほど高くなっていた。
勝ちが続いたことで、その場の雰囲気に酔っていくオーリス。
「それでは私が」
「どーぞどーぞ」
ファウスがいたら喜んで連絡先を聞きにいくであろう美女が勝負を挑んできたので受けて立つ。
「………なんでだ?」
「あら。また私の勝ちね」
「もう一勝負」
「フルハウス」
「ワンペア……」
連敗、そして連敗。
さっきの勝ちが嘘のように負け続けた。
気が付いたら1人相手に1000万ルブを巻き上げられていた。
「あなたお金持ちなのね。今度はいっきに掛け金をあげませんか?」
正直その程度の金額では今のオーリスには痛くも痒くもない。
女が不敵な笑みでオーリスを誘う。
ここは男として引けない。
「当然、受ける」
なぜなら俺は王。
と言うのは建前で。
正直、負けっぱなしが悔しかっただけなのは言うまでもない。
手持ちの5枚のカードですでに8の【3カード】。
2枚交換で8がもう1枚揃い【4カード】。
オーリスは一瞬口角を上げた。
( 勝ったな )
オーリスは確信した。
この手で負ける確率はほぼ0%。
「レイズします。これから予定とかあるんですか?」
「それなら俺もさらにレイズ。特にはない」
「結構いい手ができたんですね。レイズ。宿はお決まりですか?」
「まぁまぁの手だよ。レイズ。すぐそこの宿に3人で」
「さらにレイズ。これが終わったら食事でも」
「レイズ。そっちが勝てたらな」
掛け金は天井知らずになっていく。
と言っても1000億ルブなんてものには届くわけがなく、たかだか1億ルブ程度。
「これだときりがないですね。ここらで勝負といきませんか?」
「いーだろ。受けようじゃないか」
「あら怖い」
「ふんっ」
静かに4カードをテーブルに置き、女に見せた。
「悪いな。最後に勝ったのはやはり俺だったというわけだ」
気持ちよく金をに手を伸ばす。
「あら偶然。私も同じ4カードですよ」
笑ってカードを開いて見せた。
「キングの4カードだと……」
この際金額なんてどうでもいい。
4カードで負けた事実が受け入れられない。
確かに負けは負けだが、4カードで負けるか?
いや、負けない。
負けるわけがない。
……負ける確率は……0%ではないけれど実質的に0%!
けれど実際は負けた。
これを不運と言わずしてなんと言う。
渾身の一撃をカウンターでぶちのめされたような感覚。
オーリスはその場に膝から崩れ落ちた。
「私の勝ちなので約束は守ってくださいよ」
「………はぁー。約束だからな」
面倒だけど、ちょうどお腹も空いていたのでオーリスは金を渡し女の後に付いて賭博場を出た。
「な、なんなんだなの2人。1億掛けるとか狂ってやがる…」
2人の戦いを見守っていた連中がザワザワしたがオーリスにとっては1億ルブの食事を奢ったと思えばいーやくらいにしか思っていなかった。
これが1時間前の話である。
オーリスは大人しくテーブルにつき食事を頼みます、女も頼み終わると女は突然頭を下げた。
「すみませんでした」
「何が?」
「イカサマをしました」
そーなの?まったく気づかなかった。
勝負に熱くなりすぎて全く相手の手札なんて見てなかったからな。
「どんな時でも冷静を保つことが1番大切ですからね!」
そんなフフルさんの声が聞こえてきたように気がした。
「それはいーよ。終わった事だし。見抜けなかった俺が悪い。ところでなんでイカサマしてまで勝ちたかったんだ?金が欲しいだけならもっとレイズして金額を上げればよっかったのに」
決着をつけようとしたのは女のほうが先だ。
むしろ掛け金がさらに上がったとしても俺はレイズし続けたのに。
「私の名前はパル・アイネと申します」
「俺は……えーっと」
名前を言いかけてさすがにオーリス・ロイスとは名乗るのを躊躇した。
末席といっても魔王。
知られたらやっかいそうだし。
「私は旅の途中でここに寄っただけの…ファー。…ファリス・メグだ」
名前なんて適当でいいや。
「パルと呼んでください。ファリスと読んでも?」
「別にいいけど」
「もう一度聞くけど、なんでイカサマしたんだ?」
「あなたの力をお借りしたいのです」
「力と言われても、たいした力なんて俺にはないぞ」
ほんとに何も出来ない。
そして、したくない。
「そうなのですか?私は相手の力を感じることができます。能力とまで言えないですけど、感に近いものですがそれなりに自信はあります。それによるとあなたには魔王並みの力があると思ったのです。それにあなた以外、お願い出来る相手が見つからなかったことも正直なところなんですけど」
「それはどーも。それでお願い事って?」
やるやらないは別として話だけは一応聞くオーリス。
「私には妹がおります。その妹が奴隷商人に誘拐されてしまい助け出したいのです」
「それと俺と何の関係が?」
「何でもしますから、どうかお力をお貸しください」
「奴隷商相手なら、今ある金で買い戻せばいいんじゃないか?1億ルブもあれば足りるだろ」
「それが・・・」
話が長いので簡潔にすると。
妹誘拐される。
奴隷商と交渉したが拒否される。
貴族が妹を欲しがっている。
貴族と話はできない。
今日、奴隷商と貴族がここで商談がある。
その時に妹を取り返したいが、自分では力不足。
俺を見つけて手伝ってもらいたい。
お願いしている最中。
と、まーこんな感じだろ。
俺が手伝う理由は何もないので
「面倒ごとは悪いけどお断りだ。今の俺は問題を起こさないように厳しく注意されているし」
「そこをなんとか!」
「なんとかと言われても…」
無理と何度も断り、食事が出てくる前に席を立とうとするオーリス。
するとパルが足にしがみついてきて離してくれなかった。
「なんでも致します。一生尽くしますから、どうか私と妹を見捨てないでください。お願いいたします!」
泣きながら哀願され。
それを見た周りからの冷たい視線がオーリスに突き刺さった。
そしてその場にタイミング良くなのか悪くなのか、アイツが現れた。
「オーリス。何しているんだ?」
そのにやけ顔をぶ飛ばしてやりたい。
片方には声をかけられた女、もう片方には別の女を抱きかかえてこちらにファウスが歩いてきた。
「なんか知らんが面倒ごとに巻き込まれそうなんだ。助けろ」
ファウスはオーリスの言葉なんて聞くこともなく、オーリスの横を素通りして這いつくばって泣く女性の涙を指でぬぐい、手を取って手の甲に口づけした。
「私はファウス・ローレンと申します。何かお力になれることはありませんか?」
本当にこいつは女に弱いな。
ところで俺は偽名を名乗っていたのにファウスは堂々と名前を名乗っているし、それで本当に大丈夫なのか?
ファウスが名乗ってるしいーかと本当の名前と身分を明かしたら、当然驚かせてしまた。
当然魔王なんだら驚かせはしたが、私の見る目であなたは信用しても大丈夫だと言ってるとか言ってオーリスを見つめる目に恐怖心はなかった。
その目はただ、妹を助けたい。
それだけを見据えているよーだったが、その話を聞いたファウスが困り顔になった。
「奴隷商の取引は残念ながら正当なものだ。無理やり破談させると問題になりかねない。他の領地で好き勝手するなってロハスも言われてるどーする?」
「だろー」
「ならオーリス。お前がここの魔王と交渉したらどうだ?さすがに奴隷商や貴族でも魔王の言う事にNoと言えないだろ。それが1番手っ取り早いし」
「正論だけど。アイツと関わりたくない」
「まぁー。末席だから相手してもらえないだろーけど」
「そーだろうな。俺に恩を売ってもメリットないし」
「相変わらず使えない魔王だな」
「ちょっとそれは言いすぎだろ!」
「はいはい。それなら新しい案でも出してください」
「ぐぬぬぬぬ」
ファウスとオーリスが押し問答していると、ファウスが最初に声をかけた女が1枚の紙を出してきた。
「そんなことよりこれからこんなのあるけど。見にいかない?」
「そー言わないでもう少し大人しくしててくれよ。ハニー……ん!?これは…オーリスこれ見てみろ!」
「今はそんな……!?」
「「おぉぉぉ」」
ファウスとオーリスがその紙を読み大きく目を見開く。
けしてアダルトな物ではありません。
紙にはトーナメントで勝ち残り最後に優勝すると、優勝した褒美としてなんでも1つ願いをここの魔王が叶えてくれると書かれていた。
「よし。出よう!誰にも迷惑をかけずに解決するにはこれしかない」
「そーだな。問題を起こすよりずっとましな方法だな」
「ところで……」
誰が出るんだと言おうとする前に、みんながこちらを見ている。
「いや、ファウスが出てもいいだろ!」
「ここ、この注意事項を読んでみて」
※出場者は貴族等の推薦を必要とする。
「貴族等なら俺の推薦でファウスが出てもいいのでは?」
「いや、誰がこの大会に他の魔王の推薦者の出場を許す阿保がいるんだよ。そいつが優勝してここの領地をよこせとか言ってきたら大問題になるだろ?」
「確かに……それはそれで問題だな」
「これは貴族同士のこんな強いのが手駒にいるよー。みたいな自慢大会みたいなもんだろうし」
「なるほど・・・だから俺なのか」
「つまりはファリス・メグとして顔を隠して出場するしかない」
文句は沢山あるが今回は話に乗ってしまった以上、最後まで付き合う。
けど、何で他の領地で俺が働く事になったのか、未だにオーリスは納得できずにいた。
「登録しとくから闘技場前に集合な。色々買いそろえとかないといけないしな」
そう言ってパルとオーリスを置いてファウスと女二人は店から出て行った。
「さっ!まずは約束の食事をしましょうか」
「もー。冷めてるけどそーするか」
「引き受けてくれてありがとうございます」
「いいよ別に、成り行きだ」
ファウスの文句を言いながら食事をしていたら、なぜかパルは笑顔になっていた。
それはそれでいいかと、食事を済ませ闘技場の前で待っているとしばらくしてファウスがやってきた。
「これに着替えてくれ」
「これ……着ないとだめなのか?」
「仕方ないだろ」
「まじか……」
文句を言おうとしたが登録の締め切りがあるからとせかされ物陰で着替えるオーリス。
「なんで俺がここまでしないといけないんだ……」
着替え終わるとこ
【ぼろ布で出来た服】
【くず鉄の剣】
【木の板の盾】
こんなみすぼらしい姿にされた。
「ついでにこれもっと」
ファウスに真っ黒な兜を被せられた。
「顔バレは絶対するなよ。できれば声も最小限な。誰がどこで何見て聞いてるかわからないから」
「……」
オーリスは無言で首を縦に振った。
「よし!それじゃー。『美人の妹もきっと美人のはず作戦開始』」
テンションがめっちゃ下がっているオーリスとは逆に、テンション上げ上げのファウスを先頭に闘技場の中に入る。
そして、闘技場の中に入るとオーリスだけ別のむさ苦しい部屋に通され、兵隊みたいな相手が
「時間だ」
とだけ言い、目の前の扉を開け中央にたどり着くと向かいの大きな扉から頭がライオン背中からは山羊の頭が生え尻尾が大蛇の生き物がのそのそこちらに向かってきた。
それがちょうど1分前の話。
これはどーやら行くとこまでいかないと終わらないとオーリスは確信し溜息一つついた。
よくよく考えてみたら、お金を使いに来たのになんでこんな事になってしまったのか。
頭を抱えながらどこにもぶつけられない怒りがこみ上げてきたので目の前の大きな猫とこれから戦うであろう相手で発散させてもらおうオーリスは笑った。
「あのー」
「パルさん。どーしました?」
「ファウスさん。こんなことになって後から文句言われませんか?魔王様にこんな事お願いしているのが今になって恐ろしくなってきました……」
「大丈夫、大丈夫」
少しおびえたパルの手を握るファウス。
「心配はいらないですよ。アイツ____オーリス・ロイスは根は優しい真面目な魔王様だから」
「それに……意外と楽しんでたりするかもよ」
「それならいいんですけど」
「ほら、始まるぞ!がんばれよー。ファリスー!!!」
ファウスはオーリスを応援しながら両脇に抱えている女二人の胸を揉んでいた。
書いている途中で闘技場の戦いメインになる方向になってしまい、当初の散財予定が変更となってしましました。
今後、他人の領地で適当に大胆にやりたいことをしてしまうオーリスにご期待いただければと思います。
読んでいただきありがとうございました。
気が向いたら評価お願いいたしまーす!