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末席魔王。オーリス・ロイスは今日もサボりたい。  作者: 嘘つきな猫
第1章 堕落の始まり 編
3/97

感謝と説教は苦手だ

定期的に上げたいのですが、読み直すと手直しするところが沢山出てきて。。。。

 オーリスとファウス、そして残った人間は歩く。


「さっきは助けてくれて。ありがとうございました」

 

 助けた母親と、少女が頭を下げてきた。


「ただの気まぐれだから」


 ファウスはそう答えたオーリスの顔を覗き込み笑った。

 

 火を消したあと、死体をまた燃やし土に埋める。ほっておけば勝手に死体なんて燃えたと言うのに、二度手間でしかない気はしたが、ファウスは笑って俺の意見を聞いてはくれなかった。


 埋まっている死体の上に墓石を立て人間達は最後の別れをする。

 その行動に何の意味があるのか疑問に思いながらもオーリスは人間に手を貸した。

 死んでいるのだから誰かに感謝されることもないというのになんでこんな事を人間はわざわざしたがるのかオーリスには分からなかった。


 作業がひと段落すると、怖がる人間にわざわざ自己紹介をし、みんなの傷を治し、女の子にしたように今後の選択させた。


 行くとこもない人間の生き残りは18名。


 俺に付いてくると言った人間を引き連れ、三時間ほど道なき道を突き進んでいる最中。

 さすがに疲れてきたのか、後方から囁くような愚痴が聞こえてきた。


「疲れた。休ませてー」

「もー歩けないよー」


「いーから歩きなさい」

「お母さんが背負ってあげるからもう少し歩ける?」


 母親達が子供達を励ましているが、小さい子供達はそれに反発していた。


 次第に大人達の中からも文句が出てきたが、そうは言いながらでも大人達は歩き続けたのに対して、長時間の歩行は子供達には少々厳しかったようだ。


「こんなに辛いなら殺された方がマシだった」


 1人の少年がボソッと愚痴を漏らしたのをオーリスは聞き逃さなかった。


「そうか」

「なんだ・・おっgdkぎあg」


 オーリスは小声で文句を言った少年の前に立つと容赦なく右腕で少年の腹を貫いた。



 少年は自分のお腹に刺さったオーリスの腕を見つめ、ひと呼吸おいて悲鳴を上げた。

 周りからも悲鳴が飛び交うなかで子供の母親だけは涙を流し地面に頭を擦り付け謝ってきたがオーリスはそれを無視した。


「死んだ方がマシなのだろ?」


 その子は確かに言った。死んだ方がマシと。


「一応確認するけど死にたいんだな?そこにいる母親を残してお前1人死ぬんだな?」

「・・・・」


 少年は痛みで全くオーリスの声が聞こえていない。

 オーリスは溜息を一つ漏らし、腕を引き抜く。

 引き抜くと大量の血と内臓が地面にこぼれた。


「っっっっっっっっっっっ!!!」


少年はお腹を抑えて痛みよりも必死に死の恐怖と戦っていた。


「死ぬ・・・死ぬ・・・」

「最後にもう一度だけ聞く。あの場所で死んでいた方がよかったのか?」


 少年は最後の力を振り絞って首を横に振る。


「このまま母親を残して死ぬのか?」


 少年はもう一度首を横に振る。


「本当に生きたいのか?」


 血の気が引いた顔で少年はこれでもかと首を縦に振る。


「それなら弱音を吐くな。言いたいことがあるなら強くなってからにしろ。弱者はそれすら許されない。分かったか?」

「あぁ・・ぁ・・」

「2度目はないからな。___ファウス!」

「はぁー。またかよ・・・・わざわざそんな事しなくても、話せばわかるだろ」


 面倒になったのか行動を渋るファウス。

 さっさと行動しないので、オーリスは胸元から通信機を取り出すと、とある場所へつなげる。


「ピピピッ・・・ピピッ・・・もしもし。あなたの領地の魔王です。ローレン家ですか?ファウスの件で報告がありまして」

「ちょっとまてぇーーーい!!!」

「やるのか?やらないのかどっちだ?」

「任せて下さい!最下層の魔王様!」


 言い方に悪意を感じる。

 

 そう言うとファウスはオーリスから通信機を奪い取った。


「親父。何でもないから。今何してるって?・・・現地調査。オーリス様と一緒に・・・。仕事?全部片付けたよ。・・・わかってる。分かったって。・・・それは帰ってからやるから。ちょっと今立て込んでいるから、その話の続きは帰ってから。・・大丈夫。危険?それは無いから。・・・え?!俺じゃなくて。オーリス様の身?大丈夫。殺そうとしても死なないよ、アイツは。わかった。わかったって。はい。はい。はーーい」


「話が長がいぞ」

「誰のせいだよ!・・・いきなり連絡入れるなよ!」

「それより、早くしないと死ぬぞ」

「いやっ、お前がやったんだろ!」


 押し問答が終ると、ぽっかりと開いたお腹の穴をファウスは治した。


「腹の傷は・・・。記念に残しておいてくれ」

「記念?なぜ?」

「記念だ」

「はいはい。了解、了解」


 少年を回復させている間、他の人間には休憩を指示する。


 治療を終えて人間達と仲良く話をするファウス。

 周りには大人の女・・・。

 ここまでいったら本当、才能だな。

 すぐにこの環境に溶け込んだファウス。相手の心を掴むことに関しては天才の部類に入るだろうな。


 人間達がなぜ俺なんかに付いてきたのか不思議に思うオーリスの横で、助けた少女は母親に抱かれていた。

 さすがに怪我や傷を治せても、体力なんて目に見えない物を回復させることは出来ない。


 人間が休んでいる間にオーリスは1人その場から離れ、ある物を探した。


 周りを探知すると、生命反応がいくつかあった。


「いたいた」


 そこにいたのは大型の魔物。


「まー、焼けば食えるだろ」

 

 対象の強さなんて関係なくオーリスは魔物に近づく。

 魔物もオーリスを敵と見なし、前足を振り上げ飛び掛かってきた。

 鋭い爪で襲いかかってくるが所詮は野生の魔物。

 魔王の相手になるわけも無く、あっさりと前足を掴まれ投げ飛ばされた。

 何とか立ち上がりコイツには勝てないと思ったのか、逃走を図ろうと背を見せた瞬間、意識と命はあの世に飛んだ。


「アイツどこいったんだよ」

「魔王様をアイツ呼ばわりとはお前も偉くなったなっ!」

「いつのまに!」

「今回は仕事してたから、聞かなかったことにしといてやる」


 オーリスが両腕に抱えている魔物を見てファウスは把握する。


「狩りに行くなら声をかけろよ」

「これは、アイツらの飯だ」


 右手に持った虎型と鳥型の魔物を人間の目の前に投げた。


「食っていいぞ」


 しかし、食事を持ってきたのに誰も食べようとしない。

 コイツら腹が減っていないのかと思ったがそうではなかった。


「さすがにそのままは無理だろ」


 ファウスは腕をまくり、虎と鳥を解体し始めた。

 そして人間達に近くにある木を集めさせ火をつけ肉を焼く。


「まー、味は分からないがこれでいいだろ」


 近くにあった葉に肉を乗せ、1人1人に適当に配る。

 こんなことをそつなくこなせるからこそ女にもてるのだろうな。

 

 ファウスが治療した少年に何かを話すと勢いよく肉を口に運ぶ。

 その姿を見て、安全と思ったのか次々と他の人間も肉を食べ始めた。


「ファウス。何を話したんだ?」

「食わないと殺されるぞって」

「おいッ」

「それでも食ってんたからいいだろ」

「それになんで子供は笑っていたんだ?」

「俺が笑ったからだろ」


「?????」

 その言葉の意味は分からなかった。


「だからお前はモテないんだよ」

「・・・」


 オーリスは拾って来た石を爪を使ってバターのように削っている。


「今度はなんだ?」

「水は必要だろ?」

「なるほど」


 石に凹みをつくってファウスの得意な水魔法で作り出した水を注いで渡していく。

 作業が終るとオーリスは片肘突いて食事風景を眺めていたら、少女が寄ってきた。

 そして、お礼を言われた。


「ありがとう」

「お礼を言ってもらいたいわけじゃない。これは責任を果たしているだけで。それよりお前は俺が怖くないのか?これでも魔王なんだけどね。俺には威厳みたいなのがないのだろうか?」


「優しい魔王様だから、怖くない」

「お前の名前は?」

「ジュビ。魔王様は?」

「オーリスだ」


 少しサーシャに似ている。

 助けた理由も母親お助けようとした部分もそうだが、サーシャに似ていたから見逃せなかったこともある。


「いつから二人は仲良しになったんだ?俺も混ぜろよー」

 ファウスが会話に入ってきた。


「これからどこに行くの?」

「秘密の場所だ」

「なんだそれ?」

「まー。お前ならいいか」

「????」


 食事が済むとまたオーリスを先頭、ファウスを最後尾において、さらに二時間歩きようやく目的地近が近づいてきた時、突然そいつらは走ってきた。


「オーリス!何かくる」

「そーだな」


 ファウスは人間達の前に出て臨戦態勢になったが、オーリスはそいつらに真っ直ぐ向かって歩き続ける。

 ファウスが警戒するだけの相手。


「オーリスッ!」

「大丈夫だって、問題は無いから」


 右手に剣を持ち、左手には盾、成人並みの身長、皮膚は鱗で覆われている生き物、リザードマンと呼ばれる戦闘好きの種族。

 更にその後からは、リザードマンよりも体が大きく、頭に立派な角を生やした、リザードマンに似てはいるが次元が遥かに違うドラゴニュートと呼ばれている竜人種までいた。

 確認出来るだけでも合わせて五体。

 竜人種は汚れた防具を装備し、右手に大きな剣、左手には小さめの盾を持っていた。

 ファウスはニヤリと笑って飛びかかろうとした瞬間だった。


「王よっ!お帰りなさいませ!!」

 

 そう言って五体全てが傅いた。


「恥ずかしいから止めてくれ…頼む」


「いえ。王は王。強き、賢き王」

「優しく、慈悲深いき王よ」

「お越しくださるのを心待ちにしておりました」


「…待たなくていーから」


「…オーリスこれはどう言うことだ?!誇り高い竜人族がなんでお前なんかの末席魔王に頭を下げている?!」

「なんかのって・・・。一応、お前が住んでいる国の王だからなっ!忘れないでっ!!」


「悪い。そうだったな」

「そーいう事だ」

「どーいうことだよ!」

「察してくれ」

「さすがにこの状況だけで。そうか!ってならねーよ!」


 オーリスがファウスの後を指さす。


「悪いがお前ら、後の人間を運んでもらえる?殺さないようにな。お前らみたいに頑丈じゃ無いのだから慎重に頼むよ」


「「「はっ!!」」」


 五体全てが剣を鞘に収めると人間を両腕で抱きかかえオーリスの後に続く。

人間達は怯えているようだがそんな事は気にせず、濃い霧に潜る。

 霧から出るとそこには町があった。


「なんだ…ここは…」


 ファウスは顎が外れたように口を開け、その光景を見つめた。


「色々あってな。このことは内緒にしとけよ。バラしたら死んでもらうしかないからな」

「バレたらお前がフフルさんに殺されるんじゃね?」


「だからバラすなって言っているんだよ!」

「この規模、村よりは町に近いだろ・・・。俺は知らないからな。絶対に巻き込むなよっ」


 ファウスの言葉を無視してオーリスはどんどん進み、一軒のそこそこ大きな家に勝手に入っていった。


「長はいるか?」


 家の中で仕事をしていた1人の獣人が前に出てきた。


「我らが王よっ!ようこそおいで下さいました。今すぐお呼びしますので中でお待ち下さい」


 待っている間、人間達には風呂に入れてくるように竜人に命令して連れて行ってもらい、ファウスと  オーリスはソファーに座り、出されたお茶を飲んでくつろぐ。


「お待たせして申し訳ありありません。今は作物の収穫時期でして」


「爺さん。元気にしてたか?それより、歳なんだから働くのは若者に任せたらいーのに」

「まだまだ現役ですぞっ!長たる者が率先して働く姿を見せる事で下の者への刺激になればと思いましてな。後、500年は現役でいたいものですね。ホッホッホ」


「オーリス。お前にも見習って欲しいところだが。こいつ・・・エルフ族じゃねーか?!」

「そうだけど?なに?」


「ここは竜人の町じゃねーのかよ?」

「そんな事言ったつもりはないけど?」


 ファウスは呆れた。


「自己紹介が遅れました。この町の長をしております。エルフ族のジル・ガーラッドともうします」

「これはご丁寧に」

「コイツはちょっとした知り合いだ」

「ちげーから。申し遅れました。ファウス・ローレンと言います」

「なんとっ。名家、ローレン家のご子息様ですか?」

「うちのローレン家をご存じで?」

「当然ですよ。オーリス様の国の事ですから粗相が無いようそれなりに情報を収集していますので」


しばし雑談をしてから本題に入る。


「コイツのことはどうでもいいんだけど、ちょっと相談があって。連れてきた人間達の話をしたい」

「はい。そうだと思っておりました」


「遠回しに話すのが、面倒だから率直に言うけど、ここで面倒を見てくれないか?特別扱いはする必要は無い。普通に働かせて、普通の暮らしをさせるだけでいいんだけど…駄目か?」


「オーリス様もご存じだとは思いますが、我々亜人種や魔族側と人間側は常に争っています」

「俺にはわざわざ面倒事を起こす理由は分からないけどな」


 少し考え込んだあと、ゆっくりとジルは口を開いた。


「この村の中にも人間に両親、兄弟、恋人などの大切な相手を殺されている者が沢山おります」

「まーそうだろーな。ここではそんな相手がいない方が少ないだろ」

「私の娘も人間に殺されました。人間を憎んでいる者がここには大勢います」


「やっぱそーだよなー」

「けれど、ここはあなたが作ってくれた我々の居場所です。今の規模なら町と言ってもいいでしょう。あなたが連れてきた者が誰であれ、私達の家族です。最初にあなたがそう言って私達を迎えてくれたように、私達もあの人間達を迎え入れましょう。人間に恨みはあるとは言え彼女らに責任があるわけでもないですし」


「よかったー。ならあとは頼んだ。ファウス帰るぞー」

「まだ、いいだろ」


 出迎えてくれた女を口説いているファウス。

 相変わらずブレない。

 連絡先の交換はすでに済んだのか腰に手を回して耳元で何かささやいている。


 もう少し町にいる女性を見ていこうとファウスは思っていたので帰る事を軽く拒否してきた。


「なら置いて行く。フフルさんに何か言われたお前の名前だすからな!」

「それは卑怯だ!それなら俺も帰るに決まっている」


「もーお帰りですか?今度はゆっくりしていって下さい。子供達も会いたがっていましたので」

「時間があればな」

「あり過ぎるだろ」


「・・・・」


 家を出るとすぐ、空に影が落ちた。


「オーリス様―。どこか滅ぼしに行きませんか?」

「おいおいおい・・・」


体長10メートルはゆうにあるドラゴンが空から舞い降りてきた。


「コイツは…しかもドラゴンじゃねーか!」

「ファウス。どーした?」

「いや、ドラゴン・・」


 ファウスほどの実力者ですらドラゴンに対しては警戒をする。

 目の前のドラゴンはまだ子供に等しい相手なので本気でやり合ったとしてもファウスが負けることはないだろうがそれでもかなりの覚悟は必要とする。

 

 すべてを失う覚悟が。


 人間や魔族以外にも言語を理解する種が存在している。

 その一つがドラゴンと呼ばれる竜種。

 

 竜を祖先に持つ竜人とはちがう純粋な竜。


 その力は強大で、成長したドラゴンの中には魔王すらも凌駕するほどの力と凶暴性を持っている個体がいるというのは有名な話がかなり昔からある。

 そして物心ついたときに何度も言われ続ける事がある。

 

それは怒らせてはいけない物がこの世には三つあると言うこと。


①嫁

②魔王

そして

③竜、である


 そしてなにより驚いた事は、竜人と同じく気高く傲慢な種族のため同種以外に下ることがないはずの竜が、確かにオーリスに向かって主と言っていた事。


「どこも滅ぼしに行く気はないぞ、カリーヌ」

「なら私が勝手に滅っしてくるけど?どこがいい?」


 とんでもないこと言っているドラゴンに対してファウスの口が再び馬鹿みたいに開きっぱなしになる。


「ストレスでも溜っているのか?」

「オーリス様が会いに来てくれないから欲求不満ですよ」

「悪いな。俺も忙しいんだ」

「魔王様ですからご多忙なのは理解しております」


 オーリスに大きな顔を近づけ擦り付けている。


 そしていつの間にか小さな子供がドラゴンの尻尾をよじ登り、そして背に乗って跳ねている。



 跳ねて・・・。

 ・・・跳ねている?!


「クソ餓鬼が!降りろ!お前ら殺されるぞ!」


 ファウスが慌てて声を上げるが誰一人降りてくる様子は無い。


 竜種が最も嫌うのは体に触れられる事。

 逆鱗になんてふれたら都市丸ごと吹き飛ばすまで暴れ続ける可能性すらあるレベル。

 

 その中でも竜は、勝手に背に乗られる事を特に嫌う。

 それを知らずに背に乗った魔王が殺されたという話しもあるくらい、その行動は禁忌なのだ。

 いまだに降りる様子も無い子供を見て、この街は消えたなとファウスは思った。

 しかし、そんな不安をよそにドラゴンを見るといまだにオーリスのご機嫌を取っている。


「マジか…」


「お前らカリーヌの背に乗るなって、何度も言ってるだろ!そんなとこで遊んでたらいつか殺されるぞー」

「でもオーリス!。カリーヌ様はいいって言ってたよ!」


 俺は呼び捨てでコイツは様付けか・・・。

 堕落王や屑なんて呼ばれているのだから、正直呼びすてくらいで何とも思わない。


「いいのかカリーヌ?お前って竜だろ?」

「そう。気品溢れ、美しく、そして気高い竜です。しかし一匹の乙女であり、1人の妻にして多くの子供の母でもあります。それよりも主様をオーリスと呼び捨てしたことの方が問題では?」


「別に、俺の名前はオーリスだし屑と呼ばれないなら問題は無い」

「そんな失礼な呼び方をする相手が?・・・食い殺してやる!」

「そーだな。そんな相手は意外と近くにいるかもな」


近くにいたファウスはオーリスの視線から目をそらした。


「私は思うのです。オーリス様が連れてきた者はみな等しく家族だと。つまりこの子達は私とオーリス様の家族で子供同然。子供を背に乗せない竜がどこにいますか?」


「「・・・・・」」


竜の生態なんか知らねーよと思いながらオーリスとファウスは向かい合った。

「まー・・・。カリーヌがいいなら・・・。いいか」


長のジルに挨拶して人間達のことを任せるとその場所から飛び立つ。

途中までカリーヌが追いかけてきたが、あの場所を守るのが役目だと諭し、カリーヌも不満そうにしていたが角を撫でるとご機嫌で戻っていった。


「それであれはなんだ?」

「あれとは?」

「今更だけどあの村。いや町の事だよ!いつからあんなのが出来てたんだ?!」

「いつからだろーな。作った理由はただの気まぐれだ。それよりさっさと帰らないとフフルさんに怒られるぞ」

「いや、俺が怒られる意味が分からない」


「お前は俺の心の友。食事の時も出かけるときも、帰宅するときも一緒で、当然怒られるときも一緒だ」

「ふざけんな!俺は・・・。サキちゃんと約束あるからまたなーーー」

家に近づくとファウスは逃げた。


「またか、あの野郎!」


 予想通り、帰宅すると当然怒られた。

 どこで何をしていたのかと問いただされたが黙って怒られる。

 サーシャは横でヘスタ達と勉強していた。


「オーリス様聞いていますか?!」

「はい。聞きすぎて耳の穴が増えそうです」

「もう少し自覚を!・・サーシャその計算、間違っていますよ」


 カキカキ。消し消し。


「魔王でも末席。今後の領土内の事を考えてもう少し。ヘスタ。答えは合っていますが遅すぎます」

「スミマセン・・・」


「オーリス様が心配で死んでもいられません」

「長生きしてくれよ」

「当たり前です!!!!せめて旦那様の第九席程度になってもらわないと死んだ旦那様に合せる顔がありません!」


「遠いなー・・・」

「そー言う志の低いところがっ!!!!」


 フフルさんの何かを踏んで仕舞ったようで、しばらく説教を受け続け膝が痛くなったので、こっそりヒールで痛みを取りながら説教に耐えた。


 長い説教を受け、気付いたことと言えば人間の攻撃よりも正座する方がダメージを受けるのだという事以外、何も得るものは無かった。


(早く終らないかな。さすがに疲れて腹減ってきたー)





今回は色々種族を出してみました。

オーリスと周りの関係についてはもう少し書きたかった気もしますが。


もしよければ評価してもらえると嬉しいです!

宜しくお願いいたします。

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