第1回 自己紹介
第1回 自己紹介
どうも、初めましてこんにちは。社会人一年目、作家志望のわこうと申します。作家志望と一口に言っても、子供の頃から小説家を目指していただとか、ある作家の小説に感化されたなんて大層な志望理由ではありません。
年末年始に家でゆっくり休みたい。大晦日は探偵ナイトスクープの傑作選をゴロゴロしながら何も考えずに眺めていたい。
端的に言えば世間の人々が休むタイミングに休むことができない今の職場から離れたい、仕事を辞めたいというのが一番の志望理由です。
と前置きしてみましたが、実際のところ私は文章を書くのが好きです。高校三年生の進路選択の際に文章を書いてお金を稼げたらと思い、文学部を志そうと全く思わなかったわけではありません。
ただその頃の私は手に職をつけて一人で生きる力をつける。そうしなければならない。という強迫観念に取り憑かれていました。
古い考えだと言われてしまうかもしれませんが、女性が結婚もせず一人だけの力でお金を稼ぎ暮らしていくには何かしらの国家資格が必須だと当時の私は思い込んでいました。
看護師や介護福祉士、教師だっていい。けれど血は苦手だし、人の下の世話をする優しさも根性も持ち合わせていない。ただ、食べることには興味がある。その結果選択した国家資格は管理栄養士でした。
世の管理栄養士の資格を持つ女性は同じような思考の末にこの道を選んだ人が多いように思います。現に私の職場の同期も同じようなことを言っていました。
その選択が後々自分にどう影響を与えたのか、今何の仕事をしているのか。その辺りについてはまた別の回で語るとしましょう。
閑話休題、何故私が高校三年生の頃に一人で生きていく力が必要だと、自分に結婚する未来がないと思っていたかについて話しましょう。
結論から言ってしまえば、それは私がレズビアンだからです。男性を愛することができず、今まで好きになった、恋をしたと思えたのは女性だけ。
男性が持ってやるよと重いものを代わりに持ってくれた時よりも、女性が持っている重い荷物を代わりに持ってあげて「ありがとう」と言われた方が百倍ときめきます。
すなわち、日本では愛する人と結婚することができない。男性に養ってもらうこともなければ(男性を好きになれたとしても一方的に養われ続けるのはイヤ)子供を産むこともきっとない。
レズビアンである以上、自立した女性にならなければならない。そう思って人生の準備期間である思春期の大半を過ごしました。まぁこれを言い訳にして、本気で小説家を目指すことを諦めたようなものですが。
思春期の頃の私にとってレズビアンの自覚は一種の呪いのようなものだったのです。
私はこうだから他の人とは違う。
本当のことを話せばきっとみんな離れていく。だから踏み込んで仲良くなれない。
本当の私を知らないくせに親友ヅラされたって。
親はきっと育て方を間違えたと嘆くだろう。
そんな悲劇のヒロインめいたことばかり考えて毎日を過ごしていました。思春期の子供なんてみんながみんな自分が人生の主人公なんだから仕方ない。その頃の自分は本気で悩んでいたし、きっとこの世界のどこかにも同じような暗い気持ちを胸に抱えながら過ごしている少年少女はいます。
平々凡々な人生を送ってきた少女が自分のセクシャリティを自覚した瞬間衝撃を受け、きっとハタチまで生きていないだろうと悲観していたにも関わらず、現在まで(二十三歳)まで生き延びた理由について今後は語っていこうかと思います。
そしてこのエッセイを通して思い悩むマイノリティーの子供たちに勇気を与えたり、肩の力を抜いてあげられれば万々歳。
次回に続く。