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第八話:スケルトンの性格

(また……またやっちまった)


……もうかれこれ十分ほどは項垂れている。さすがに今回はダメージが大きかったようである。


称号:大馬鹿:大馬鹿間抜けに与えられる称号。輪廻の輪を幾度いくどくぐろうと治ることはないだろう。


(マジで死にたい。ああ、もう死んでたな、ハハ……)


重症である。この普段あまり物事を深く考えない馬鹿がここまで落ち込むのは滅多めったにないことである。


(叡智さん慰めて)

『…………』

(せめて何か言えよぉおおおおおお‼)


感情のない叡智にその願いは無茶というものである。スケルトンもわかってはいるだろうが、分かっていても何かにすがりたいのだろう。


……結局、復活したのはさらに十分ほどってからだった。





(大馬鹿でも生きていけるんだ。だったらいつまでもへこむ必要はねぇ!それに、俺以外にも大馬鹿はいるかもしれないし、案外珍しい称号じゃないのかもしれないし、悲観的になるな、俺!)


……この清々しいほどのポジティブ思考は、案外見習うところもあるかもしれない。


『称号:大馬鹿は称号としては珍しい部類に入ります』

(グハッッ!心をえぐるな!せっかく……復活したと……いうのに)


叡智が自然ナチュラルに心を抉り、見事に致命的一撃クリティカルヒットした。

この後さらにふさぎ込んだ。しかしすぐに復活した。この回復力はもはやあきれるほどである。


『称号:七転び八起きを入しました』


称号:七転び八起き:いくら挫折を味わっても立ち上がる不屈の精神を持つものに与えられる称号。


(まともな称号キタァアアアアアアアアアア!!!)


凄まじいほどのハイテンション。よっぽど嬉しかったのだろう。おめでとう。


(よっしゃあ!このテンションに任せてレベリングしてやるぜぇ‼ヒャッハーー!)


そして、スケルトンの周りの敵はどんどん狩られてゆく。


(うらぁッッ)


ある者は背骨を折られて……


(そりゃあッ)


ある者は肋骨の中の魔石を抉り取られて。


不死者アンデットは一部例外も存在するが魔石にある魔力で体を動かしている。それが抉り取られたら行動不能になる。まあ、不死者アンデットでなくとも魔物にとって魔石とは心臓のようなものであり、抉られたら死んでしまうのだが。


不死者アンデットを倒す方法は主に三つ。


一つ目は動けなくなるほど体を大破させること。

二つ目は魔石を抉るまたは壊すこと。

三つめは聖魔法で浄化すること。


不死者アンデットの中には物理攻撃が効かない者や再生する者もいるので、そういったやからには聖銀ミスリルでできた武器を使う場合もある。


……といったことを叡智から教わったスケルトンは主に一つ目と二つ目の方法を使っている。


そして、着々とレベリングは進んでいった。しかし……



(つまんねぇーなー)


飽きた。最初のほうはテンションに任せて暴れ回ったものの、徐々にテンションが下がっていき、ついに飽きてしまった。


(弱すぎるだろこいつら)


ちなみに、現在のスケルトンのステータスがこれである。


ステータス


名前:なし 種族:スケルトン 年齢:0 性別:なし


Lv:3/10→8/10 


HP:15/15→20/28 MP:142/142→139/212


物理攻撃力:23→42 物理防御力:25→32 敏捷性:8→24 器用:13→31


魔法攻撃力:0→0 魔法防御力:10→10


スキル

魔力操作Lv4→Lv7 光耐性- 火耐性- 瞑想Lv5 魔力感知Lv1 


特殊スキル

《叡智》 《取得経験値10倍》 《強奪》


称号

異世界の転生者 大馬鹿 七転び八起き



魔力操作は上がり、骨の体にも慣れ、順調になってきたころにはそこらのスケルトンは相手にならないほどのステータスを手に入れた。


(どこのヌルゲーだよ)


簡単に言えば、雑魚だけでは面白くないということだ。しかし、知能の低い最弱魔物に分類されるスケルトンに成長チートを持っている喧嘩慣れした知能の高いスケルトンを楽しませろというのは無茶な話だろう。


(はぁ~、どっかにましなやつはいねぇもんか……ん?)


ある者がふと、スケルトンの視界の中に入った。


そのスケルトンは、他のスケルトンより体格(骨格?)が大きかった。そして、他のスケルトンとは違う異様な空気をまとっていた。


【ファイタースケルトン】

スケルトンが進化し、一回り大きくなった個体。


……どうやら雑魚スケルトンを倒しているうちに少し奥のほうに行きすぎてしまったようだ。


(ハハハッッ!いいねぇ~、さすが異世界)


スケルトンは、自分より格上の敵を目の前にして笑う。まるで戦闘狂バトルジャンキーのように。

しかし、そんな性格でなかったら暴君な姉の喧嘩相手など務まらなかったであろう。白骨三途の姉は、柔道部に入っていれば全国で優勝を狙えるほど強い。

そんな姉とずっと喧嘩していたスケルトンは、強い相手との戦いが好きだった。


(さあ、始めようぜ!喧嘩たたかいを!)


今、格上との喧嘩たたかいが始まった。



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