第四話:経験値のシステム
スケルトンは、今回の戦闘を反省することにした。
(スペック確認しなかったのはめちゃマズった)
もしスケルトンが自分の体のスペックをちゃんと把握していたら、最初の一撃をくらうことなく無傷で勝利していただろう。
(あとこの体にも慣れないとな)
関節技がかけにくかったのは相手が骨だけしかないのもあるが、それ以上に自分も骨だけになったことも大きいだろう。だが、そこら辺は今すぐどうこうできるものでもないし、時間をかけて慣れていくしかない。
(そういえばLvが上がったっけ!さっそく確認しなければ!)
ステータス
名前:なし 種族:スケルトン 年齢:0 性別:なし
Lv:1/10→3/10
HP:10/10→9/15 MP:92/100→46/142
物理攻撃力:15→23 物理防御力:20→25 敏捷性:5→8 器用:8→13
魔法攻撃力:0→0 魔法防御力:10→10
スキル
魔力操作Lv2→Lv3 光耐性- 火耐性-
特殊スキル
《叡智》 《取得経験値10倍》 《強奪》
称号
異世界の転生者
(ん~、なんか10倍にしたわりには大してLvが上がってない気がする。なんかもっと……こうドバ~ンって上がるのを期待していたのに)
確かに、魔力以外は大して上がっていないように見える。
『当然です。マスターは先程の戦闘で苦戦らしいものをしていませんでした。なら、大してLvが上がらないのは納得いきます』
(えっ!でも俺Lv1だったし、もっと経験値が入ってもいいんじゃね?いくらスケルトンが弱いからって、10倍でこれはショボすぎでしょ)
『経験値とは、文字通り経験の値です。それは敵の強さ、戦い方、倒し方によって変動します。なので、先程の戦闘では魔法攻撃を受けていないので、魔法関連のステータスは上昇していません』
(あっ、ホントだ。魔法防御力が全く上がってない。魔法攻撃力は……魔法習得してないから仕方ないけど……でも、MPは異常に上がってるな)
『不死族は行動するたびにMPを消費するので、それが経験になっています。』
(おおっ!不死族ってMP上げにもってこいの種族じゃん!でも、他のステータスも上げたいな。なんかいい方法ある?)
『それぞれのステータスに関連した行動をすれば上昇します。一定以上上昇すればLvも上がります』
(ん?それだとLvが上がるからステータスが上がるんじゃなくて、ステータスが上がるからLvが上がるように聞こえるんだけど)
『その通りです。Lvはステータスの大体の強さを表すもので、強くなるのにLvの上昇は関係ありません』
(なんか想像してたのとは違うシステムだな。俺的には雑魚を倒しても10倍経験値でじゃんじゃんLvUPを想像してたのに)
この世界の経験値のシステムは、相手の強さで決まるものではなくて、その戦闘の内容によって決まるのだ。あと、めったにないことだが、自己鍛錬でLvが上がる場合もある。それでも、一番効率のいいLvの上げ方は戦闘を行うことなのだが。
(自己鍛錬でLvが上がるのならそっちのほうがいいかもな。今はLv3だからLvUPにあまり経験値いらなそうだし、スキルのおかげで自己鍛錬の経験値も10倍になるはずだ。そっちのほうが効率がいいかも)
その考えは非常に合理的だ。その方がノーリスクで経験値を得られる。強くなってLvが上がりにくくなれば使えない手だが、今なら十分効率がいい手段として有効なはずだ。
(けど動けばMP消費するし……ホント何とかならないもんかね)
『解決策として魔力操作のLvを上げることをお勧めします』
(おおっ!それでこの動くたびにMPが減る状況を何とかできるのか⁉)
『はい。スケルトンはMP……つまり魔力を無意識に放出しながら行動しています。ですが、魔力操作のLvが上昇すれば無駄に魔力が放出されるのを防ぐことができます』
(なるほど!じゃあ早速魔力操作のLv上げをやるしかないな!)
スケルトンは最強への道をゆっくりと、しかし、確実に一歩一歩進んでいた。