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第一話:マイ・チート

(ん?ここはどこだ?)


少年の意識は覚醒した。そして、少年はふと上を見上げると……


「カラカラカラカラ(知らない空だ)」


(いやいやいやいや、これは無理やりネタをやろうとしたわけじゃないんです。だって紫なんておどろおどろしい空なんてほんとに知らないもん!)


……と、少年が誰に聞かせるかわからない言い訳を考えていると……


「カラ?カラカラカラカラカラ⁉カラカラカラカラカラ⁉(ん?ちょっと待て⁉なんかおかしくねぇか⁉)」


ようやく自分の変化に気付いたようだ。人間の声帯からカラカラなんて音が出るはずないことに……。

少年は恐る恐る、自分の首を触ってみる。


(なんか所々とがった細い棒みたいだな~って!なんで⁉)


次に少年は自分の手足を確認した。そしたらあら不思議。前世ではインドアな生活で白かった肌は、骨だけになってより白くなりました。


「カラ、カラカラカラカラ(って、笑えねぇんだよぉおおおおおお)」


これから、少年の最強を目指す物語が始まる。



*****



(にしても、どうすっかな~?)


散々驚いて落ち着き始めたころ、少年はこれから先のことを考えた。


(どう考えてもここ異世界だよなぁ~。だって地球に動く骸骨と紫の空がある場所なんてホラー映画の中だけだもん。あ!ホラー映画の中だって可能性もあるか!いや、俺はシナリオ通り動いてないからここは異世界だ)


さっきまで右往左往していたのが一転、胡坐掻いて腕組んで真剣に考える骸骨の姿はなかなかシュールだった。


(そもそもなんで転生したんだ?いや、確かに死ぬとき、異世界で死なない体に~とか願ったけれども)


少年はもう一度自分の体を見渡す。


「カラカラカラカラ!カラカラカラカラカラカラカラカラ!(そりゃ死なねぇよ!だってもうすでに死んでるもんこのニュー・マイ・ボディ!)」


少年は驚き疲れてはぁはぁ言いながら(骨なのでカラカラとしか聞こえないが)落ち着いたので定番のあれをやることにした。


(とりあえずあれやるか、ステイタスオープン)


そしたら、少年の目の前にステータスが書かれた透明なボードが出てきた。


ステータス


名前:なし 種族:スケルトン 年齢:0 性別:なし


Lv:1/10 


HP:10/10 MP90/100 


物理攻撃力:15 物理防御力:20 敏捷性:5 器用:8 

魔法攻撃力0 魔法防御力10 


スキル

魔力操作Lv2 光耐性- 火耐性-


特殊スキル

《特典》


称号

異世界の転生者 



(弱っ⁉これが俺のステータス⁉あ、でもMPは多い。でも弱いよ!)


少年は期待していた。転生したんだから自分は強いはずだと。だけど、そんな都合のいい夢はもう砕け散った。


(いやいや、諦めるのはまだ早いよ。スキル、スキルだ!俺はこれに全てを賭ける!まずは魔力操作だ!!)


少年はステータスボードの魔力操作の欄をタップする。


魔力操作……魔力を操作する技術


(はい、まさに読んで字のごとく!どうでもいい!次、光耐性-!ところで隣の横棒なんだろう?)


光耐性-……光に対して弱くなる。


(うぉい⁉強くなるんじゃないんかい⁉あ!もしかしてこの横棒マイナス⁉)


少年の推測は正解。この横棒の意味はマイナスである。


(火耐性-は……やっぱいいや、なんとなくわかる。ラストだ!《特典》!)


《特典》……異世界から来たものに与えられるサービス。3万ポイントに収まる範囲で好きなスキルがもらえる。


(チートきたぁあああ!神は私を見捨てなかったぁあああ。ヤッホーーーーイ)


喜びすぎて変な踊りを踊っている。カラカラうるさい。あと、ただでさえ変な踊りが骨のせいでよりおかしくなっている。


(いかん、ちょっとハイテンションになりすぎた。さて、特典は何にしましょ。ん~、やっぱナビゲーターみたいなスキルがいいかな?小説でもそれ結構チートだし)


該当がいとうスキル


叡智えいち……ありとあらゆる知識の塊。その知識は必ず主を守るためにある。1万ポイント


(これだぁあああ!!!)


『スキル叡智を習得しました』


(おっ!来ました脳内アナウンス。いかにも異世界って感じだな。さて、次は……経験値増加スキル)


該当スキル


取得経験値2倍……通常の2倍の経験値を得ることができる。1千ポイント

取得経験値5倍……通常の5倍の経験値を得ることができる。5千ポイント

取得経験値10倍……通常の10倍の経験値を得ることができる。1万ポイント


(う~ん、どうしよっかな~?ここでポイント少ないの取ってポイントに余裕持たせるってのもありだな~。かといって2倍じゃ少ない気がする。よし、取得経験値5倍……と見せかけて10倍で!)


『スキル取得経験値10倍を習得しました』


(ふっふ~ん♪経験値はいくつとっても損がない。それが俺の持論なのよ。たった今作ったけど。さて、最後の一つは~強奪系スキル!)


該当スキル


強奪……触れた相手のスキルを強奪することができる。自分より弱い敵ほど確率が上がる。1万ポイント

暴食……食べた相手のスキルを奪うことができる。確率は100%。1万ポイント

吸収……取り込んだ相手のスキルを習得することができる。確率は100%。1万ポイント


(ん~これは難しいな。まっ、強奪はないな、確率低そうだし。だとしたら吸収かな?暴食は……この体食事ができるかわからないし~、よし!きゅうし……)

『お待ちください』


突然どこかから現れた声が、少年の選択を止めた。


(お前は、さっきの脳内アナウンス⁉)

『違います。スキル叡智です』

(おお!叡智さんですか?脳内アナウンスと似てるなその機械的な声。で、何で止めたんでせうか?)

『吸収の仕組みは、相手の魂を自分に取り込みスキルを得ることです。魂からスキルをはがして手に入れる強奪と違い成功率が100%なのが利点です』

(で、それで何の問題が?)

『魂を取り込むことで、相手の自我も取り込んでしまうことがデメリットです。自分より強い自我を持つものを取り込んだ場合、マスターの自我は乗っ取られる可能性があります。しかも、取り込んだ全ての魂が自我を乗っ取ろうとするため、吸収すればするほど乗っ取られる確率は上がります。一つの自我で複数の自我を抑え込むのはよほど強くなければ不可能です』

(うぉおおおおお!あぶねぇええええ!危うく選択ミスるとこだった!ありがとう叡智さん!最初に取ったスキルがあなたでよかった)

『…………』

(あれ、ここはどういたしましてって照れるとこでしょ!?)

『質問に回答します。私に自我はありません。私はマスターが不利な時に注意し、マスターの質問に答える。それだけの存在です。照れる、という感情を感じる機能はありません』

(……そっか)


少年は、せっかくの話し相手が感情の無い機械みたいなものだと悟り、少しだけ寂しく感じた。


(スキル強奪を選択)


『スキル強奪を習得しました』


(むっふっふっふ。これで俺は最強への道を一歩進んだ。スケルトンはゲームやラノベでもスライム、ゴブリンに並ぶ最弱の魔物。だがしかし!この3つさえあれば、進化の末最強になれる)


寂しさを忘れ、そして、少年は己の目標を語る。


(異世界で最弱魔物転生は最強成り上がりルートでしょ!)


これは、日本でごく普通だった少年が、異世界でスケルトンになり、最強を目指し、その過程で心身共に成長する物語。



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