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夢鬼ごっこ  作者: クロスチェイン
仲間達との別れ…
12/47

夢鬼ごっこ〜レベル3後半〜鬼になる加藤

針がゆっくりと足に刺さっていく。加藤は涙を流していた。

「いてぇ……いってぇよ!!」

加藤は今、注射器を打たれている……

「ごめんよ!そのまま走ればよかっ……」

加藤は最後まで言えなかった後、バタッと呼吸しながら倒れた。

「…………」

沈黙が続いた。

加藤を捕まえた鬼は、申し訳なさそうに涙をたくさん流していた。

「い、いいんだよ……捕まえる事が鬼の……つとめだろ?加藤君はいつかまた逃走者に戻るさ」

キムはそうやって、敵の存在である鬼を慰めた。

そして、また逃げ始めた。

「もう誰もあいつみたいに捕まるな……!!」

その時だ。このまま、俺らのことを追ってくると思っていた鬼は、全員仮面を取り、泣きながら死んだ…

「……え?!」

俺は、呆然とした。

「お……おい!そんなことしなくていいのに!!」

俺は、涙が止まらなかった。

「やっぱり逃走者を捕まえるような事はやりたくないんだな……」

そう、鬼といっても一応俺らと同じ高校生。

仲間であるべきなんだ……

「で、でも死ぬことはねぇだろ……くそ!!」

俺は怒りからか、拳を強く握った。

鬼の死んでた顔が、

生きてくれ!頑張れ!

とでも言ってるような感じに見える……俺は、涙を拭いた。

「ありがとよ……鬼たち!ちょっと感動しちゃった……この死んでいった鬼のためにも生き延びるぞ!」

敵に感謝することなんか、今が最初で最後だろう……

俺は、深呼吸をして、話した。

「そんで……おいキム。青山を持つのに疲れただろ?」

俺は変わってやった。

そしたら、いつもの放送が流れた。

「残り3時間……」

「もう少しだな……黒崎君、変わってくれてありがとう!」

キムは言った。

その時青山は泣いていた。

「あ、ありがとよ……俺のために……!!なんてバカなんだ、俺は。く、くそ!」

青山は、悔しそうに涙を拭く。

「お礼なんかすんなよ……」

キムは呆れていた

「なんか今日は、泣く光景が多いな……青山、早く足治せよ?」

その時だ。

「おい……鬼!鬼!」

青山は叫んだ。

「来たか……」

俺は青山を持ち上げ、再び走り始めた。

「お前!重いよ!別にいいけど!」

「悪りぃ、頑張ってくれ」

俺は青山の体の重みを感じながらも、捕まらないようにと一生懸命に鬼から差を開くよう走った。

しかしそうはならず、差はどんどん縮んでいく……

「おい!俺、多分走れる!」

青山が強がっているようにも聞こえた。

「嘘だろお前」

さっきまて泣いてた奴が、いきなり治るわけねぇだろ……

と、言いたかったが。

「多分走れる……!!」

俺は、青山の言ったことを信じ、降ろした。

「む、無理しなくていいからなっ!走ろう!」

キムは俺らを励ました。

青山の様子を見ると、足を若干引きずりながら、辛そうな表情をしていたが……

まぁまぁ走れた。

「よし!このままぁ!」

青山は汗だくになりながら、自分を奮い立たせていた。

無意識にただ走っていたからだろうか、再び体育館に来た。

俺は後ろを振り返って、言った。

「差が、結構開いた!前の、あの部屋の中でやる過ごせるぞ!」

皆、俺の言葉を聞くと、前に来た小さな部屋のドアを開けた。

ギィィィイ

と、ドアの開く音がなり、ドアが開いた。

しかし俺は、この判断に後悔することになった……

この部屋にも、鬼がいた。

「まじかよ……!!」

「くそ、ここにもいやがる!!もう捕まりたくねぇよ!」

青山は叫びながら辛そうな顔をしながら再び走り出した。

そして、逃げ始めた。

しかし、その時に……見てる光景がよく分からなかったが。

超人レベルの速さで走ってる奴がいた。

「はっはや!」

俺は思わず叫んでしまった。俺らが遅いはやさで鬼から逃げている途中にそいつは、俺に耳打ちしてきた。

「そこをどきやがれ」

俺は素直にどいた……そいつは鬼に突っ込んで行き、鬼の仮面を無理剥がした……すなわち、殺した。

「何してんだてめぇえ!!」

俺は、叫んだ。

もう一体の鬼は、同じように殺されるという恐怖のせいか。

鬼と逃走者の立場が逆になったかのように、逃げていった。

「何してんだよ……」

「おめぇよぉ……なんでそんな目で俺を見るんだ。こんなことお前らにとっても普通じゃねーか」

そいつは少し怖い目で見てきた。

「普通だと?何考えてんだ!お前……いくら相手が鬼だからってそんなこと……」

俺は、胸ぐらを掴んだ。

「やめろ黒崎!」

青山は、喧嘩になりそうなのを止めようとした。

「まぁ、そう怒るなよ……もしかしてだが、その足の怪我人野郎も捕まってたかもしんねぇんだぞ」

そいつは少し笑いながら言った。

「なんだと?」

青山は、喧嘩を止めようとしたが、 バカにされたような気がしたのか……殴りかかりそうな勢いだった。

「結構有名なニュースだけどな、新聞に鬼を31体殺すっていう記事が前あったんだけどな、読んだか?」

そいつは聞いてきた。

「あ、ああ。読んだ……」

キムは反応した。

「その、鬼を殺した奴……」

そいつはニヤニヤしながらいった。

「お前まさか…」

青山はこいつが言いたいことを分かったような目で言った。

「俺だ」

……は?!

と、全員が声を合わせて驚いた。

「俺が、その鬼の仮面を剥がして、殺した奴……谷川だ」

谷川は、笑いながら話した。俺は思い出した。確かその記事は、青山の家で読んだ……

「お前!よくそんなことできるよな!鬼は確かにいなくなれば夢鬼ごっこは終わりかもしれねぇけどよ……」

俺は、言葉が詰まった。

「けど、なんだ?」

俺は、谷川に遊ばれてるような気がした。

「……けど!!一応、お前と同じ高校生だぞ?それに、殺す他に夢鬼ごっこが終わる方法もあるだろ!」

俺は今まで以上に怒った。

「あぁ、そうかもしれねぇ。だが、殺したほうが早いだろ?」

谷川はニヤニヤしながら言い返した。

「それじゃあまた鬼を殺してくるから……じゃあな」

立ち去ろうとする谷川を、キムは追う。

「まて!!」

しかし、谷川は自慢の速さで体育館から出て行った。

「とんでもねぇ問題児だぞあいつ……」

そしたら、再び放送が流れる。

「残り1時間……」

「体育館に残っていたらもう鬼は来ないかもな……谷川が殺すし」

「許せねぇ……!!」

その時、谷川が体育館から出た出口の反対側から鬼が2体来た。

「くそ!しつこい」

キムが叫んだ。そして俺らは反対側の出口からでて、体育館から出た。

そしたら……鬼の大群がいた。

「谷川は?殺してねぇのか、こいつら?」

青山は首を傾げていた。

「挟み撃ちかよ!」

俺は悔しそうに叫んだ。

「あっちの方にも鬼はいるけど、そっちに行った方が鬼に捕まるリスクは少ない!あっち行くぞ!」

青山がそう叫んだ。

その時、俺はある感覚を思い出した。

人の走ってくる一瞬をかわし……走り、点を決める。

それはバスケではよく使う動きだ。今の、俺だけ鬼に狙われている状況……この状況をバスケの試合に例えればダブルチームをかけられ、ボールを守ってる時だ。

その動きは、俺はバスケ部の中にいた為、知らないうちに身についたものだった。

それを今、俺はこの二体の一瞬をつき、うまくかわせた。

だが、その時だ。

「うわ!離せェ!!」

青山が後ろの鬼の大群の内の鬼、一体に捕まった。

俺は大切な親友、青山だけは失いたくない。

「や、やめろぉ!!!」

俺はすごいはやさで青山に注射器を打とうとしてる鬼の前に立ちふさがった。

「く、黒崎ぃ?!」

青山は目の前の状況がよく飲み込めず呆然としていた。

その時、俺の体に何か鋭いものがささる……

「い、いてぇ……」

俺は叫びたかったが思うように叫べない。体の力が消えていく……なんかみんなの声が小さく聞こえる。

青山、あいつ泣いてる……

「や、やめろ!黒崎君を離せ!」

キムは止めにかかる……ここで俺の目の前は真っ暗になった。


俺は今、何をしているんだ?体が……動かねぇ。

……青山の、身代わりになったのか?

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