夢鬼ごっこ 〜レベル3〜
サングラスはやっぱり注射器を持っていた。
「おとなしくしろ」
と、言われた。
「分かってるって……クソが」
俺らは疲れたのだろうか、言葉が出ずに俺らは次々と打たれていった……
「ん?!」
目を覚ましたら高層ビル……ではなく、さっきまでいたところだ。
「え?!確か俺らは注射器を……」
そしたら、放送が鳴り響いた。
「レベル3も、ここが逃げ場です。なので、もう1回ここで鬼ごっこをしてもらいます。レベル3は増やし鬼ではないです」
「なるほど……」
キムはため息をついて、やる気失せていた。
「レベル3は、6時間。スタートです」
……アナウンスは終わり、辺りは静かになった。
「ねぇ、ここは暗いけど外は明るい!朝なのかな?」
キムは話してきた。俺は外を見てみた。
「あー…そう〜だな。明るいから外が見やすいね」
「あのさ……俺らさ、今テレビにうつってるかもよ」
青山は気付いた。
「あ!た、確かに!つかもっと前からうつってたんじゃねーか?」
そしたらいきなり……
バン!!
と、ドアが勢いよく開いた。
「うわ!!やべ!!」
鬼が目の前に現れた。しかし、俺らは安心した。
「……なんだ、デブの鬼か。太ってるんなら俺らは捕まらねーな」
加藤は少し挑発した。
「おい、そう挑発すんなって……」
その鬼が追いかけてきた。
「……ま、まぁ確かに走るのは遅いけど」
俺は少し笑ってしまった。そして鬼をかわした。鬼は少し諦めたようだった。
「あんな遅いんなら、捕まるのも無理ねぇな」
「あ、青山……!!やめろ!!」
俺は、笑いが堪えきれなかった。
しかし、お遊びはここまでのようだった。
「うわっ!!まじかよ!」
「やべぇな……」
走っていたら、前から鬼が2体来た。
しかも結構狭い道で、走るのが速い鬼だった。
「お!!お前らこっち!!」
俺は横にあった階段を見つけ、誘導した。
「黒崎ナイス!」
そして階段を下に降り、1階の教室に隠れた。
「はぁ、はぁ、来てないみたいだ……」
と加藤が息を休めた瞬間、先ほどの2体の鬼が仲間を連れてきたのだろうか……その2体も含め、鬼が5体来た。
「おい!この教室は狭いぞ!どうすんだ!」
青山が叫んだ。そしたら、キムがドアを押さえ始めた。
「ここは1階だぞぉ!校庭にいけ!!」
そうか……!!
俺は窓を開け、ジャンプして校庭に逃げた。
「キム、ありがと!お前もこい!」
キムも5体分の力にはさすがに勝てず、ドアを押さえるのをやめて、校庭に出て行った。
「ナイス!!」
そして、鬼がいない校庭の真ん中に逃げ始めた。鬼が追いかけてくる時、前にバスケットゴールがある事に気付いた。
「登るか!!」
俺はそう言い、登り始めた。
次に青山も登ってきた。
「あそこにもある!ここは2人くらいしか登れるスペースないからあそこにあるバスケットゴールも使えよ!」
青山は指示した。2人とも運動神経はとても良く、猿みたく早く登れた。鬼はやっぱりここを登れるほど運動神経も良くなかった。鬼は少しだけ、諦めているようにも見えた。しかしその時……さらに新しい鬼が走ってきた。
「またかよ……」
そしてダンクをする様に、飛んだだけでリングを掴んだ。
「どんな運動神経してるんだよ!!」
タッチしようとしてきた。俺らは焦り始めた。
「な、なんだこいつ!」
「そ、そうだ!!ゴールを前に倒せ!」
青山はそういった。鬼は目の前にいる。俺らは体の重心を前にした。
ゴゴゴゴゴ……と、ゴールは重心が傾き始め……ゴールが倒れた。
「よっしゃ!!」
鬼が下敷きになっていた。
しかし、倒したと同時に…
ボキッと音がした。
「いってぇぇ!」
青山は叫んでいた。
「どうした!?」
青山は、足を押さえていた。
「何もねぇよ……!!気にすんな!」
「何がだよ!足くじいてんじゃねぇか!」
俺は気付いた。こいつは足をかなり酷くくじいていた。
「ごめんな、ドジで」
青山は少し笑っていた。
「歩けるか?……いや、走れるか!?」
俺は問い詰めた。
「立つのも辛いかもな…はは」
青山はそう笑った。
「笑っている場合かよ!」
無意識に俺は、目から涙がこぼれた。
「なにやってんだよ!もし捕まったらどうすんだ!」
加藤とキムも鬼を倒したようで、こっちに駆けつけてきた。
「え!!大丈夫?僕、青山君を担ぐよ!」
キムはそう言ってる。
その時、アナウンスがなった。
「残り5時間…」
そして、また鬼が走って来た…
「くそ!こんな時に!青山!キムに掴まれ!」
加藤は叫んだ。
「とりあえず…逃げなきゃな……がんばって担ぐよ…」
キムはそういい、走り始めた。担いでるにもかかわらず、キムは早く走れた。しかし鬼との差は縮まる一方…そしたらただでさえ大変なのに前からも鬼が来た…
「いやぁぁ!こっちだ!」
加藤が階段に誘導した。
「くそ!登り辛い!」
キムは辛そうな声で叫んだ。どこまでも鬼が追ってくる…
「ごめん!誰かかわって!もう…限界!」
キムはさすがに限界のようだったが変わっている暇は無い。
「はぁ、はぁ、くそ!!」
加藤はそう叫んで鬼の腹に思いっきり蹴りを入れた。
しかし、あまり効果が無かった……
「加藤!!なにやってんだ!」
俺がそういった途端……俺らは立ち止まって今の状況を黙って見ていた。
「……え!?」
そして走るのをやめた。
俺の全身の血が引いた……
何故なら、鬼が加藤の足を……
触っていた。