夢鬼ごっこ〜レベル1〜
この作品を書く前に、なんか映画とかとネタがかぶってないことを何度も何度もチェックして、出してますのでネタが似てる〜など思っても、設定を違くしています。この作品はかなりの力作だと思います。書籍化を夢見て頑張って書いています。
ーーーーーー死んでたまるかよーーーーーー
「ご卒業おめでとうございます!」
春……卒業のこの時期。
「皆! 今までありがとう!」
「一緒の高校行こうぜ!!」
そういう別れ話が卒業式では絶えなかった。俺の名前は黒崎 恭介。
そして今日は入学式で、俺は高校一年生に上がる。俺は、入りたかった受験校にテストを受けたが落ちた。そしてバスケ部。勉強なんてこんなに嫌いな事はない。同じ部だった大親友、青山 靖人も、俺と同じ部であり、勉強大っ嫌い。俺と全く同じような性格で、俺と全く同じ高校に受けたが落ちて……なんだか勉強が嫌いでバスケが大好きという思考で仲が良くなり、今では大親友だ。どうせ受験校のテストなんかに落ちても、高校なんてどこだっていい……
生きていれば……
そして入学式では、俺と青山意外みんな知らない子だ。
「おい黒崎! 可愛い女子みーっけ!」
青山だ。
「しーっ!! 声でけぇよ、聞こえたらどうすんだ!」
その時だった、今までの楽しかった時間もここまで……後ろにいる保護者も、在学生も、静かになり耳を傾けた。
それは、チャイム的な音であり……この時がまさに、今までの日常が壊される瞬間であった。
「チャラリーンチャラリーン」
「おっ、何だ?」
皆がその音に反応し、動揺している。絶対学校の放送ではない。俺は、こんなに変なチャイムの音なんて聞いたことがない。
「緊急放送かぁ?」
青山は首を傾げていた。先生、新入生、保護者……誰一人、このチャイムの意味が分からなかった。
「なんだ?」
「どうしたのかな? 放送?」
そして、チャイムが鳴り止むと、いきなり話し出した。
「たった今、高校生に上がられた方々……そして、高校2年、3年生の方々。もしかしたら、あなた達の中でいつもの日常の人生が退屈だと感じる人もいると思います」
「……何言ってんだ?」
青山は口を開け、呆然としている。放送が続く……
「そんな人達のために、退屈な日常を変える、命をかけて行うゲーム……イベントを行いたいと思います!! そのイベントゲームの名は!!」
「……は?」
皆、恐怖の顔をしていた。
「命をかけるゲーム? なんだよそれ......退屈な日常? 俺らが、これから死ぬかもしれないっていうのか?」
俺は全く放送が言ってる意味がわからなかった。
「なんだよ…...なんなんだよ!」
中には、悲鳴を出している人もいた。
「キャア〜! なんなのよ、一体!」
「と、トラブルに違いねぇ! そうだろ絶対!!」
放送は、太鼓のズドドドドドドドドド……という効果音が鳴っていて……いきなり止まった。すると元気よくハリのある声で叫んだ。
「夢鬼ごっこ〜!!」
夢…鬼……ごっこ!?
「......なんだそれ」
「これからなにが始まるんだ!」
入学式会場はどよめきが収まらなかった。
「み、皆様! 落ち着いてください!」
先生は、皆を落ち着かせようと必死であった。
しかし放送は続ける。
「夢鬼ごっこのルール説明は、省略いたします。明日から始まり、いつまでやるのかは未定ですので、ご了承ください。それでは日本中の高校生の皆様!! これからの楽しいイベントを、ぜひ楽しんでいただきますよう楽しみにしております!!」
そして、放送は終わった。
「夢……鬼……ごっこ!? なんだそれ、鬼ごっこ?」
「いやぁああ!! 怖いよぉ……」
「なんだよこれ! イタズラかよおい!」
「エイプリルフールか? そんなの、とっくに終わってるぞ!!」
皆、不満の声をあげていた。辺りは大混乱。ただ、命をかけるゲームを明日からやるということを信じる者は、俺を含め誰もいなかった。
一体誰が?何の為に?!それは誰にも分からなかった。
そして…...なんだかんだで入学式は終わった。
「青山、またなー!」
青山と別れ家に帰り、お母さんが話しかけてきた。
「き、恭介…...入学、おめでとう」
「あ、ありがと……」
お父さんは、泣きそうになりながら言ってきた。
「今日、なんか怖い放送があったけど……死ぬなよ? 恭介」
俺は、まさか親があんなバカバカしい方法を信じてると思わなかった。
「い、いや……まず俺は死なねぇし、あの放送を信じるのもどうかしてるって」
言ったとおり、死ぬ以前に俺はあの放送を信じない。
「だ、だよな…...そうだ、考えすぎだった」
しかし、入学式の時の放送の言葉が頭の中を離れず、夜10時…...そして、12時。俺は気になってしまいずっと起きていた。あの放送を信じはしないが、もし本当だったら…...と、心のどこかで怖がってる自分がいた。だがしかし、鬼ごっこといえば死ぬことはまずない。何故なら、俺と青山は100メートル走では2人ともほとんど同じ、12秒台で学年トップだ。だから絶対誰にも捕まらねぇ。その自信が、俺にはある。
「青山寝たかな…...ちょっとメールしてみよ」
そういい、携帯を開こうとした瞬間……ピーンポーンとドアのベルが鳴った。
めんどくせぇなぁ、誰だよこんな時間に……しかし、親は爆睡している。
またベルを鳴らされる。仕方ないから出るしかない……
そしてドアを開けた。そこには……2人の黒いサングラスをかけているスーツ姿の男性が立っていた。そのうちの1人が、話した。
「お邪魔します」
もう1人も入ってきた。俺は止めた。
「おいっ! 入っていいって言ってねぇだろ! なんだよ、要件を言え」
そしたら1人が押さえた。
「うぉい!! てめぇら、礼儀ってものを少しは知りやがれ……」
俺が抵抗したら、もう1人の男が俺の腕に注射的なのを打ってきた。
「……なんだ……意識が消えていく……なんだ……なんだよおぉ……」
1人の男がいった。
「これは麻酔薬だ。夢鬼ごっこ、お楽しみください。お休みなさい」
なんなんだよ……ふざけ……や……がって……
「ここはどこだ?」
気づくと、俺は超広く超高いビルの屋上にいた。俺は立って、辺りを見渡した。
「うわ!なんだこれ……!!」
その高さに思わず、尻餅をついてしまった。
「うわ、風つえぇー……」
いや……それより……何なんだ、ここは……物音何1つしない、高い所は苦手じゃないがビルの屋上の高さは桁が違う。柵もなにもなく、落ちたら絶対死ぬ。回りにも東京にも滅多に無い高層ビルばっかりだ。
「どこだここは? ……違う世界にでも来たのか? さっきまで何があったんだっけ……思い出せねぇ……」
そしたら、いきなりビルに響くとてつもなくうるさいチャイムがなった。そのチャイムは、入学式の時の変なチャイムの音であった。
「チャララリーチャララリー」
そしたらこの音のあと、放送が流れた。
「皆さん、良く眠ってくれました。ここはあなた達の夢の中です。ここの世界の『自分』という存在が無くなると、現実でも無くなります。この世界にいるのはあなただけではありません。他にもいます。皆、1人ずつ高い高層ビルの屋上に必ずいます」
よく見てみたら…確かにそうだ。皆いる。っていうことは、青山もか?……今はそれどころじゃないか。
「ここであなた達に今からしてもらうことを言います。それはお分かりかもしれませんが、最初の夢鬼ごっこです」
「え…...今、夢鬼ごっこって言ったか?」
放送は続ける。
「地上に降りることは出来ません。これから1時間鬼ごっこをしてもらい、逃げきれた方のみ現実の世界へ返します。今日はレベル1。1時間、ビル内を逃げ回ってください。鬼は10体です」
放送が終わった。これと同時に女子と思われる声がした。
「キャアアァア〜!!」
声の方を見た。
「……え?」
女子がビルから落ちてる!どうして......?
「うわっ!?」
そして女子が地面に落ちた。俺は、思わず顔を逸らした。なんで飛び降りたのか?それは振り返ったら俺もわかった。
「うそ……だ……ろ……おい、おい! 来るな!」
俺は足が震えて動かなかった。150メートルくらい前いた……俺は見た、おそらくあれが、夢鬼ごっこの『鬼』だ。
ピエロの様な明るい顔をした仮面を付けて、黒いコートを着て、フードを被っていた。
「ひぃ…!?」
俺は、鬼が怖すぎて思わずまた、尻餅をついてしまった。
鬼も俺に気づいた途端走り出し、だんだんと距離が近づく。その差、100メートル。90......70......50......俺は鬼の体が一番はっきりと見えた。
「や、やべ!立たなきゃ…...」
俺は力をふりしぼり、立った。
「に、逃げなきゃ……!!」
……しかしまだ、俺の足が全く動かない……そしてその差30……持っているものが見えた!あれは注射器だろうか。針がとても長い……あれに刺ささたら死ぬのか?
「動け......動け、動け、動けぇええ!!」
そう念じていたら、俺の足がやっと動いた!!
鬼も少し疲れたようで、少し速さが落ちたかもしれない。俺は走りだした。そして鬼との差がどんどん開いていく。
「くそ、に、逃げなきゃ!」
ついにその差は約100メートルくらいだろうか。
「ハァ、ハァハァ、おせぇんだよクズ!! 夢鬼ごっこだか何だか知らねぇけど、とにかく俺は現実に帰る! そして逃げ切るぞ!!」
そして、また周りを見渡してしまった。もしこのビルから落ちたら……と、想像したら。足の震えが半端なく起こった。
そしたら、悲劇が起きた。
「う…...嘘だろ!?」
屋上に繋がる階段と思われるところから2体の鬼が上がって来たのだ!
「あの鬼の野郎…...呼びやがったのか?!」
俺はパニックになった。その時だ。放送が流れた。
「鬼、この世界で合計で30体が死亡確認」
そうだ!鬼をここから落とせば…俺はそう思った。この2体の鬼は速い方で、どんどん距離が詰まっていく。
「よし、うまくできるかな……」
そして、鬼が目の前にきた。その時!俺は後ろに回り足で2体を下に蹴飛ばした。
「よっしゃー! 成功!!」
鬼が下へ落ちていった。もう1体の鬼も怒ったようにして俺を追いかけて来て、その鬼も落とせた。俺は放送の言った言葉を思い出した。ビルには鬼が10体。いま3体落ちたから残り7体だ。ひとまず、ビル内には入らず、屋上に留まっていた。
しかし、俺には罪悪感が残っていた。
「人を……殺しちゃったよ……いや、あれは人なのか? ...…分からねぇけど、俺はなんてことをしたんだ………いや! あいつらは俺を殺そうとしていたんだ! 殺しても別に大丈夫だ!」
ずっと屋上に留まり続け、放送が流れた。
「レベル1、夢鬼ごっこ終ー了ー。お疲れ様でした!現実へお返しいたします」