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第35回:予言

「悪魔がきた、ね」

 光を吸いとる漆黒の闇の部屋で、ただ一人、浮き上がるような長い白衣を着た男がつぶやくと、それを合図にしたように、続いて周囲から唱和が起きた。

「見よ、その日がくる。血よりも赤く、炉のように燃える日が。高慢な者、悪を行う者はすべからく無力な葦になる」

「到来するその日は、と万軍の主は言われる。彼らを焼ききり、根も枝も残さない」

「しかし、わが名を畏れ敬うあなたたちには、義の太陽が昇る」

「その翼には癒す力の波動。あなたたちは牛舎の子牛のように、躍り出て跳び回る」

「わたしが備えているその日に、あなたたちは神に逆らう者を踏みつける」

「彼らは足の下で灰になる」

「わが僕モーセの教えを思い起こせ。わたしは彼に、全イスラエルのため、ホレブで掟と定めを命じておいた」

「見よ、わたしは、大いなる恐るべき最後の日がくる前に、預言者エリヤをあなたたちに遣わす」

「彼は父の心を子に、子の心を父に向けさせる。わたしがきて、破滅をもって、この地を撃つことがないように」

 マラキ書第三章一九の二四節を終えると、部屋は水を打ったように静まり返る。

「……なんて、くだらないね」

 白衣の男はつぶやいた。

「……あいつらの聖書においては、悪魔が目覚めて審判の日がくるとある、ね」

「背徳者とリリスによって生まれた、今度こそ真実の悪魔」

「組織は生贄の巫女を用意するでしょう」

「ぬらりひょんは蜂起の準備をするでしょう」

「陽は闇に、月は朱に」

「神はすべてを清算するでしょう」

「すべては運命時刻表どおりに。さてさて、私も準備をしよう。とてもとても暢気に。革命の時間だ」

 白衣の男は、無精髭に覆われたあごに手を当てて、実に楽しそうにクックと笑った。

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