試合
あの893コーチめ・・・
話が進みだろうが!
ピーーーー!
ホイッスルが鳴り響きキックオフ。
俺は三軍の白いゼッケンをつけて試合に参加している。
初めてのポジション、初めてのチーム、初めてばかりすぎる・・・
「FWなんてやらないぞ・・」
「へい!」
俺はSTポジションにいるがさっきからパスしかしていない。
攻め方がわからないのだ・・
ミドル?アシスト?ドリブル?とにかく混乱している。
周りの声が聞こえない・・
味方はどこだ?敵はどっちだ?
「フラフラしてきたな・・」
?「おい」
「ん?」
?「やる気がないなら帰れ、ジャッポーネ」
「・・・」
そうだ俺はいったい何しに来た?
プロになるためだろう。自分の実力を知りたいからだろう。
こんな試合は踏み台だ、俺は海外の強さが楽しみだったじゃないか。
自分が強くなるために戸惑いなんていらない、いるのは進むための足だろう!
ダッ
「パス!」
ボッ パシッ
コ「やっとか」
子1「兄ちゃんだ!」
子2「速い!」
子3「すごい・・」
子4「それにしても」
?「あそこの日本人、やけに楽しそうにプレイしてるな」
子「「「「?・・・・・・!?」」」」
コ「遅かったな、早く来いっていったろ」
?「練習後のダウンだよ、俺も若くないからね」
コ「まぁいい、アイツどうだ?」
?「ドリブル、パス、速さ、この三つは確実に一軍レベルだ。しかし体が弱い、だが体が弱いとチャンスも増える」
子「「「「?」」」」
ピピーーーーー!
コ「FKだな」
?「体が弱いとファウルをよくもらえるそこからのセットプレーが増える」
相手に飛ばされた、しかし痛くはない。
さっきから体が軽い、いつもよりドリブルが冴えている、パスが通りやすい。
楽しい。今が楽しくてしかたない!
「俺が蹴る」
仲間1「はぁ?」
「俺だ」
仲間1「新人が粋がるなよ・・」
仲間2「まてまて、彼がもらったファールだ蹴らせてやれ」
仲間1「けっ」
「ありがとう・・」
仲間2「そのかわりこのチャンス生かせよ」
フーーーー・・・
俺はゆっくり息を吐いた・・
集中して壁をじっくり見る。
さすがイタリアでかい・・・
視線でゴールの右隅を狙う。
落ち着け、いつもの練習を思い出せ・・・
敵GK「視線は右隅・・壁高くとべよ!」
壁「「「「「おう!」」」」」
一歩踏み出す。
あのコースなら大丈夫だ蹴れる。
高校の時に監督に怒られたが。
監督「お前の肝の大きさにはあきれる、いつか大きな舞台でやってくれよ」
監督、俺今から蹴るよ・・・
ドッ・・・・・・バスッ
コ「!!!」
子「「「「!?」」」」
?「あれは無理だな」
俺のFKはゴール右隅。
GKが右隅上に高く飛ぶのを誘い、壁も高く飛ばせた俺はがら空きの壁の足元、そしてGKの脇の下をすり抜けネットへとボールを転がした。
続く
シュ「zzzzzzz!っはぁぁあぁ~まだ寝たりんzzzzz・・・」
こいつは解雇したほうがいいと思う。