こっちも大変です。
今回は沙美視点です。
転校生が来て教室は騒がしくなっていたけど、私はそのまま本を読んでいた。
(とくに興味はないし……)
黙々と読み進めるうちに、本が読み終わってしまった。
時計を見ると8時52分で、まだ図書室に行ける時間。
ちょっとだけ亜樹ちゃんも連れて行こうかと考えたけど、
(たまにはいいよね)
(また騒がしくなりそうだし、たまには一人でゆっくりしたいしね)
ふわふわとウェーブのかかった黒髪に、大きな目、モデルのように美しいスタイルとくれば、
あちこちから野次馬が集まってくるだろう。
それに、亜樹ちゃんはまっっったく気付いていないけど、
(すっごい見てるよ……)
そう、さっきから久純さんがいかにも!な感じの視線を亜樹ちゃんに送っているのだが……
(亜樹ちゃん、鈍いから……)
騒がしくなってきた教室をするりと抜けて図書室への道を急いだ。
* * * * * * * * * * * *
新しく借りた本を抱えて図書室を出ると、久純さんとばったり会ってしまった。
(亜樹ちゃんはもういいのかなぁ)
あんなに見てたのに、と思っていたら。
久純さんは廊下に立っている私に気づくと、
一瞬そのきれいな顔が泣きそうに歪んだように見えた。
だけどすぐにギッ、と強く睨まれる。
(えっ、わ、わたし!?)
不意に向けられた視線に動揺して、もしかしたら、とあたりを見回してみるけど
当然誰もいなくて、
(誰もいないところで睨んでるのって計算かなぁ)
じゃなくて!
(………やんのかこらぁ)
でもなくて!!
(私、なんかしたっけ?)
全く何かした覚えが無いのに、何で睨まれてるんだろと首を傾げていただけなのに、
………さらに怒らせてしまったようだ。
「あんたなんか、あんたなんか大ッ嫌い!!!!!」
そんな全身を震わせて叫ばれなきゃいけないようなこと、したっけ?
ちょっぴり沙美と有が暴走しました。
……あれ、下書きはこうじゃないのに、あれ?
ま、まぁしばらく突っ走りますよ(笑
ひぅでした~