小さな嘘。
亜樹視点です。
昔から本ばかり読んでいたくせに、
ときどきこっちが驚くくらいに鋭くなることがある。
そういう生まれつきの勘の良さと、本を読んでいたことで身に着いた想像力が
合わさって、ド真ん中ストレートのところを容易に当てて見せるのだ。
きっとこうやって聞いてきたということは、ほとんどのことは理解した上でのことのはずだ。
沙美をごまかすことは出来ない。
そう腹をくくり、さっきまでの一連の出来事を話すことにした。
「沙美、一回教室を出て行っただろ?その時に起こった事なんだ」
「みんなに囲まれてたはずの久純がいつの間にかこっちに来てて、
………突然付き合ってくれって言われた。」
ここで沙美は少しだけ目を見張ったけど、すぐに元の表情に戻ってしまった。
「やんわり断ろうと思ってたのに、気付いたら無理って言ってた。
………好きな子がいるからって」
久純に告白された時は、ほとんど反射のように拒絶の言葉が出た。
(たぶん俺にも余裕が無かったんだろうな)
話はこれで終わり、と伝えるとまだ疑ってはいたみたいだけど一応納得してくれたみたいだ。
ほとんど真実を話したつもりだけど、一つだけ嘘をつくことにした。
ほんとは沙美の事名指ししちゃったんだけど、
今はまだ、言えないから。
説明をしてる時に、あることを思いついた。
(もしかしたら、久純に何か言われたのかな)
沙美は基本的に詮索することをしない。
昔からあまり人の心の奥に深入りするのは好きじゃないような感じで、
よほどのことが無ければこういう風に聞いてくることはない。
ということは………
「沙美、久純に何か言われた?」
「ううん、何で?」
動揺するかなと思ってカマをかけてみたけど、きょとんとしているほかは
変わった様子が無かったから、何でもないよと答えて、気にしないことにした。
(まぁ、大丈夫だよな)
かなり長くなってしまいました。
いつまで続くんだー!! というかたもいたことでしょう、ごめんなさいっ
次回ちょこっとだけ恋愛色まざります、
やっとシリアスっぽいのから抜け出せました~よかったぁ。
あんまり楽しくはないと思うのですが。
遅々として進まない話を読み続けて下さっている皆々様、
本当にありがとうございます!
ひぅは感涙にむせび泣いております。
そのせいで涙とか鼻水でべちょべちょのもンの凄い感じになっていますが(汚い……)。
そんな私でも、これからもお付き合いくださることを祈りつつ。
それでは、ひぅでした。