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名前のない光

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/06

日常のふとした瞬間に紛れ込む、言葉にならない感情や見落とされがちな光景。

誰も気づかない場所で静かに呼吸する「名前のない光」を巡る、ささやかな物語です。

どうぞ最後までお付き合いください。

アスファルトの隙間から

小さな青が息をのむ

誰も気づかないその場所で

世界は静かに反転する

ビル風に煽られた言葉が

夜の街灯をすり抜け

硝子の肌に溶けていく

名前もない痛みをかかえ

僕らは今日も

名前のない光を探している

名前のない光は、いつだってそこにある。そこにあるのに誰も気づかない。だからなまえがないのだ。仮にでも名前をつけてあげればいいのに。

 ビルの隙間から熱風が吹いてきた。それはわたしのスカートにいたずら(しようとするので、両手でフレアスカートを押さえた。

 期待したのに、という残念そうな男たちの目は必ずある。

━━名前のない光がその瞬間に発生した気がした。

 なのに男たちの視線を気にした刹那……。それは消えていた。誰の所為でもない。強いて言えば、気まぐれな風の所為。ただの自然現象だ。

 その自然現象は、名前のない光の存在感を圧倒する存在感を持っていた。

 また風邪が吹く。彼が言う。

━━今この場の君の存在感は凄いよ。他を圧倒している。

 そうか、わたしが圧倒しているのか。

ならば、名前のない光の名前はわたしぎ決めてしまって良いのでしょう?

ご愛読いただき、ありがとうございました。

街の片隅に埋もれてしまいそうな、微かで名もない光。それに形や名前を与えるのは、いつだって誰かの小さな意志や眼差しなのだと感じます。ビル風のように騒がしい世界の中で、自分だけの特別な輝きを見つけ出す「わたし」の姿を描きたくて、この物語を紡ぎました。

ふとした瞬間に足元に咲く青や、名付けようのない光の存在を、読者の皆様にも感じていただけたなら幸いです。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。また次の物語でお会いしましょう。

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