言い争い
いつもご愛読ありがとうございます!今回は、学校一不潔な廊下で繰り広げられるシュンの「救世主(自称)」エピソードです。正義感(?)に目覚めたシュンのビンタが、あらぬ方向へと事態を動かします。二人のバカバカしくも微笑ましい(?)日常をお楽しみください!
その日の昼休み、僕たちは校内でも有名で、最高に不細工な廊下を歩いていた。全校生徒が心の底から忌み嫌っている場所だ。
誰かが吐いたあと三ヶ月は放置されているような、そんな臭いが立ち込めている。
……いや、もしかしたら数年モノかもしれない。
とにかく、全員がここを嫌っている。校舎の外の上海はあんなに綺麗で、騒音もないっていうのに。
プップー!
「おいシュン、バナナの皮なんてその辺に捨てちまえよ。誰も気にしねえからさ」とタラカ。
いや……外だって少しは汚染されてるし、そこまで綺麗ってわけじゃない。でも、この廊下には唾を吐く気にもなれない。
上海の路上になら喜んで吐くけど、この廊下には僕の貴重な唾液をかける価値さえないんだ。
歩いていると、ある光景が目に留まった。
タラカはまだ僕に悪態をついていたけれど、僕は無視した。あいつの言葉なんて知ったこっちゃない。
それよりも、気になるものを見つけたんだ。
この醜い廊下に、二人の醜い少年。一人は黒髪で、もう一人は……。
あ、区別がつかない。どっちも黒髪だ。
同じクラスの男子二人が喧嘩をしていた。ただでさえ汚いシャツを掴み合い、さらに汚い手で汚れを塗りたくっている。
道で鉢合わせて、理由もなく威嚇し合っている二匹の猫みたいだ。
「俺が誰だか分かってんのか、あぁ!? 言ってみろ!」一人が相手の口の中に突っ込みそうな勢いで吠える。
「知ってるぜ、お前はただのクソ野郎だ」もう一人が言い返す。
「タラカ、ちょっと待ってろ。僕があの言い争いを止めてくる」
僕はドヤ顔を浮かべ、前に踏み出した。
今日は善行を積んでやるとしよう。
「え? 息子よ、何する気だ? おい待てって! 黙って見て楽しもうぜ!」
「シュン!!」
……ダメだ、あいつは聞きやしない。
一応見守っておくか。あいつ、脳みそ死んでるからな。
シュンは二人の前に進み出ると、それぞれの頬に五本指の跡がくっきり残るくらいの強さで、思いきりビンタを食らわせた。
「……てめえ、何者だ! なんで俺たちを殴った!」
さっきまで濡れた仔猫のようだった二人が、今は虎のような目つきで睨んできた。
「蚊がいたんだ。君たちの血を吸ってた。放っておいたらマラリアになってたかもしれないぞ」
「僕はそれを仕留めた。君たちを救ったんだ。これは正当防衛だ」
「だったら、その蚊の死体を見せろよ」と黒髪の男。
「いやぁ……逃げられたみたいだ」
僕は手のひらを見せてとぼけた。
「俺たちをコケにする気か?」
二人が同時に襲いかかり、僕のシャツを掴んだ。
「待て待て、喧嘩を売るつもりはないんだ」
「実は、君たちの言い争いを止めるためにビンタしたんだよ」
僕は至って冷静に言った。
「「は?」」
シュンは二人の肩に手を置いた。
「いいか、次からは喧嘩なんてするな。物事は冷静に解決するんだ。じゃないと、僕みたいに隙をついて利用する奴が現れるからな」
シュンは悟りを開いたような落ち着き払った声で言った。
「……ああ、分かったよ。納得だ」
彼らは毒気を抜かれたようにそう答えた。
「よろしい」
シュンは2分のYouTube動画で学んだ「ミューイング(Mewing)」で顎のラインを強調しながら、自信満々にタラカの方へ歩いていった。
「うわぁ、すげえな息子! 天才哲学者かよ!」
「パパはお前を誇りに思うぞ」
タラカが拍手する。
「だろう? でも、あいつらがそれ以上にバカだっただけだよ」
シュンは目を閉じて格好つけた。
「おい、てめえ! ビンタの仕返しがまだ済んでねえぞ!」
背後にさっきの二人が仁王立ちしていた。
「……あー、息子よ。こればっかりはパパも助けられねえわ」
「おいタラカ、助けろよ!」
「だから言っただろ、ポップコーンでも食いながら高みの見物しとけって」
その日、シュンは学んだ。
時には、ただその瞬間を楽しんでいるのが一番だ。下手に動くと、それは「愚行」に変わる。




