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2.安請け合いは良くないぞ

出発してから1日と少し。

道中で一度キャンプをして夜を明かした後どうにか目的地まで到着!

さすがに歩いて疲れたし、今日は休憩させた貰って明日から頑張ろうかな、と考えていたのだが、


「頼みます勇者様!どうかこの村をお救い下さい!」

「勇者様だけが頼りなのです!」

「勇者様!どうかお助けをぉぉ!!!」


はい。無理です。俺の休憩無くなりました。

なんでだよ!俺にも休みをくれよ!魔物がいて大変なのはわかるけど、1日くらい良いだろうが!明日から本気出させてくれよ!

いつやるの?今でしょ!ってノリで魔物討伐はやる物じゃないんだよ!


いや、やるけどな?そんなに頼み込まれたらやるけどな?

だって俺、勇者ですし!俺、勇者だし!!(重要なことなので2回言いました)


「分かったぜ。この俺、勇者がこの村の問題を解決しよう!必ずやり遂げて見せるから待っていてくれ!…………ただ、一旦荷物だけ宿泊場所とかに置かせてもらって良いか?さすがにこの荷物を背負った状態で戦いに行くのは問題があってな」


格好つけて宣言した俺だったが、さすがに少しだけ休憩時間の確保の言い訳を用意させてもらった。荷物を置く時間ということにして、部屋で少し休んだりするくらいはできる…………はず。たぶん。

ついでに物資とかも提供してもらえないか頼んでみたら時間は稼げるんじゃないだろうか?


「シアニ。矢は足りるか?補充が必要そうなら頼んだ方が良いと思うが」


「…………ん。欲しいです」


「かしこまりました!すぐに用意させます!……君!とってきてくれるかね!」

「はい!今すぐ!」


いや、ダメそうだな~。猛ダッシュで物資を取りに行ってくれたし、そっち方面での時間稼ぎは出来なさそう。罪悪感はあるが、部屋でゆっくりさせてもらうことにするか。

何か作戦でも立ててるってことにしてな。


というか、実際作戦を立てておく必要はあると思うんだよな。相手はバジリスクなんていうそこそこ危険で有名な魔物だし、対策なしで行くことはさすがに危険だと思うんだよな。

シッカリ全体で動きの確認とかしておいた方が良いだろう。

なんて考えつつ荷物を置けてついでに宿泊もできる場所まで案内してもらったんだが、


「「「「…………チッ」」」」


部屋に入った瞬間恒例行事が行われた。

各々好き放題に言っているな。


「なんじゃあの自分勝手な奴らは。勇者様の優しさに付け込んですぐに討伐することを求めるなど、勝手にもほどがあるじゃろう!」

「こちらのことなど一切考えていないあの態度、いったい何様のつもりなのやら」


確かに来て早々だったから色々と言いたくなる気持ちも分かるけど、そこまで言わんでも…………村の人達だって、本気で困ってるんだから仕方ないだろ。

ただ、それはそれとしてこれからすぐに仕事だっていうことにも怒ってるっぽいから。


「悪いな勝手に決めてしまって。相談したほうが良かったよな」


「あっ、いえいえ。勇者様を責めているわけでは」

「お優しい勇者様があのような頼み方をされて断れないことは重々承知している。悪いのは村の人間だから気にしなくていい」

「勇者様に悪いところなど1つたりともございませんとも」


謝ったんだが、これで逆に慌てたような様子で否定されてしまった。どうやら俺の謝罪は求めていなかったらしい。てっきり、不満を目の前で言うことで罪悪感を抱かせようという考えなのかと思っていたがそういうことではないらしい。

ただ逆に、これはこれで怖いんだよな。俺は全く悪くないとかいわれると何を求めているのかが分からなくなる。明らかに俺が悪いと思うようなときにもそういわれるから何をしたいのかさっぱり分からないんだ。

俺を調子に乗らせた地とかだとしてもそこまではする必要がない気がするんだがなぁ。


いや、徹底的にここまで俺の敵ではないアピールをすることによって裏切る可能性を俺が考えにくくなるようにしているのか!?そうまでして俺を油断させに来るとは、恐ろしい奴らだ!


「さて、それではこれから倒しに行くバジリスクの説明と考えておった対策の話でもしようかのぅ」


おっと。俺が怪しく思ったからかは分からんが話題を変えてきたな。

とはいえ必要なことだし俺も乗っかるとするか。対策を立てていないと、最悪命に関わる事態になりかねないからな!


「バジリスクの最大の特徴と言えばやはり、石化能力じゃな。であるから、迅速に勝利をする必要がある」


「石化か。厄介だな」

「効果範囲外から仕留めるのが1番楽そうだが…………そう甘くはないのだろう?」


「そうじゃな。当然身体能力もそれなりに高い。シアニの弓や儂の魔法を範囲外からたたき込んでも、倒しきることは難しいじゃろう」


石化能力と言うのは非常に厄介だ。利用の仕方によってはあえて自分を石化させることで防御力を高めるみたいな使い方もできなくはないのだが、基本的に害にしかならない。しかも厄介なことは、石化をした部分は石化の現況を倒したとしても元には戻らないってところだな。

つまり、石化した段階でアウトだってことだ。ただ、倒さない限りさらに石化が進行していくため倒す必要はあるんだけどな。

一応石化を解除する薬や魔法もあるらしいのだが、そんな薬は持っていないし聖女もそういった類の魔法は得意ではない。だから、考えなければならないことは如何に石化をせずに敵を倒すか、だ。


ちなみに、他の石化を扱う存在としてメデューサと言うものがいるのだが、難題か前の勇者は鏡を持って石化を鏡で反射すればメデューサを逆に石化させて倒すことができるなんて言う話を聞いたことがあったらしい。

実際その話が出てきた時にはみんなが期待したし実際に勇者もその方法で討伐しようとしたのだが、結局鏡による反射は意味がなかったらしい。一応反射自体はできないこともなかったそうなのだが、メデューサは石化しなかったんだとか。自分の使う能力への耐性があるというのは当たり前と言えば当たり前の話だよな。

恐らくバジリスクも同じように耐性を持っているはずだし、石化を利用して倒そうというのは難しいだろうな。


「キヒッ。村のやつらを盾にすれば簡単なんじゃねぇの?」


「どう考えても勇者パーティーとしてやっちゃダメな戦い方だろうが。偶然ならともかく故意にそれをやるのは駄目だ」


「なるほど。自発的に行わせればいいということですね?」


「こっちからそうなるように流れをつくるのはどう考えたってアウトだろ。石化治せないんだから、村の人間を元に戻せないだろうが」


こいつら、最初に出してくる提案が全部倫理観を捨て去ったものなのはなんでなんだ!

確かに村の連中を盾にして石化を回避する戦い方は楽と言えば楽なのかもしれないが、一体それは何人の犠牲が出るという前提で考えているんだ?たぶんその戦い方して村の人間石化させたら、村の人口減りすぎて村が今後回らなくなるぞ!?


「儂も村の連中を使って戦う方法は考えたんじゃが、勇者様は反対なさるじゃろうから別の作戦も用意しておいたぞ。まず、シアニに眠り薬の塗られた矢で攻撃してもらう。そして、その薬が効き始めたところで勇者様たちに強力な攻撃をしてもらって始末する、と言ったところじゃ。どうじゃ?」


「ああ。今までの中だと1番まともだな。問題があるとすればバジリスクの睡眠薬への耐性の高さと、あとはそれだけの眠り薬があるのかどうかってところなんだが」


「キヒッ。それなら持ってるぜぇ。めちゃくちゃ強い眠り薬があるんだ」


賢者のアンミからようやくまともな提案が来た。どうやら、薬を使って眠らせている間に攻撃するというとてもシンプルな物らしい。簡単だがそのぶん上手くハマれば高確率で成功するし、悪い事ではないだろう。

都合よく必要なものもそろっているということで、


「後は、いかにして向こうに近づかれる前にこちらが発見するのか、ということを考える必要があるか」


「ああ。それもそうだな。アンミ、なにか考えはあるか?」


「ふむ。そこも考えたんじゃが、1番楽なのはやっぱり村の人間を使って人海戦術をすることじゃな。いる場所に近い人間はすぐに石化するじゃろうし分かりやすいことは間違いないしのぅ」


お前もかアンミィィ!!!!

ここまで良い感じにまとまな意見を言ってたのに、急にはしごを外してくるんじゃねぇ!!

なんでこのパーティーにはいったん人間を犠牲にしようと考えるやつが多いんだよぉぉぉ!!!

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