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自分以外戦闘職がいない件

作者: koba

 俺は、友人に進められて最新VRMMOを始めた。

最初は楽しかったのだ。職業を選んだり、ステータスを振ったり。

しかし、いざゲームを始めると、そこら中に露店はあるし、やたら「お前戦闘職か!?珍しいな!」と言われたりする。何かがおかしい。このゲーム。あの友人、推めるゲーム間違っていないだろうか。


とりあえず、チュートリアルを終わらせる。

まず、冒険者ギルドで冒険者登録をする。

ギルドの受付嬢にはなぜか喜ばれた。そして、「お客様が当ギルド初のお客様です」と言われた。

つまり、この世界には他に冒険者がいないということだ。なんということだ。


でも、戦闘職を選んでしまったのでこのまま進めようと思う。

冒険者ギルドに登録するとギルドカードをもらえた。そこにはステータスとレベルが書いてあった。

そこでステータスを確認するようだ。ウィンドウはまだ開けない。


次に、冒険者ギルドで魔物の討伐クエストを受け、魔物を倒す。

クエストは掲示板のようなところに貼ってあって普通に受けれた。

今回のクエストはツノウサギを3体討伐することだ。


結構簡単にツノウサギは見つかり、剣で簡単に倒せた。

周りを見渡すと、おびただしい数のツノウサギがいた。なぜだ。

でも、2体倒すだけでいいのでもう1体見つけて倒したら、クエストクリアになった。


ここまでは普通のMMOだった。

だが、街に戻ると、


「俺の畑の近くの魔物を狩ってくれ!」

「私のペットたちを守って!」

「この素材を取ってきてくれ!」

「戦いに連れて行って経験値を手に入れさせてくれ!」


と、たくさんの声が聞こえた。Lv1の俺に向かって。

どうしてこんなに戦闘職がいないのだろう。普通なら少なくてもある程度は居るはず。

とりあえずすべてのお願いを断り、ギルドに戻った。


そして、受付嬢の人にどうしてこんな事になっているのか聞いてみた。


「実は、このゲームの説明に「自由自在な世界をあなたに!『戦闘職でなくても』」と書いてしまったらしいんです。それが、戦闘をしたくない人にとってとても嬉しかったらしく、戦闘したい人が全くソフトを買えないくらいに売れてしまったんです。そして、次の販売までに人気タイトルの新作が出て、戦闘したい人はみんなそっちに行ったんです。そのあと「戦闘をしないゲーム」として評判になってしまって、全く戦闘職を選ぶ人がいなくなったんです。だから、あなたがこのゲームで唯一の戦闘職なんです。」


かなりやばいゲームだった。友人も生産職を選ぶと思って推めたのだろう。


「ありがとうございます。」


受付嬢に礼を言ったあと、強くなるために街の周りのツノウサギの大群に向かった。

戦闘職がいなさすぎてこれほどの群れになるまで放置されたのだろう。

普通に街の中を歩いて向かっていたのだが、


「うちの装備を使ってくれ!」


と結構言われる。他に使える人がいないのだろう。

街の外につく頃にはガチガチの装備になっていた。レベル1とは思えないほどに。

今の装備は、

武器 聖剣エクスカリバー

   聖槍ロンギヌス

防具 ミスリルの鎧+36

   ミスリルの兜+49

   自動結界

消耗品 伝説級エリクサー改×100

    伝説級MPポーション神×100

    瞬時魔法陣制作ツール(100回まで)×20

になった。たぶん運営の想定では最終盤に出てくるであろう装備たち。

ツノウサギと戦うには強すぎる装備たち。ツノウサギたちが可哀想だ。

しかし、ここまで期待されているからにはツノウサギを狩り尽くさないといけない。


ツノウサギの大群のところにたどり着いた。

ツノウサギは反応もせず、そのまま進み続けた。生産職が弱すぎるから無視しているのだろう。

俺は剣を構え、うさぎを切った。


はずだった。しかし、聖剣エクスカリバーはツノウサギを切っただけでは止まらず、先端からビームを放ち始め、ついには周囲に爆弾を降らし始めた。すでに剣じゃなくなってる。


1体のうさぎを切るはずだった剣は、うさぎの大群をすべて消し、周辺の地形を大きく変えてしまった。

なんで自分達で使わないのだろう。ビームと爆弾なら誰でも使えそうだけど。


調べると、このゲームでは生産職は武器を扱えないらしい。だからこんなに溜まっていたのか。

運営を恨みたくなる。だが、恨んでもこの状況は変わらない。


この戦いで、レベルが38上がった。あまりにツノウサギが多かった。

さらに言えば、土の中にいたモンスターまですべて倒していた。

それもこれもすべてエクスカリバーのせいだ。誰がこんな機能をつけたのだろうか。


街に帰ると、エクスカリバーを作った人から使った感想を聞かれた。

もちろん、ビームが出て爆弾が出て、剣とは思えなかった。と言った。作った人は満足そうだ。

一体どんな趣味をしているのだろうか。


その後も沢山の人から依頼を受けた。

今はレベルが上ったので大体の依頼を受けた。時間が足りるかはわからない。

けど、みんな報酬が美味かった。どこからそんな大金が出てくるのだろうか。というぐらい。


まずは採取クエストをする。

採取場所は、雪の高山だ。名前の印象よりも最初の街に近く、徒歩10分圏内だ。

敵もそこまで強くない。エクスカリバーがあれば楽勝だ。

かなり寒いが、鎧の効果で普通の気温にしてくれるらしい。


やっと採取するものを見つけた。その名前は雪の透明花(スノーフラワー)だ。

名前の通り透明で、花びらを触るとすぐに溶けるらしい。

花びらを触らないように注意し、採取する。そしてすぐにポーチに入れ、街に帰る。


依頼者に渡すと、

「これでやっと究極のポーションができる...」

と喜んでいた。出来ても渡さないでほしい。


次にある畑の周りのモンスターを狩る。

そこは始まりの森の中にあり、周りにいるモンスターの推奨レベルも低い。

しかし、エクスカリバーで畑を壊したらだめらしい。


めんどくさかったので目立つ攻撃で森のモンスターを集め、畑から遠いところでエクスカリバーで倒した。もうエクスカリバーが爆発したりビームを出す事に慣れてしまった。

これで依頼完了のはず。


依頼主に報告したら

「これで禁忌の野菜を育てられる...」

と言っていた。禁忌を侵さないでほしい。


最後に誰かのペットを守る。

どうやら依頼主は出かけるのだが、ペットの立入禁止で、出かけている間ペットを守ってほしいという内容だった。

とてもめんどくさいのでペットに自動結界を張って、俺は周囲で休んでいた。

依頼主が帰って来る時間になったら結界を外し、しっかり警備をしている感じにした。


依頼主は帰ってきたら、

「これでもっと強く可愛いペットを手に入れられるわ...」

と言っていた。今のペットも大事にしてあげてください。


何個か依頼をこなしたが、そこまで面白くないのでラスボス討伐に行く。

この装備なら行ける気がする。


なんと、1発目で魔王城まで行けてしまった。

道中の敵が雑魚過ぎて、無視しても歩けてしまった。

たぶんミスリルの鎧+36とミスリルの兜+49のせいだ。


そもそも+は強化値と言って、強化値を上げるには同じ装備を合成して作るものだった気がする。

合成できるのは同じ強化値のアイテムだけだった気がするから、鎧は68719476736個、鎧に至っては562949953421312個だ。どれだけ頑張ったのだろうか。俺だったら絶対途中で諦める。


そんな装備のせいなのか、相手の攻撃を全く受けなかった。

それは、終盤の魔王軍幹部のボスでもだ。このゲームにはやりこみ勢が居るようだ。

この調子だと魔王の攻撃も受けない気がする。だって、まだ耐久値が1すら減ってない。つまり、弱すぎる攻撃として見られてる。


魔王の城に突入すると同時にエクスカリバーを取り出し、爆破を起こす。

そして魔王の間に突入...って、あれ?城が無くなってる。

ログを見たらしれっと「魔王を討伐しました」と書いてあった。弱すぎ。


そのあと、何故か魔王城にあった転移門で最初の街に戻り、街のみんなに報告した。

ちなみに、今の俺のレベルは100だ。カンストしたらしいので、もうレベルは上がらない。



魔王を倒しても、普通のクエストを受ける。なぜなら、この世界に街は1つだ。

それが、この街に人がたくさんいる理由だ。それなのに何故か他の街から商人が来るので生産職は楽しめている。


これからも俺は街の生産職のクエストを受ける。それが、唯一の楽しみで、最大の楽しみだからだ。

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