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変な意味じゃないですよ!?

「先輩の服、小さくなってきたんじゃないですか」

「……」

「変な意味じゃないですよ」

「いやそれいうと変な意味に聞こえるから!」

 望月はツッコんだ。ツッコまれたのは須藤だ。放課後の教室、校舎の正門から奥へ奥へと進んだ離れ島の空き教室にて二人は、教育の進歩により設立を計画されたパソコン部に人が集まらなくて部として成り立たなかったために座り心地のいい椅子とパソコンが取り残された教室にて居心地よく座り心地のいい椅子に横並びに窓に向かって座り談笑していた。

「私の服が小さくなってきたってさ、なんかその、私が肉付きのいい女になったみたいじゃないか!」

「だからそんな意味でいってないんですって! ただ単に洗濯で縮んだんじゃないかってそう思っただけですから」

 須藤は学ランを床に叩きつけて、着なおした。

「いやまあいいんだけどな、私も一応女子なわけで、お前男だろ、変な意味に聞こえるから気をつけろよ」

「すみません」

 互いに座り直し服を伸ばして息をつくと沈黙の間にカラスが鳴いた。須藤は頭の後ろで腕を組み、ついでに足を組んだ。それを見た望月はつま先をうちに向けて膝をくっつけるとその上に拳をふたつ置いた。須藤は何してるんだ、といった様子でチラ見した。

「俺、お手洗い行きますけど先輩も行きますか?」

「……」

「変な意味じゃないですよ!?」

「だから変な意味に聞こえるっつってんだろ!」

「いやトイレ行くだけだから!」

「男が女を連れションするか! そもそも変な意味じゃないってか、変な意味だろうが!」

「ちが、モジモジしてるから漏れそうなのかなって思っただけ! 俺の優しさだろうが、甘えろや!」

「……」

「変な意味じゃねえからな!」

「変な意味だろ、なんだよ甘えろって!」

「トイレ行くっていうの恥ずかしいとか思うのは普通だろうが!」

「恥ずかしくねえよ、お前の前で何回もお手洗い行ってるだろうが!」

 須藤は学ランを床に叩きつけて、着なおした。

「すみません、とりみだして」

「こっちこそ、確かに密かな優しさだったな、組んでやれなくてごめんな」

 互いに服のシワを伸ばし座り直す。望月が乱れた髪をとかそうとカバンから櫛を取り出そうと須藤に背を向けて屈んだ。学生服の隙間から肌が見えそうなのが横目に見えた須藤は目線をそらした。

「先輩は別に太ってないと思いますよ」

「……」

「これは変な意味じゃないですよ!?」

「だから変な意味に聞こえるんだよ! なに、キモ、私の制服越しの肉の輪郭を想像して捉えたってことか! それとも見えたのか! 私の駄肉が見えたのか!」

「何も見えてねえよ、自意識過剰やめろ! なんか言い過ぎた気がしたからフォローしただけじゃねえか、過敏になるな!」

「それでも太ってないと思うはいやらしい目で見てるだろ、お前まさか私の事変な目で見てないだろうな!」

「……」

「変な間を置くな!」

「置いてねえよ、これっぽっちも見たことねえから思い返そうとしても返す言葉がなかったんだよ!」

「それはそれでムカつくな」

「すみません体がホットホットになっちゃって」

 須藤は学ランを脱いで着なおした。望月は座り直すと俯いて、髪をとかす手が止まった。

「……お前さ、私のことどう思ってんの?」

「……」

「変な意味だよ、答えろ」

「一緒にいると落ち着くっていうか、多分、恋してます」

 ハッピーセイシュンパヒューパヒュー!

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