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鑑識眼  作者: 寝眠猫
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神崎麗夏の思い

「……あ。すまん委員長。やりすぎたわ。魂取れず黒木死んだわ。」

「お、おいいいいいいいーー何をしてくれてるんだ!!!せっかく帰れるチャンスだったんだぞおおおうう!!」

私、神崎麗夏は呆然としていた。何が起こったの?黒木くんが立っていたところには大きく穴が空いており、黒木くんは跡形もなく、いなくなっていた。

……黒木くんは死んだの?なんで?闇の属性保持者だったから?そんなことで?

「それはそうと…みてたか!?麗夏ちゃーん♡よかっただろォ?麗夏がいちいちあいつを庇う手間がこれからは省けるんだぜ。」

こいつは何を言っているの?あぁ思い出した。こいつが魔力を使ったから黒木くんは殺されたのね。……あぁまずいこれは。憎しみ?そんなもので収まる感情じゃないわね。このままじゃ私もこいつを殺してしまいそう……。落ち着くのよ私。

「死ね。」

あまずい!口に出してしまった!!!

「は?え?れ、麗夏ちゃん、?」

あれこいつってこんなに気持ち悪かったっけ?もともとキモイとは思っていたけど焦る姿が一番気持ち悪いわね。

「はいはい!真の勇者様殿!落ち着いてください!これは不慮の事故です!仕方のない犠牲なのです!クラスメイトの死。弱いということの愚かさ!この事故で学べたことも多いでしょう!」

薄々気づいていたけどこの女神もクソね。でも………呆然としていた何もできなかった私も同類ね。

黒木くんはいつもいじめられていた。その原因の一つに私が関わっていることも知っていた。でも……私は黒木くんが好きだから、どんな形であれ、関わることをやめることはできなかった。私は黒木くんの毒にしかなっていない。さっきのことも光の属性保持者のわたしなら守ることは不可能ではなかったかもしれない。動けなかったのは……怖かったからだ。…………それじゃあ、あの時と何も変わっていない……。

今私にできることを考えるんだ。私にいったい何ができる?

今できることと言えば黒木くんの死を信じないことだ。これを信じてしまえば終わりな気がする。私が黒木くんに縋っているだけかもしれない。……でも黒木くんは生きている、何故かそう思う。

「勇者様殿!さっきの事故でわかったと思いますが、この神殿はダンジョンの中にあるのです。ダンジョン内は魔物がたくさんいます。危険なので今すぐ裏口からここをでましょう。地上にある真の女神の神殿に向かいましょう。」

え?魔物?さっき黒木は落ちていったわよね?しかも穴を見るに、大分奥深くに………

「待ってください!!黒木さんは?!!ダンジョンは危険なんですよね!?このままじゃ黒木さんが危ないです!!」

私は黒木くんが危険だとわかりつい必死になってクソ女神に聞いてしまった。

「……ふっふふふふ!何を今さら?もう黒木さんはお亡くなりになられたのですよ!大丈夫です!神崎勇者は光の属性保持者!私たち女神が一人つきますので!絶対安全ですよ!」

………あ゙ぁ腸が煮えくり返りそうだ。こんなクソ共に何を言っても無駄だ。これから私一人で黒木くんを探すしかない。そう思い、黒木くんが落ちた穴に向かって歩き始めたとき、

「その光の属性保持者に女神がつく話なんじゃが、神崎勇者にはわしがついてもよいかの?」

異世界に召喚されてから、魔法の説明をしていた女神がそう言った。

………誰がクソ女神なんかつけるか。

「結構で、」

あれ?この魔法の女神、そういえば黒木が闇の属性とわかってからも黒木を笑ったりしてなかった気がする。というよりさっきからなにかずっと考えて……

「嫌なら他の女神でもいいが……」

「いや!お願いします!!」

今はこの女神が一番話がわかるかもしれない。どうせ一人つけないといけないならこの女神以外は論外だ。

「なら私は澤田様につこうかしらー♡さっきの魔法の威力もすごかったですぅ♡」

「なら妾は京極勇者で。」

「うちは氷室勇者で!よろしゅう!」

明らか光の属性保持者に媚を売る女神たちを見てずっと思っていたことを、私についた魔法の女神に聞いた。 

「あのーなんで女神たちは光の属性につくのですか?あとあの媚の売り様はなんなんですか?」

魔法の女神は少し言いづらそうにも、話してくれた。

「あーそれは、女神にも立場があってじゃな、強い勇者を育て、魔王を倒した暁には膨大な報酬が得られるんじゃ……だから強いものに媚びを売るのじゃろう。」

ほほーん。なるほど。だからかー……でもなんで私の魔力の強さもわからないのにこの女神は私についたのだろう?

「あのーあなたは、」

「フェタリでいい。わしの名はフェタリだ。」

「わかったわ。フェタリ。なぜあなたは私に一番についたの?」

「それは……」

フェタリが言いにくそうに口をもごもごさせている。まぁこの女神フェタリは悪いやつじゃなさそうだし、別にいいか、また今度改めて聞いてみよう。

「言えないならまだいいよ!また今度教えてね。」

「あぁ助かるぞ。すまないな。」


「はいはーい!勇者共!話はまとまったかなー?今から地上に上がって装備などを整えてからダンジョンに行きますよー?」

え?ダンジョン!?危険なところなんじゃないの!?行くの!?

「えええ!ダンジョンって危険なんじゃ……行くんですか?!」

私の思ってることをクラスの女子がそのまま言った。

「もちろん。危険なところです。ですが勇者様たちはこの世界の人よりもずっと力を持っています。魔王を倒すには多大な資金も必要です。ですからまずはダンジョンでクエストをクリアしつつ、戦いに皆で慣れていくことが大切なのです。一人で戦うなんてことは絶対に無理です。皆で力を合わせて、頑張るのです!!目指せ魔王討伐!!!です♪」

一人では無理、か。


………黒木、絶対に見つけて助けるよ。どうか、どうか無事でいて。

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