異世界転生
「はぁぁぁぁ!?」
病院から帰った次の日の朝。教室中に澤田の声が響きわたる。…あぁ今日は教室でもいじめられる日か。
「お前さぁ。昨日来んなつったよな?まじで調子乗ってんじゃ…」
「澤田くん!!いい加減黒木くんにちょっかいかけるのやめてください!!」
この声の主は神崎麗夏。何故かいつも俺が澤田たちに絡まれていたら注意をしている。
「はぁ…。麗夏ちゃんさァなんでいつもこいつなんかを庇ってるんだ?」
澤田は麗夏のことが好きだ。まぁこの学校の大抵の男は容姿端麗、成績優秀な麗夏に恋をしているが。
「あなたには関係ないですっ!黒木さん。大丈夫ですか?」
「あ、あぁはい…。だい、じょうぶです。」
やめてくれ。君が俺を庇うほど放課後…
「あいつさァもう____。ははっ!な?いいだろ?」
「はははっ!澤田天才かよ!」
澤田たちは放課後、俺に何をするか話してんだろ。はぁ……神崎麗夏、お前が火に油を注いでるの気づいてるのか?お前のせいで………いや、これは当てつけだ。そうだよ。全て俺が強ければよかったんだ。いじめも。家族のことも。
…強ければ…強ければ……っ。
「うぉ!?な、なんだ!!?」
「きゃっなに!?!」
「な、なに?ゆ、床が!!」
突然、落雷のような音が教室に鳴り響き、教室の床には魔法陣のようなものが浮かび上がり、辺りは光で埋め尽くされた。俺含め、クラスメイトは突然の理解不能な出来事に気を失った。
微かな意識で俺はある声を聞いた。
「この__目、最__は______だが___託」
「だが____恨______こまれ_ぞ。」
「「「「勇者様共!!!!起きてください!!!」」」」
!!!??なんだ……ここ、は。俺たちは気づけば神殿のようなところにいた。
「な、なんだ!?ここ。」
「何あの4人めっちゃいい女たちじゃん。」
「ちょちょっと。なにここ。怖いよ。」
どういうことだ。さっきまで俺たちは皆教室にいたぞ?……そういやなんか神崎麗夏と澤田が言い争っている途中、魔法陣みたいなのが浮かび上がって教室は光で埋め尽くされたよな。あれって……
「驚かせてすまない。勇者共。」
4人の女性の中でも怖そうな人が申し訳無さそうに謝っている。…それより勇者だと?何一つ状況が掴めないんだが…。
「皆様困惑しているようなので私たち、女神から勇者様殿に説明をさせていただきます。」
この四人の女性はどうやら女神らしい。普通なら信じられないが、もうこんなに現実味のないことがたくさん起きているんだ…信じてみよう。女神の中でも一番リーダーぽい人の説明を聞くに、こうだった。
俺たち、クラスの皆は異世界、『ディザスタ王国』に厄災をもたらすものを排除すべく、勇者として召喚されたらしい。
「早速ですが、今から皆様には属性検査をさせていただきます。」
属性検査?もしかして異世界漫画とかでよくある魔法の属性とかのことか?
「属性にはいくつかの種類があるのじゃ。主な属性は火、水、土、氷、風、光の6つじゃ。」
女神の中で、いかにも魔法に詳しいです!私!というファッションをした女神がこの世界のことについて教えてくれた。
まずこの世界には魔法が存在するらしい。信じられないが召喚された時点で信じざるを得ないだろう。そして魔法の属性は女神が言っていた通り6つの種類があり、ごく普通の平民は土、騎士や冒険者、貴族は火、水、氷、風が多いらしい。最後に光、光は魔力の中でも一番強く、保持者が少ないとされていた。異世界からこうして召喚されるのには光の属性を持つものを探し出すという理由もあるそうだ。
「では順番にこちらの水晶玉に触れてください。映し出される色によって属性が判別できます。」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
クラスの委員長の風間颯が突然女神たちを止めた。
「大体事情はわかりました。ですが、僕達は元の世界に帰ることは一生できないのですか?」
「戻ることはできる…だが特別な儀式が必要なのだ。」
儀式?なんだか嫌な予感がする。
「そ、その儀式って??」
「魔王の体の中にある核をとり、神に捧げることです。」
ま、魔王!?ラスボス倒すまでは絶対に帰れないってことじゃないか……。
「そ、そんな……」
俺達がざわつくのをみた四人の女神は何かを話し合い、決心したかのようにこちらを見て話し始めた。
「……元の世界に帰る方法は実はもう一つあるのです。」
「ほんとうですか!!!?教えてください!!」
「………それは…………自分と同じ世界から来た人
間の魂を神に捧げることです。」