キオク
「えええええええ!!??この街の事を何も知らない!?!」
俺とクロとミラでめでたくパーティーが結成されてはや5分。3人で話していてミラは俺達が地上(地上というかこの街)について無知なことに気がついたようだった。
「さっきからダンジョンは最下層に行っても大丈夫だとか、防具なしでも戦えるとか!意味がわかりません!!勇者ならまだしも、ただの冒険者がそんなことできるわけがないでしょう!」
!!勇者、俺も一応勇者なんだよな……。闇属性だけど……これってミラに言っても大丈夫なんだろうか?闇属性のことは女神たちの反応的に良くないのはわかる。だが平民の人とかの女神やらに一切関係していない人たちから見たら闇属性はどんな立場なのだろう。アオは俺が闇属性ということは知ってはいるが、アオは幼い頃からダンジョンに閉じ込められてたから、そもそも魔力のこともあまり知らなかった。地上の人の反応がわからないから俺が闇属性ということは言わないように言っているから、何かあっても大丈夫だとは思…………
「ミラさんあれ、なんですか?」
「ん?あーあの新聞?あれは少し前に神殿から発行されたものよ。それにしても闇属性の勇者は本当に最低よね。ここに書いてあることが事実なら私は死刑にしてもいいと思ってしまうくらいよ。もう死んでるだろうけどね。」
「……あぁ。そうだな。ほんとうに最低だな。」
あのクソ野郎共がな。
「く、クロ、これって……」
アオは俺が闇属性だと知っているから困惑が隠せない様子だ。
そう。俺が今見つけた新聞、その新聞の見出しには
『嫉妬からの殺人!?闇の勇者の全貌とは!』
そこからは完璧なほどの嘘が事実のように語られていた。
『光の魔力を持てず、落ちこぼれの闇の魔力を持ってしまったと気づいた闇の勇者は嫉妬からの怒りで、仲間であるはずの勇者たち殺そうと暴れた。もちろんのこと、光の勇者に勝てるわけもなく、他の勇者は無事であった。そして闇の勇者は恐怖からか足を滑らせダンジョンに繋がる穴へと落ち、地獄へと向かった。それでも他の勇者や女神は寛大な心で憐れみ、闇の勇者の分まで国民を守るといった声をあげた。』
「よかった。あいつらへの恨みをちゃんと思い出せて……。」
俺がぼそっと言った言葉に違和感を覚えたのだろう。アオはほんとうに気が利く。
「すみません。今少し体調が悪くて、宿ってもう使っていいですか?」
「え?大丈夫?!宿はもちろん使っていいわよ。あそうそう!渡すものがあると言ったでしょう?」
ミラは俺たちに腕輪のようなものを渡した。
「これはパーティーごとにあるラッキーアイテムよ。これには魔物討伐数や、ダンジョンのクリア階層、宿の鍵、場所の記録などの機能が付いている万能ものよ!これは必要不可欠だからつけておいてね。そしてその腕輪に宿も登録されてるから使って入ってね。」
「はい。ありがとうございます。クロ、行くよ。」
「あぁ…」
アオにも、過去のことを話さないといけない時が来たんだな。