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ー4ーCONECO魔法の薬を飲む

 こね子たちがフェニックスと接近遭遇をしている時も、母親たちは旅行用の荷造りを続けていた。

「こね子は、不死鳥をゲットしたみたいね」

「なんでもアリだな」

「早く支度して…パパ。私たちは成都で、こね子が薬草を採取してくるのを待ちましょ」

「わかった、わかった…とりあえず、会社には連絡を入れた…なんとか休みをもらえそうだ…」

(おじさまの会社…大丈夫かな?)

 まだ、こね子の家から帰宅していなかったはるみは、こね子の父親が勤めている会社の行く末に一抹の不安を覚えた。

(まぁ、でも、私が就職する会社じゃないから、どうでもいいか…)

「おじさま、おばさま、私、帰りますね。成都に行ったら美味しいものたくさん食べてきてくださいね。お土産、期待してます。おやすみなさい」


 その日から三日後、大きなトラブルもなく、こね子、ハルカゼ、スザクは成都市に到着した。

(めっちゃ早かった~さすが、フェニックス)

「とりあえず、内陸を飛んで来たからパスポートの提示は必要ないけど…姿は消しておいたほうがいいね」

(姿を消してしまったら、お店に入れない気がするんだけど)

「人間の姿に戻れれば、美味しいお店に入れるから、それまでは、チャオチュールで我慢することだね」

(まぁ、確かにチュールも美味しいからいいんだけど…携帯性も悪くないし)

「用足しをしてくるから、あんたは、ここでスザクと待ってるんだよ」

 そう言って、ハルカゼは、成都の街の奥深くへその姿を消してしまった。

(スザクさんも用があるって言ってたよね)

「我の用は既に済んだ」

(その用事って…聞いてもいい?)

「当ててみるか?四択だ」

(選択肢は易しくしてね。こうみえても、一応、中身はJKなんだから…エッチ系の選択肢はなしってことでお願い)

「そうだな…そういう事情なら…

 A諸葛孔明の墓参り

 B成都の主のビーストとの決闘

 C成都で彼女とデート

 D大好物の四川風麻婆豆腐を食べる」

(難しいね…Cかな)

「おお!当たりだ!」

「ほんと?」

 その後も、スザクとの会話が弾み、楽しい会話を続けていると、ハルカゼが戻ってきた。

「さて、とりあえず、ここでの用は済んだよ。行こうか?」

(うん、行こう)

「我に乗りなさい…ここから先は山になり、寒くなる…少し我の炎の温度を上げるが…良いか?」

(うん、助かる…でも、お炬燵みたいに暖かいと寝ちゃうかも…ほら、猫は炬燵で丸くなるっていうし…)

「寝ても良いぞ」

(あのさ…スザクは、独りでもここに来れるんじゃないの?)

「ここまではな…」

(ってことは、この先に行けないってこと?)

「うむ…我もコネコも、通常のヒトではないのでヒマラヤ山を支配する大魔法使いの結界の中に入れないのだ…」

「そうさ…今、あたしがやってきたのは、魔女と子猫と不死鳥が入れるように、ヒマラヤへの入口にある結界を開けてきたんだよ。あたしの【オープンセサミ】の魔法を使ってね」

(オープンサラミ?)

「【オープンセサミ】だよ…あんたの耳は腐ってるのかい?」

(腐ってないもん…)

「まぁ、どっちでもいいよ…準備はできてるかい?ここからは、危険がいっぱいだよ…特に薬草を守るガーディアンがいるから…倒すか騙すかして突破しないといけない」

(山への入り口に結界があって、その後にもガーディアンがいるんだ…戦闘能力のないあたしは足手まといなんじゃないかな?大丈夫かな?)

「おまえが必要なんだよ」

(そうなの?)

「万能薬となる霊峰花は、人の手と魔女の手を拒むから、あたしも、変身前のあんたも摘むことはできない。それは、スザクもダメだったはずだね」

「我が触れると、たちまち燃え上ってしまう…何度か試したが、無理だったよ」

 スザクは悲しそうにぽつりと言った。

(あれ?スザクは、その花のある場所までは一人で行けたってこと?)

「うむ、ガーディアンなぞ、我の敵ではないからな…ハハハ…我にとっては危険でもなんでもないさ」

(つまり、ハルカゼさんが弱っちいってこと?)

「フェニックスは最強種だからね…あたしが特別弱いってわけじゃないよ…失礼な子だよ。まったく」

(ヒトも魔女もフェニックスも触ることができない花とか、他の人はどうやって摘むんだろう?)

「だから、魔女は変身能力を使ってヒトじゃないモノに化けるんだよ」

(じゃ、ハルカゼさんが猫に変身すればいいのに…)

「あたしは呪いで魔女に変えられたから、他のモノには変身できないんだよ。だから、あんたを連れて来たんじゃないか…何度も言わせないでおくれよ…頭の悪い子は嫌いだよ」

(何よ…それが子猫にモノを頼む態度?)

「急にすねないでおくれよ…とにかく、今は、あんたが頼りなんだよ。よろしく頼むよ」

(うんうん…素直でよろしい。じゃ、やっぱりあたしが頑張んないといけないんだね)

 

魔女の呪文で開けられた結界を抜けて、山頂に向かう途中で、第一のガーディアンが現れた。

(え?ロボット?これって小さいガンダム?)

 第一のガーディアンは足が長く3mくらいの身の丈があり、いきなり、ミサイル攻撃とレールガン攻撃を繰り出してきた。

 しかし、発射されたミサイルは、スザクが焼き尽くし、レールガンのビームはハルカゼが、杖から放射される電撃攻撃で無力化した。

そして、一瞬のガーディアンの隙をついたスザクの火炎放射が、ガーディアンの腹部に吐きつけられると、腹部の継ぎ目から侵入した炎がガーディアンを内部から燃やし尽くした。

「もっと、時間がかかると思ったけど、さすが、フェニックスの炎の威力は凄まじいね」

(スザクが…仲間で良かった)

「こちらこそ感謝する。この調子でガーディアンを蹴散らそう」

 次に現れた第二のガーディアンの姿は、山の岩肌に張り付いて攻撃をしてくる大きなスライムだった。

(あれが…スライム?あんなに大きいの?)

 しかも、スザクの吐く炎は、そのスライムガーディアンに吸収され、より大きくなった。

「うぉ…我の炎が効かないとは…この前まではちゃんと効いたというのに…炎に強い変異株に進化したということか…我も新しい技を身に着けないといけないな…ちょっと特訓してきても良いか?」

(いやいや...さっきは楽勝って言ってたじゃん…)

「変異株に進化してる…か…噂通りだね。さて、どうしたものか?」

(説得しようよ…)

 こね子が提案した。

「いや、こいつとは言葉が通じない」

(殺すのはかわいそうだよ…さっきのはロボだったから、まぁ、しょうがないと思って見てたけど…)

「炎は効かないから、電撃で…それが無理なら…」

(凍らせる?)

「そうだね…つまり、魔法の出番だ」

 ハルカゼは、電撃を浴びせる。一瞬身体を硬直させたスライムだが、すぐに身体をゴムのようにめいっぱい拡げると、炎と同じように、瞬く間に、電撃を吸収してしまった。

「炎と電撃はダメだった…凍結魔法を使うよ…」

「(頼むハルカゼ…もうすぐ山頂だ。そこに霊峰花は、必ずある…はずだ」

(え?はずだ…って…それに、【必ず】と【はずだ】が思いっきり矛盾なんだけど…)

 ハルカゼの凍結魔法の光が、スライムを包み込む…

 そして、岩肌に張り付いたスライムを、その光がカチンコチンに固めるとスライムは攻撃を止めた。

(やった?)

「なんとか沈黙したみたいだよ。山頂はすぐそこだ…行こう」

 そして、山頂に着いたこね子、ハルカゼ、スザクを待っていたのは、最後のガーディアンだった。

「あの二つのガーディアンを突破するとは、そなたらは何者だ?」

 最後のガーディアンが語りかけてくる。

(あ…なんか普通っぽいボス敵…)

 腕の数は4本、頭と思われる部分には、眼が二つ、口が一つ、そして、両足の膝頭にも、それぞれ眼が二つと口が一つ、合計で六つの眼で見詰められ、三つの口から、言葉を発する巨人の姿…巨人と言っても、素っ裸ではなく、きちんと甲冑を身に着けている事に、こね子は一応ほっとした。こね子は、あまり男性の裸を間近で見たことがなかった。

「応えぬのか?」

 どうやら、この巨人には、こね子の考えを読み解く能力は備わっていないらしい。

(三つも口があると、カラオケの時にパート分けされてる曲を歌い易そうね…ちょっと羨ましいかも…)

「我はスザク…見ての通り不死鳥だ」

(今は、死んでしまう危険性があるフェニックスなんだけどね…)

「なるほど…確かにその見てくれは不死鳥のようだ」

(まぁ、聞くまでもないよね…)

「あたしは、魔女…魔法スキルはトップクラスだ。痛い目を見る前に、大人しく霊峰花を差し出してほしい」

(変身能力を持たない魔女のくせに…すっごい、上から発言…)

「ほう?俺に傷を付ける自信があるということか?」

「そして、こいつは、ただの普通の猫だよ」

 ハルカゼは、こね子を指差した。

「それは、わかってる。その猫…人語は解さないようだからな」

(いやいや、あんたの片言の中国語、普通に理解できてるから…『にゃあ』しか言えないだけだから…だいたい、フェニックスや魔女がテレパシー使えるのにボス敵が使えないのって、なんかめっちゃ不便なんだけど…)

「では…始めるか?」

「始める…とは?」

「俺と勝負するのではないのか?俺に勝たなければ、霊峰花を摘ませるわけにはいかない。」

(その霊峰花が…どこにも見えないんだけど…)

「勝負ということは、あんたにギブアップを言わせればいいのかい?」

 ハルカゼが尋ねる。

「俺を倒せば、この雪原の下から霊峰花が雪を割って現れるはずだ…俺が気を失ってる間の事なので、俺はまだ霊峰花を一度も見たことはないがな」

(気を失ってる間に止めを刺されたりはされなかったのかな?…ってか、この巨人さん、けっこう負けてるってこと?)

「我は、こいつには全戦全勝だ…決して強くはない」

 スザクはそう言ってニヤリと笑ってみせる。

「身も蓋もないことを…スザクさん、あんた…」

「我を含む1対3では、勝負は見えてるが…ハルカゼ、そやつが気の毒なので、おまえさんに、この勝負を任せても良いか?」

「ああ…いいよ」

「その手の配慮は無用だ」

 巨人は、そういうと、右膝下と、左膝下が分離して、それぞれに手が二本、足が二本生えた。

巨人は、なんと3体に分離するスキルを持っていたのだ。

「これで3対3だ。ハンディはないぞ」

「確かに…ただ、さっきから、この猫があんたと話をしたがってる…」

「そうなのか?」

 3つに分離した中の、手が4本ある巨人が前進を停める。

ハルカゼがクイックモーションで呪文を唱え、虹色の光が巨人を一瞬包んでから霧散する。

「これでよし…と」

(凄い先制攻撃…ハルカゼさん、めっちゃ強いかも)

「その魔女の名はハルカゼというのか?」

(え?)

「テレパシーを使えるようにした。こね子、話したいことがあれば、話すと良い」

(ほんと?え?めっちゃ嬉しい)

「俺と話をするのが嬉しいのか?」

(そりゃ嬉しいよ)

「聞きたいことを聞くと良い」

 ハルカゼが促す。

(うん…ありがと)

「礼には及ばないよ」

(勝負ってさ…ゲームじゃダメかな?)

「ゲーム?」

(『四川省』とか、普通に麻雀勝負するのも悪くないんじゃないかなって思ってて…腕力勝負じゃあたしが勝つ自信ないけど、ゲームならちょっと自信あるんだ。麻雀ゲームのトップ率は2割7分7厘なんだよ)

「なるほど…」

(どう?麻雀で勝つ自信ない?)

「しかし、ここには麻雀卓も麻雀牌もないぞ」

(スマホ持ってないの?)

「これを使うといい…」

 ハルカゼが、魔法の箒に内蔵されている四次元ポケットからスマホを1台取り出して巨人に渡す。

「おお…これは嬉しい」

「あんたにやるよ…人間の作ったものだけどね、けっこう便利だ」

 そして、こね子の提案により、麻雀勝負が始められた。巨人は分離していた右足と左足を元に戻し、せっかく4人いるのだから…ということで、スザク、ハルカゼも加わり4人の勝負ということになった。


麻雀勝負で、こね子は、無事に勝つことができた。勝負がついた後も、巨人が再戦を望んだために、半日くらいを巨人とゲームすることになったが、初戦で勝っていて目的を達成したこね子はプレッシャーもなく、久しぶりに仲間同士で遊ぶゲームを楽しんだ。


霊峰アンナプルナ・ヒマークで、最後のガーディアンに勝ったこね子たちは、霊峰花を持って、また成都に戻ってきていた。

「ここ成都にはね、魔女の街があるんだよ。そこで、薬の調合をしてくるから、少し街ブラでも楽しんでいるといいよ」

(ついて行ってもいい?調合してるとこも見てみたい)

「まぁ、いいか。ついてきな」

「我は、ここで待っている。薬ができたら持ってきてもらえるか?」

「もちろんだよ…楽しい旅だった。礼を言う」

「では、行ってくるといい」

 スザクを残し、こね子とハルカゼは成都の街の魔女の集まる街に向かった。


「できたよ…お待たせ」

(できたの?)

「ああ…お前が先に飲むといい…」

 ハルカゼが調合した薬を、適量口に入れたこね子は、ゆっくりと飲み込む。

ハルカゼが鏡を取り出し、こね子に向ける。

そこには、人間にもどったこね子の姿が映っていた。

「治った~~~~」

 こね子が歓喜の声をあげる。声もしっかり元にもどっている。

「次は、ハルカゼさんだね」

「いや、スザクに飲んでもらおう」

「もったいぶるんだね」

「知らない顔が二人で行ったら、スザクが戸惑うだろうからね」

「それもそうか…じゃ、早く行こうか」


 スザクのところに戻ったこね子とハルカゼは、スザクに薬を飲ませた。

「う~む…効いてる気がするが…コネコのように見た目が変わらないから実感が薄い」

「そっか、そうだよね」

「試しに、ハルカゼ…我を殺してみてくれないか?10回くらい…」

「いやいや、それは遠慮しておく。決闘で試すといいよ」

「そうだな…では、最後はハルカゼ…お前だ」

「わかったよ…もう、バレバレだよね。呪いで魔女にされてしまったこと」

「秘密にするつもりもなかったんでしょ」

「あたしが魔女に変わる前は何だったと思う?」

「もしかして…猫?」

 ハルカゼは顔を横に振る。

「豚?牛?馬?うさぎ?ライオン?」

「全部違う…」

「もったいぶらずに、早く飲んでよ」

「そうだね…こね子、スザク、ありがとう」

 ハルカゼは、礼を二人に言うと、魔法解除の薬を口にした。

魔女の姿が徐々に変化する。

真っ白だった髪は黒くなり、長く延びた。

皺と染みが目立っていた顔からは皺も染みも消えた。

大きく見開かれた黒い瞳と艶やかな薄いピンクの唇。

「女の子だったのね」

「違うよ…」

「え?」

 元の姿に戻ったハルカゼは、こね子の手を自分の胸元に引き寄せ、その胸に触らせる。

「男だよ…ぺったんこでしょ」

「え?」

「女の子になりたくて、魔法をかけてもらったんだけど、身体は女になったけど、500才も老けてしまったんだ。魔法を使えるようにしてはもらえたけど」

「もしかして…あたしより可愛いんじゃない?」

「僕は、ほんとに女の子になりたかったんだ」

「それだけすっぴんで可愛いければ、そう思うよね」

「うん…わかってくれる?」

「魔法は使えなくなったけど、今は、この姿のほうがいいかな?」

「魔法が使えないってことは…帰りはどうするの?」

「僕の家は、この街だから、日本には戻らないよ」

「え?」

「せっかく知り合えたけど、お別れです」

「我が連れていってもよいぞ」

「う~ん。ありがと。でも、いいや。この街気に入ってるから」

「この街に友達はいるの?」

「いるよ。魔女になってからは会えてないけど」

「魔女になったのっていつ?」

「10年前かな?」

「え?え?え?今、何歳?」

「26歳…」

「え?全然、高校生にしか見えないのに?」

「え?」

 こね子は鏡を取り出しハルカゼに見せる。

「変身する前の年齢…まで戻ってしまった…のかな?」

 鏡の中の自分を見たハルカゼは、見覚えのある顔に再会できたのが嬉しかったのか、そのまま、数分間、鏡をずっと凝視していた。

「春風の魔女って、通り名だったんだよね。ほんとの名前はなんていうの?」

「ハルトです…カザキリ・ハルトが僕の名前」

「カゼとハルで春風だったのね…でも、ハルトって男っぽい名前だよね」

「男だからね…」

「ハルカのほうが見た目に近い気がする」

「呼ぶ時はハルトでいいよ」

「なんか違うんだよね…そうだ!ノコってどう?」

「え?僕の名前?」

「名前は変えられないけど、ハンドルネームをノコにすればいいよ。男のだから、ノコってことで…あたしのことも「ネコ」って呼んでいいよ」

「う~ん」

「じゃ、のこで決まりね」

「子猫の時とノリが一緒だね、君は…」

「キミ…じゃなくてネコね…仲間はそう呼んでくれるから、のこも、これからあたしの仲間だよ」

「わかったよ…ノコでいいよ…」

「また会えるかな?猫にされたのはショックだったけど、ノコって、そんなに悪い魔女じゃなかったし…あ、ちょっと待って…すぐに子猫に戻れるって約束…魔女じゃなくなったら守れないんじゃ…ないの?」

「僕を魔女にした魔法使いが、この街に住んでるから、この薬がなくなるまでは、また魔女にしてもらうことができるよ」

「そうなの?」

「だから、子猫に戻りたかったら、呼んでくれれば日本まで行くよ」

「なんだ、そっかぁ。あ、でも、それも嬉しいけど、あたしがこっちに引っ越せばいつでも会えるし、いつでも子猫に戻れるよね。薬が切れたら、また取りに行けばいいんだし…」

「まぁ、そうなるかな?」

「魔女じゃないノコと遊びに行きたい」

「ええ?それって…デート?」

「見た目は完璧女子なんだから、女子会でいいんじゃない?」

「女子?僕が?」

「うん!もう完璧な男のだよ。可愛いよ。もっと可愛い洋服着せたいし…」

「……」

「ちょっと待って。ママに電話する」

 そう言って、こね子は母親に電話する。

『もしもし、ママ…あたし、ここに住みたい…』

『あ…こね子?ママたち、昨日のうちに成都に着いてて…電話できるってことは、こね子は人間に戻れたのね』

『うん…どう?ママも一緒に住まない?』

『学校はどうするの?』

『猫になってた間も行ってないし、もう学校はいらないかなって』

『こね子がそういうなら、こっちに住もうか?なんか、パパも同じこといってるのよ。仕事はリモートでできるから、こっちがいいとか言い出して困ってたの』

『やった~ママもパパも大好き!!』

『知ってるよ』

『じゃ、また後で会おうね。パパとママが泊ってるホテル、あとで教えてね。あたしが行くから』

『はいはい、LINEで送るね』

 すぐに着信があって、LINEを見ると、母親たちの泊ってるホテルの名前と住所が書かれていた。

「では、ノコ、あたしは、これから、しばらくですが、こっちで生活することになりました。これからも、よろしくね」

「……」

「コネコのママは肝が座ってるな」

 それまで黙って状況を見守っていたスザクが素直な感想を口にする。

「僕も、そう思ったよ」

「ママは経験豊富なので、あたしやパパの意見には基本イエスなんだ。適応力と対応能力が半端じゃないんだよ。羨ましい?」

「羨ましい…僕にはママもパパもいないから」

「え?あ…ごめん…」

「大丈夫だよ。気にしないで、ネコちゃん」


 そして、日本から成都まで、魔法の箒とフェニックスに乗って飛んできた子猫だったこね子と、魔女だったノコの二人は、しばらくの時間を、魔女の街がある、ここ成都で過ごすことになったのでした。




「ねこ×のこ」シリーズの第1話「CONECOと男のの魔女」をお届けします。

最後のガーディアンとこね子たちの麻雀勝負はサクッと終わらせていますが、後ほど、この時の勝負の模様も文書化しておきたいと思っています。

そして、これから、月に1回くらい、このシリーズを書いてみたいなと思っています。


第2話は「CONECOと婚活中の女子大生」となる予定です。

こねネコと、ハルト(ノコ)の二人を、これからもよろしくお願いします。


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