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偽りのピンクブロンド【商業化予定】【全体改稿予定】  作者: 川崎悠
第8章 ダンジョン攻略と文化祭
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90 文化祭の準備

 意外とあっさりダンジョンから帰ってくる事になった私は、再び『アリス』として学園へ通う。

 色々と休むことが多い私だけど、学業面の問題は特にないわ。


 直近のイベントは、教会と提携しての『バザー』。

 そして10月末の『文化祭』となる。

 当然だけど、文化祭の準備は既に始まっている。各クラス担当のものや、それぞれの同好会が主催するもの。

 出店などもあるにはある。

 この辺り、乙女ゲーム特有の治安の良さを感じさせる、というか。

 飲食店もあったりするのよ。高位貴族の生徒も食べたりするのに……。

 まぁ、毒をピンポイントで盛るとか、難しい気もするけど。


 あとは一応、こちらの世界では『奇跡』による解毒が可能だ。

 そういった超常現象がない世界よりはまぁ、安全と言えるのだろう。

 まだ現実としては未体験だけれど、ゲームの『画面上』の印象としては、かなり賑わったお祭りという印象ね。

 学生特有の雰囲気。でも、これよ、これ、という気持ち。私も楽しみにしている。


 そういう緩めの空気だからこそデートイベントは起きる。

 ヒーローたちは概ね文化祭を楽しみ、ヒロインを元気にエスコートしてくれるから。

 好感度が一定値以上に達し、かつ『現時点で一番、好感度が高い』ヒーローとのイベントになる。

 まぁ、それはあくまでゲーム上の仕様なので、普通に約束を取り付ければ、その相手と文化祭を回ることになると思う。


 ……逆ハーレムルートを通る場合のヒロインは一体どうするんだろう?

 2、3人程度の相手ならまぁ、文化祭の1日で何とか出来なくもなさそうだけど。

 9人を相手は、ちょっと。流石に。

 ゲーム的に考えれば、まだ『分岐』が始まったとは言い難い時期だ。

 そうなると、この文化祭でも順当に『好感度が一番高いヒーロー』一人とだけデートなんだろうか。


 『バザー』はアルスのイベントだけど、『文化祭』は共有個別イベント。

 当然、レイドリック様とのイベントも含まれている。

 なので、私としては力を入れるべきところは文化祭の方になるわ。

 そして、ここを『ヒロイン』レーミルに譲るワケにはいかない。


 婚約破棄を願っているのに?

 いえ、まぁ、ここは私自身でレイドリック様を落とすつもりだから。

 つまり『アリスター』のライバルとして『アリス』が存在する。うん。


「……まぁ、文化祭を楽しむことも私の目的だから、ね」


 悪役令嬢として苦しい思いをしたまま、その日を迎えるのではなく。

 『偽りのヒロイン』として、無邪気に文化祭を、学生時代を思いっきり楽しむ!

 それが、私の至上命題なのよ。


 あれ。そうなると文化祭デートよりも、友達と一緒に回る方が楽しいのでは……?

 ……うん。まぁ、まだ先の話だから!



「1年Aクラスの文化祭の出し物は、無難に飲食店だそうですよ、お嬢」


 教室に着いてその話題に触れると、ヒューバートからそう補足される。

 私が休学している間に既にクラスの出し物は決定していたようだ。


「飲食ね。何をする予定?」

「『かき氷』」だそうです」

「かき氷!」


 えー……? 10月末よ? 別に温暖化しているワケでもない国で。

 ウィクトリア王国って『星』的には、どの辺りにあるのかな? 実は暑い地域だったり?

 勝手に緯度が高い地域というか、北の方、まぁヨーロッパ系の位置をイメージしていたけど。


 魔法があっても流石に『世界』は紐解かれていない。

 そもそも地球と同じ大陸の形をしているワケもなく、あちらの大陸イメージを引き摺っても意味がない。

 うーん。10月末でも暑いのかな、まだ。日によって幅が広そうな時期かも。

 私の記憶・経験的にも……うん。ギリギリ、かき氷が許されるぐらい……かな。

 当日の熱気もあるだろうし、悪くはない選択なのかしら。



「クラスに『氷魔法』の使い手が3人居たのが決め手でしたね」

「あー……。そんなに居たんだ」


 基本の魔法は例によって、火・土・風・水辺りなのだけど。

 人によってはそこから派生したり、他には『音』とか『光』とか、はたまた『花』とかの魔法がある。

 また洗濯魔法といった用途を固定して、多くの人が使えるように改良された魔法の類もチラホラ。

 意外とバリエーション豊かな魔法の種類。


 氷魔法は、そういった基本の派生系のため、上位魔法ではあるものの比較的メジャーな魔法になる。

 そして需要もあるのよ。夏場は特にね。

 もちろん食材を傷めないためにも使われるので冬場でも求められるわ。


 ……もう少し時期が遅ければ『アリスター商会』から玩具を出すんだけどな。

 まだ商会は準備中だ。本格的に動けるのは、もう少し先になる。


「じゃあ、あとはシロップの確保ね」

「はい。そちらについても既に動いているそうです。ですので、あとは」

「そうなの。あとは?」

「当日の売り子の『エプロン』のデザイン決めですね」

「あはは……」


 ちなみに文化祭で催す飲食店だけど。

 1クラス・1同好会で扱える『メニュー』は1種類だけとなる。

 今回、私のクラスは『かき氷』を選んだため、売り出せるのはかき氷だけだ。

 シロップなどのバリエーションは付けられるけど、他の食事は出せない。


 たとえば『焼きそば』と『たこ焼き』という2種類を同じ店が扱うことは出来ないのだ。

 まぁ、皆で楽しむお祭りなんだもの。

 1クラス1種類で、いくつものクラスが合わさって祭を作る。

 この辺り、前世の出店とかもそうだったのかもしれないわね。


 かき氷のようなポピュラーなものは、2、3クラスまでは『被り』があって、それぞれ別の場所で出店することもある。

 なので我がクラスの選択は無難中の無難、という感じね。


 乙女ゲームのヒロインのクラスの催し物だったら……鉄板としては『演劇』とかになりそうだけど。

 Bクラスのレーミルは、もしかしてそうなっていたりするんだろうか。

 いえ、ゲーム上は基本的にヒロインはヒーローの誰かと回っているんだけどね。


 同じ1年生なのは、アルスとホランド、ヒューバートなんだけど。

 ヒューバートは私と同じAクラスで、今は『ルーカス・フェルク』として偽称中。

 アルスとホランドのクラスがどこかは調べていないわね。

 ホランドは雰囲気的に同じクラスっぽいけど、どうだろう。



「うーん。じゃあ、もしかして私たちのする準備、ない?」

「エプロンの刺繍か、或いは売り子ですかね。まぁ、お嬢の場合は売り子を期待されていそうですけど」

「売り子かぁ」


 公爵令嬢が売り子。うふふ。バレてないけど、なんだかおかしくなってきたわ。

 まぁ、私は前世持ちで、前世は一般人だったため、特に抵抗はない。

 そして今の私は『アリス』だし、皆も頼みやすいことだろう。


「まだ、そこは決まってないんだ?」

「ええ。話し合い途中です」

「そっか。でも、やるわよ」

「やるんですか」

「ええ! 楽しそうだもの! ふふ」

「……お嬢がやるなら、それでいいですけどね。俺も裏方に回りましょう」


 裏方なのね、そこは。別に女子だけが売り子する必要ないと思うけど。

 とはいえ、お店はシンプルなもの。

 数人のローテーションで当日は営業することになるだろう。


 やっているのも生徒なので、彼らだって1日中、店番というワケにはいかない。

 せいぜい1時間程度のスパンで交代し、あとは楽しんできなさーい、というぐらいだろう。

 なら、あとで決めるのはその店番を『いつ』担当するか、その順番ぐらいだ。


 うん。まぁ、クラスの方はそんな感じ。

 あとは生徒会で、レイドリック様やヒロインがどう動くか。

 そして、どう『イベント』を奪い取るか、ね。


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