第4話「遊園地で遊ぶそうです!!後編」
「遊園地だ!!!初めて来た!!」
雪華さんは遊園地の入場ゲートをくぐり抜けると真っ白な髪を揺らしてぴょんぴょんしている
雪華さんは頭に水色の猫のカチューシャを付けている。ゲートの前のお店で火希さんと色違いで買っていたのだが、なぜか僕と弘人まで付ける事になった、と言ってもさすがに雪華さんに上目遣いでお願いされると断る事が出来なくなるあたり雪華さんの「お姫様」というあだ名は伊達ではないのだろう
ちなみに僕は黒、弘人は茶色、火希さんは赤色のカチューシャを付けているが全部雪華さんチョイスだ
『まあ雪華さんが楽しそうだからそれでいいか』
僕は火希さんから雪華さんが今まで遊園地に行ったことがないと聞いていたので雪華さんのしたいことを全力で叶えようと弘人と火希さんと話し合っていた
「ねえねえ、ここ行きたい!いい清水君?」
雪華さんが僕の目の前に来てパンフレットを手に目をキラキラさせながらそう聞いてきた
かなりびっくりしたが声には出ないようには出来たので雪華さんの持っているパンフレットを見る
するとそこには『カップル専用!!二人乗り大型滑り台』と書いてあった
その言葉に驚いて僕は雪華さんに聞いてしまった
「あの~雪華さん、これカップル専用と書いてあるのですが...」
「そうだね、だから清水君。一緒に乗りましょう!」
「いや...一緒にも何も僕たちカップルじゃないし...」
「男女が一緒に遊園地に来てたらカップルと見られるから大丈夫じゃない?」
「そういう物なのかな...」
「うん!だから行こう!ごめん二人とも!ちょっと待ってて!」
「ほ~い、じゃあ俺たちここらのアトラクションに適当に乗ってるから終わったらそこのベンチあたりで合流で」
「分かった!じゃあ行くよ!清水君!」
「あ、っちょ!」
雪華さんは弘人達とその話しだけ済ませると僕の手を掴んで引っ張った
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「...なあ火希」
「ん?どうしたのそんな困った顔して」
「いや~あのな、真白と雪華さん達今カップル限定のアトラクションに行ってるじゃん」
「うん、そうだね。『男女二人きりで遊園地ならカップルに見える!!』って言ってたね」
「それがこの遊園地のカップル限定の物の話を前に聞いたのを今思い出したんだけどさ」
「うん」
「...ここのカップル証明って確か『キス』...だった気がするんだけど...」
「...それ本当?」
「...多分」
その話をすると火希は少し驚いたような焦ったような表情をしていた
もちろん俺も内心凄く心配しているし焦っている
その時火希は大きくため息をついてあきれた顔をしていた
「まあ、あの二人が進展するには絶好の機会だしいいんじゃない?」
「...それもそっか、じゃあ俺たちは俺たちで楽しむか!」
「さ~んせ~い!」
正直今になってどうすることも出来ないしこっちにとっては好都合なので気にせず近くのジェットコースターに乗りに行った。時には諦めも大切です。
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私は今までの人生で一番のピンチに対面している
私は清水君に頼んでカップル限定のアトラクションに来ていたのだが、そのカップルの証明方法が...
「ではカップルであることの証明としてキスをしてください」
まさかの『キス』だった。さすがに私と清水君は付き合っていないため本当にキスをすることは出来ないので今現在全力で思考を回して対策法を考えている
『本当にキスすることは出来ないからやっぱり手とかほっぺとか?でもそれで証明にならなかったらどうしよう!!やっぱりこれを諦めるしか...いやでも乗りたいし!!!」
そんな事を考えていると私たちの順番がまわってきた
『どうしよう!!え~っと、やっぱりほっぺたにしようかな!!」
その時清水君が私のあごの下に手を当ててクイっと私の顔を上げた、そして清水君の顔が近づいてきた
『キスするの!?』
と思ったが清水君はギリギリの所で職員の人の反対側から指を入ればれないようにキスを止めた
その後の記憶はあまりない。あるのは滑り台で後ろに乗った清水君が私を支えてくれていた感覚だけだ
その後はコーヒーカップに乗ったりお土産屋さんで買い物をしたりして解散となった
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「...ただいま」
「おかえり、楽しかった?」
「...うん」
私は帰りに挨拶を最低限に済ませ自室のベットで転がりまわった
さすがにその場よりかは落ち着いたがそれでもまだ夢見ごこちだった
「~~~~~~!!!」
その時適当に放り投げられた携帯が光った。清水君からのメッセージだった
そのメッセージは短くこう書かれていた
『滑り台の時のは本当に申し訳ないです』
その一文を見て私はその時の光景を思い出してさらに悶えることになったのは言うまでもない
明日キャンプ
なので明日の更新は無いです




