第25話「銀華祭があるそうです!!後編」
銀華祭最終日の3日目
今日もとてつもない盛り上がりを見せていたのだがひとつ困ったことがある
その原因に当たるのが
「ねえねえ、あれってMARIAじゃない?」
「すっごい、初めて見た」
今教室中の人間が目を向けているこの人物「MARIA」こと「清水 茉里愛」、うちの母さんだ
事は30分前に遡る
************
僕たちが提供する商品の最終確認をしている時に突如教室の前の扉が開いた
そこには長い黒髪の女性と黒髪の中学生の親子が立っていた
「おじゃまします!!」
「おはようございま~す」
挨拶をしながらやってきた突然の来客に教室内の生徒全員が驚いてシーンとなった
しかしその来客があの有名モデルのMARIAだと気づくと教室内の生徒は一斉に騒ぎ始めた
「うお!MARIAじゃん!!なんでここに!?」
「すっご~い!!顔ちっちゃ!!足長!!」
みんなが視線を向けている人物は僕の方向に歩いてきて
そして僕に抱きついてきた
「ひさしぶり~ましろちゃ~ん!!」
「うわ!!やめろ!!離れろ!!」
その光景を見た弘人と雪華さん、そしてエマを除いた生徒達はみんなぽかーんとしていた
そこに一人の男子生徒がやってきた
「な、なあ清水。その、清水とMARIAさんってどんな関係なんだ?」
「ああ、この人僕の母さんだよ」
「え、MARIAさんってどんな関係が清水の母親?」
「うん、そうだよ」
「初めまして~真白の母親のMARIAこと清水茉里愛です!」
「そして私が妹の清水 真緒です!!」
僕が質問してきた男子生徒のそう解答するとまたもやクラスが静かになった
その空気を壊すようにエマが母さんに突撃してきた
「おばさ~ん!!久しぶり~!!」
「あらエマちゃん!大きくなったわね~」
突撃してきたエマを母さんは抱き寄せた
母さんは勢いを無くすためにエマの体ごと持ち上げて一周回した
「はぁ...まあとりあえず準備もあるから外で待機しておいて」
「わかったわ」
「じゃあまたねおにぃ!!」
************
そして今に戻る
最終日ということもあって1日2日目とは比べものにならないくらいの人が入ってきたためその日の業務は大忙しとなった
しかし僕の今日の本題はここからなのだ
「よ~し真白、後少しで出番だぞ!」
「...まじでこれしなきゃいけないのか...」
「もうここまできたら諦めたほうがマシだぞ」
「...わかったよ」
僕と弘人は今から舞台上で歌わなくてはいけない
その準備を舞台袖でしている
正直ここまで来たのだから出ない事は出来ないので諦めているのだがかなり心配なのだ
『続いて有志ステージです』
「さあ始まるぞ真白!!」
「あ~もう!!分かったよ!!」
僕たちの出番が来たので僕と弘人はステージへ立った
++++++++++++
「「きゃあ~!!!!!!!!!!」」
橘くんと清水くんがステージに立つと体育館内は女の子の声援で溢れた
橘くんは手を振って堂々としていたが清水くんは緊張しているようだった
『こんにちは~!!1年B組の橘 弘人で~す!!盛り上がってますか~!?』
「「いえ~~い!!!」」
さすがは橘くんだ、盛り上げ方を良く分かっている
橘くんの煽りに応じるように体育館内はさらに盛り上がった
『え、えっと...1年B組清水 真白です。よろしくお願いします!!』
『お~い真白緊張しすぎだぞ、ちょっと深呼吸しろ』
『う、うん、すーはー。よし』
『じゃあそろそろ始めます!!聞いてください!』
そして歌い始めると清水くんのさっきまでの緊張とはかけ離れたような自信のある歌だった
力強い歌い方の橘くんと繊細な歌い方の清水くんが合わさって心地の良い感じだ
私は静かにその歌声を聞いていた
『ありがとうございました!』
私が聞き惚れているといつの間にか終わっていたようだ
ステージの去り際に清水くんが私の方を見てニヤッとしながら手を振ってきたので私の顔は熱くなった
************
「お疲れさまひろくん!清水くん!!」
僕達が体育館横のベンチで休んでいると火希さん達がやってきた
さっきは火希さん、朱音くん、磯谷さんは雪華さんと近い位置で見ていた
だが一つだけ気になったことがある
「あれ?雪華さんは?」
そう、さっきまで一緒に居たはずの雪華さんの姿が無いのだ
そのことを質問すると火希さんが答えた
「華恋ちゃん?そういやちょっと飲み物を買いに行ってくるって言ってたよ」
「僕も飲み物欲しいしちょっと行ってくるよ」
「りょーかーい」
「じゃあ俺の分も買ってきてくれ」
「コーヒーでいい?」
「いや、炭酸で頼む」
僕は弘人の注文を聞いて財布を持って体育館近くの自販機に向かった
++++++++++++
「はぁ~顔あっつ」
私は少し気分を入れ替えるために外の空気を浴びに自販機に来ていた
硬貨を財布から出して自販機に入れ光ったミルクティーのボタンを押すとゴトンという音が鳴って落ちてきたミルクティーを取り出した
「雪華さんやっぱりここに居たんだ」
私が後ろから聞こえた声に反応して振り向くとそこには清水くんが立っていた
「清水くん、どうしてここに?」
「ちょっとのど乾いたから飲み物を買おうかなって思ってね」
「そうなんだ」
そして清水くんは自販機に硬貨を入れてのだが普段は買わないミルクティーと炭酸飲料を買った
そんな清水くんに私は質問した
「清水くん普段ミルクティー飲まないよね?どうしたの?」
「?ああ、これね雪華さんとお揃い」
そう言うと清水くんは私のミルクティーに自分の物をコンとぶつけてニッと笑った
「~~~~~~!!」
私は見つめてくる清水くんから視線を外した
************
『今回の銀華祭1年生出し物最優秀賞は2位と2倍の差を出した1年B組です!!』
銀華祭最終日の最優秀賞発表で僕たちのクラスが選ばれた
というかあれだけ忙しくて取れていなかったらここの文化祭は休日のフードコートと同じくらいの賑わいになっていただろう
************
「1年B組銀華祭最優秀賞おめでと~!!」
「「おめでと~!!」」
僕たちは最優秀賞を取った祝いでクラス全員で焼き肉屋さんに来ていた
というのもうちの学園は最優秀賞を取ったクラスには賞金か一部の飲食店での食事引換券がもらえるのでここの打ち上げが開催されたという訳だ
「お隣お邪魔します...おいしょ」
「やあ雪華さん」
僕がお肉を食べていると雪華さんが隣の席に座ってきた
「楽しかったね銀華祭」
「そうだね、なんだか大変だったけどあっという間だったね」
「だね、また来年か~」
「来年も一緒に出来るといいね」
「じゃあ約束だね」
そういうと雪華さんは小指を立てて僕の方向に向けてきた
僕はそれに答えるように小指で結んだ
3000字に近くなってしまった




