第1話「お仕事をするそうです!!」
「ありがとうございました~」
今日は土曜日で学校が休みのため実家の喫茶店の手伝いをしていた
僕の実家は僕のおじいちゃんが60年前に建てた木造建築の古い建物で喫茶店をしていて学校が休みの日は基本手伝いをしている
と言っても開業したおじいちゃんはもう数年前に亡くなっている、なので今は僕の父さんがオーナーをしている
「お~い真白~遊びに来たぞ~」
扉に付いている金色のベルがチリンチリンと鳴り聞き覚えのある声で僕の名前が呼ばれた
弘人は最近よくうちの喫茶店に来る、というのも弘人の家はこの喫茶店の近くにあるからだ
「遊びに来たって...今は営業中だ」
「分かってるって冗談だよ、あ、オーナー俺いつものセットで」
「...」
弘人のいつものセットというのが「カフェラテランチセット」でパンに卵、照り焼き、野菜を挟んだサンドイッチとうちで挽いたコーヒーを使ったカフェラテのセットだ
弘人はいつもカフェラテに砂糖スティック2本を入れて飲むのであらかじめトレイに入れてある
そして今無言で対応したのが僕の父の「清水 雄助」少し強面であまり喋らないから怖い印象を受けるが実際はただただ人と話すのが苦手なだけだ、ちなみに僕の母さんはモデルをしていて今は海外で仕事をしている。日本に帰ってくるのは一年に1、2週間ほどだ
その間に父さんは弘人のセットを用意していて完成されたトレイを僕に渡してきたので僕はそれを弘人に持って行った
「はい「カフェラテランチセット」砂糖スティックは横に付いてるから入れて飲んでね」
「せんきゅ~いや~最近の休日は昼にこれしか食ってないんだよな~」
「太るよ」
「きゃあ!真白くん!そんなこと言っちゃだめよ!」
「なんかきもいから辞めてくれない?」
「きもいってひどいな~」
「するならそのわざとらしさを無くしてよ...」
そんな世間話をしているとまた扉のベル鳴った
「いらっしゃいま...せ...」
扉の方向を見るとそこには雪華さんの姿があった
「え!なんで清水くんがここに!?」
「いや...ここ僕の父さんがやってる喫茶店で今日は手伝いをしてる。雪華さんこそどうしてここに?」
「私は自分の携帯が壊れてお店に修理に出してたんだけどそれを取りに行った帰りに偶然この喫茶店の前を通りかかったから...」
「なるほど...」
別に休日に知り合いとばったり出会う事は別にいいのだが今回はまた別の事情がある
『雪華さんの私服姿初めて見た!!』
今まで学園の中でしか会ったことが無く、制服姿の雪華さんしか見たことがなかったので今の姿はかなり攻撃力が高い
雪華さんは今白のハイネックの服に水色の大きめな上着とスカートで髪はハーフアップにしている
普段は長い髪を結んでいないがこうやって少しでもまとめるだけでかなり雰囲気が変わっている
「清水くん、どうかした?」
「あ、いや、だいじょうぶなんでもないよ」
「そう?」
僕は少し見惚れていたらしい
でもこんなにきれい人が目の前にいたら見惚れてしまうのは仕方ないだろう、僕だって男子高校生だ。
その後上目遣いをしてくる雪華さんに耐えながら何とか席に通した
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「ご注文をお伺いします」
「...」
「合計2180円になります」
「...」
私は帰り道にモダンでおしゃれな喫茶店を見つけた
色々な喫茶店やカフェに行って来たので初めて見る喫茶店やカフェがあるとついつい入ってしまう
そしてこの喫茶店に入ったのだが、まさかの清水君がここで働いていた
私はカフェラテとチョコケーキを注文してカフェラテを飲みながら働きっぷりを見ていた
それにしても
『ウェイター姿かっこよ!!!!!!!!!!!!!』
喫茶店なので喫茶店の制服を着るのは当たり前だけど普段学園の制服姿しか見ていない為さらにかっこよくみえる
その時私の席に清水くんがやってきて私が頼んだ物とはちがうイチゴのケーキを机に置いた
「サービス、内緒ね」
そう言って右手の人差し指を口に当てシーとした
『すき!!!!!!』
あれはイケメンにさせてはいけない物だと自分自身で再確認することが出来た
バイトってあこがれるね