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第9話「不登校生を説得するそうです 前編」

「磯谷、お願いなんだが楠木に学校に来るよう説得してきてくれないか?俺は仕事があって手が離せないからクラス委員のお前に代わりに行って貰いたいんだが」


朝のホームルームが終わった後、私は先生に呼び出されてそうお願いされた

「楠木 朱音」

女の子のような名前なのだが性別は男だ。実際には会ったことが無いから分からないが

彼は中学の中盤から学校に来なくなったらしい、だけれどその理由は先生も分からないのだとか

だが何故そんな彼がどうやってこの学校に入学したのかというと病気などによって試験を受けられない人たちの為に「在宅受験」という物が出来るそうなのだが一般受験に比べて合格点がもの凄い高いらしい

だけどこの楠木 朱音は全教科満点で合格したらしい


::::::::::::


「ごめんね、付き合って貰って」

「ぜんぜん大丈夫だよ、僕は部活もないから家に帰るだけだからね」


私は今清水と一緒に楠木 朱音の家に来ていた

というのも一人で行こうにも一人だと説得出来ないような気がするので誰か付いてきて貰うことにしたのだが清水以外の華恋や鹿野は委員会や部活があるので清水を華恋に許可を取って付いてきて貰ったのだ


「楠木 朱音さんって不登校の人だよね?」

「そう、入学式後1回も登校してきてない不登校の生徒。同じクラスで私がクラス委員て訳で来るよう説得をしに来たって言うこと」

「それはまた大変な役目を任されたね...」

「ほんっとに...正直不登校で学校に来てない人はその人なりに理由があるんだから別に説得なんてしに行く必要なんてないと思うんだけどね」

「でも学校としては出来れば来てほしいってことで任せたんだろうね」

「まあここまで来たんだからこれ以上は何も言わないけど」


そして私は「楠木」というネームプレートが書いてある家の前にあるインターホンを押した

その瞬間「ピンポ~ン」と甲高い音が鳴ってその数秒後に女の人と思われる声が返ってきた


『は~い、どちらさまでしょうか~』

「あの~私朱音さんと同じクラスの磯谷と言います。少し息子さんと話せますか?」

『...少しお待ちください』


そう返答が返ってくるとしばらくして扉が開き20代ほどに見える女性が出てきた

長く伸びた黒に近い紫の髪を結んでいる


「あ、あの...「楠木 朱音」さんのお母様でよろしいでしょうか?」

「はい、私が朱音の母の「千尋」です。立ち話も何ですのでどうぞ中に」

「じゃあおじゃまします」

「そちらの方もどうぞお入りください」

「僕もですか?」

「はい」

「では...おじゃまします」


私と清水は千尋さんに招かれて家の中に入って行った


::::::::::::


私と清水は家に入って一番近くにあるリビングに案内された


「...すいませんね、朱音は基本自室に籠もっているので滅多に顔を見せないんですよ」

「そうなんですか...自室に籠もり始めたのはいつ頃くらいからですか?」

「そうね...だいたい中学2年生の夏休み頃かしら...その詳しい事はあの子に聞いたほうがいいと思うわ、今から話しに行くのでしょう?」

「分かりました」

「あの子の部屋の前まで案内するわね」

「ありがとうございます」


私たちは千尋さんの後を付けるように階段を上っていって一つの扉の前に連れて来られた

そこには「朱音の部屋」というプレートがぶら下がっていた

ここがあの楠木 朱音の部屋という訳だ

そして私は目の前の扉をノックした

『コンコン』


「こんにちは、銀華学園の磯谷 真名です。」

「銀華学園...?という事は僕を出そうとしに来たってとこかな」


私がノックして名乗ると扉の向こう側から青年の声がした

おそらくあの声の主が「楠木 朱音」だろう


「まあそうですね」

「そう言う訳なら帰ってくれ」

「そう言う訳にはいきませんね」

「...めんどくさいな、なんでも良いからさっさと帰ってくれ」

「いいえ帰りません」

「頼むから帰ってくれよ!!」


中から感情的になった朱音の怒号のような声が聞こえた

だけど私はひるむ事無く続けた


「私はあなたが何故こうなったのかを聞いて納得するかあなたが出てくるまでは帰るつもりありません」

「...ほんっとうにめんどくさいな、俺は絶対にここから出ない」

「ではあなたが今のようになってしまった事について聞かせてくれますか?」


私がその事を質問すると中から声がピタッとしなくなった

どうしたのかと思ったがその後少しして声が聞こえてきた


「...俺が今のようになった理由を話したら帰ってくれるのか...」

「その理由が私を納得させられるかによりますけどね」

「...そうだな、どこから話そうか...」

「根本の原因から教えてくれるとうれしいです」

「...分かった。あれは中学2年生の夏休みまっただ中の事だった」


そうして楠木 朱音は少しずつ話し始めた




この話は少し重くなりそうです

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