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勇者になろう  作者: パラヂン
23/42

第23話 普段の限界は本当の限界の10%くらいらしい。…もっと低いかな?


キャラ崩壊注意



え?これくらいじゃ崩壊とは言わない?むしろ自然です?




~奈落の塔~



「……これ?」


「はい、これです」



窓の無い円柱状の真っ黒な高層ビル、だろうか

まさに『闇の塔』というのがピッタリな感じの塔が目の前にある。



「これを、上るのか」


「はい。これを、上るんです」



高いなぁ……というか、足が棒なところにこれは酷いと思うんですよ。



「じゃあ行きましょうか」


「お、おう」



中に入ると右に上りの、左に下りの階段がある。


……下り?そんなのフィリスから聞いてないが。


そんなものお構いなしに左の階段に向かうフィリス。


え?下るの?



「え?いや、ちょっ、フィリスさん?」


「どうしたんです?裕也さん」


「下るの?」


すると物凄い『何言ってんの?』な表情になった。


そんな顔すると綺麗な顔が台なしですよ、とか言ってみたい。

と思った。



「何言ってんの?」


「口調そのまま!?」



そう言って堂々と左の階段を下りようとする。


この場合、『何言ってんの?』の意味は『当たり前だろ?下るに決まってんだろ』と取るべきだろうか?


でもさっきの『何言ってんの?』の表情は『何寝ぼけてんの?上るに決まってんだろ』って表情だったんだが。



「お、おいフィリス!」


「なんですか?」


「オレたちは今どこに向かってるんだ?」


「頂上ですよ?決まってるじゃないですか」



おっと、やっぱり上なんだな。



「なんで下るんだ?」


「何言ってんの?」


「なんでその口調にこだわる!?」



癖になった…のか?

……まぁいいか。

…いいのか?



「と、とりあえずこっち来い」


「?どうしたんですか?」


「あれを見ろ」



そういって上りの階段を指さす。



「?」


「何が見える?」


「……壁?」


「…ちょっと待ってろ」



上りの階段の前へ行く。

上る前に一言。



「見てろよ?」



階段を上る。

フィリスにはどう見えてるんだろうか。



「……!?」


「お、ビックリした?」


「……見えない階段…?」



おお、そう見えるのか。



「分かったら来いよ、そっちは下りだ」



手招きする。

フィリスはおずおずと見えない階段に足をのせようとする。



「んなビビんなくても……」


「ビビってません!」



思い切り足を踏み出す。



「…あれ?」



踏み外したわけでもなく、つまずいたわけでもなく。


なのにこちらに倒れてきたフィリスを慌てて受け止める。



「うおっ?」


「あ、うあっ。すいません…」


「大丈夫か?もしかして……クールな顔して、実はここまで無理してた?」


「い、いや、そんなはずは……っと、ととと、あれ?あれれぇ?」



よろけまくりだ。

全く立てないように見えるが…



「……よっ」


「うひゃっ!」



とりあえず階段から下ろしてやった。

……軽くだっこして。



「ほら、どうだ?」


「あれ?楽になりました。ということは……」


「この階段のせいみたいだな」


「どうしましょう?」


「……この場合仕方なくない?」


「……でしょうか」


「いや、了承してくれないと……どうにも…」


「………仕方ないですもんね。うん、仕方ない」


「そんじゃ、ほら」



背中を向けてしゃがむ

要するに、おんぶだ。


え?お姫様抱っこ?

無理無理、んなことしたらどんな関節技かけられるかわからんからな。



「行きますよ、……重いって言ったら」


「いいから乗れよと」


「は、はい。それじゃあ……せーのっ!」


「うぉいっ。……?」


「重いって言ったら」


「いや違う、違うから。そんな服着てるのに異常なくらい軽いなと思っただけだから」


「……まぁいいです」



どうして女性ってそんなに体重を気にするのか?

そりゃオレも少しは気にするけど、そこまで反応しないよ。



「んじゃ、行くぞ」


「はい」



既に足は棒のようで、フィリスは軽いとはいえ一人の人間。


これは……気力にまかせて爆走しかないだろう!!



「うおおおぉぉぉぉぉぉおお!!」


「ちょっ!?そんなにとばしたら!」





~~~~~





「ぜぃ……ぜぃ……」


「………大丈夫ですか?」



結果、三階。

分かっていたけど、よく考えよう。

よたよた歩いてたら二階くらいで潰れていたさ、もっと時間かけて。

そう考えるとこれは失敗じゃないぞ、うん。


それに…



「気力がある限り!乳酸が引く限り!体力が戻る限り!オレは走れるぅぅうぅうぅぅう!!」


「ちょっ!キ、キャーー!!」


今オレは、間違いなくトランス状態だった。

…トランス状態って何?





~~~~~





「フッ!フッ!フッ!フッ!フッ!フッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!………ぜぇーっ!ぜぇーっ!」


「………すごい」



今何階だろうか。

頭が熱暴走してるようで、それさえ考えることを拒否したがるようで。


ちなみに、途中でお姫様抱っこのほうが楽だと気づき、無理矢理抱えた。

反省はしている、だが後悔はしていない。


いや、反省はしてない。

というよりできない。

だって頭が無駄なことに熱を使うな、と叫んでるから。




そのとき、証明じゃない、自然の、月の、光が、視界に、入った。




もう少しだ。


息を整え終え、足に力を込める。

大きく深呼吸して、奇声を発する。




「きぃえぇぇぇぇぇぇ!!!」


「壊れた!?」



ヒトの限界ってわりとすごいらしいですよ?



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