第15話 助け
短っ!!
ホントすいません!
…短っ!!
なんだこれ
目の前にはフィリスと、その背後の純白の女神
なんだこれ
フレイとの試合が終わったらいきなり黒いのが現れた
フィリスが助けてくれたところを見るとすごい危ないらしい
「フィリス!なんだこれ!?」
後ろ姿のフィリスが落ち着いた口調で話す
「私から離れないで下さい、死にますよ?」
「お前だったら勝てるのか?アレに」
「私では多分無理です。それよりも、今は死なないことを考えて下さい」
うへぇ
大ピンチ?
その時、黒マントが動いた
「―――ラ・ゾーイディオン」
いきなり黒マントの背後に、でかくて真っ黒い、長剣二本を両手に携えた騎士が地響きと共に下りてきた
次にフィリス
「いきますよ、ワルキューレ」
純白の女神に次々と鎧が付けられていく
純白の長剣と盾を持ったその姿は、いうなれば戦女神といったところか
同時に、黒騎士はフィリスを、戦女神は黒マントめがけて剣を振り下ろす
黒騎士の長剣は盾に防がれ、純白の長剣は黒騎士の膝で止められる
そして、空いた黒騎士の左の長剣が戦女神を斬りつける
ただの一閃
だが、それだけで戦女神はほぼ戦闘不能になる
…ダメだ、割り込めるレベルじゃねぇ
「くっ……やっぱり敵いませんか…」
戦女神――ワルキューレを消す
「おいフィリス!消していいのかよ!?」
「大丈夫ですよ、そろそろ来るでしょうし」
「え?来るって何が…」
コロシアムの入り口に人影
その金髪の人間は来る途中に始めた詠唱の最後を口にする
「《―――天駆ける流星、その力、今ここに為さんとす。メテオ・ストーム》!!」
どこからともなく物凄い量、物凄いでかい火の球が黒騎士に降り注ぐ
黒騎士はそれを受けきれずに20発くらいを受けて霧散した
しかし、メテオ・ストームの量は20程度ではない
次々に黒マントめがけて降り注ぐ
「《―――》」
黒マントがいると思われる場所から、突如大きくて黒い腕が伸び、その手の平で全てを受け止めた
だが、金髪の人間は間髪入れずに
「《――ルナライト・ジャベリン》!」
光速の一閃が黒い腕をいとも容易に貫通する
「チッ…」
黒マントは舌打ちしたあと、一瞬にして姿を消した
助けてくれた人を見る
肌は白く、金髪にウェーブがかかっているその人はこちらに向かって来ていた
そして目の前で一言
「大丈夫?」
「あ、大丈夫てす。助けてくれて、ありがとうございます」
「いいわよそんなこと、ああそうだ。私はサニル・ヴェルスターク、あなたの名前は?この世界の勇者さん?」
…なんですと?
~とある日記~
「気がつくと、私の部屋に一冊の魔法書らしきものがあった。
明日にでも読もうかな」