第14話 試合 そして黒マント
時間ギリギリ…!
そして短い…!
~控室~
できるだけ軽い鎧、軽い剣を選ぶ
ポケットには『デス・フェニックス』等のメモ用紙を
袋の中にはいつもどうり鈍器を
「うし、それじゃあ行くかな」
またあの広場に足を運ぶ
不意に、なんでオレこんなことしてるんだろうと思ったが、そこは全力で無視する
「―――来たか」
「来なかったらどうなっていたか、分からなかったからな」
「じゃあ、始めるぞ?」
目の前には、鎧を着て両手に短剣を二本もつ紅い髪の女性。
髪が紅いってことは炎を使うのか
てかこの人、昨日と比べて覇気が溢れてるよ
…まともにやって、勝てるかオレ?
ちなみに、フィリスは観覧席のどっかで隠れて見ているらしい
「ちょっと待って、自己紹介くらいしないか?」
「え?ああ、そうね…私は第3部隊―あなたと同じの部隊の、フレイ・カシミアよ」
「オレは坂神裕也。呼び方は坂神でも裕也でも」
「ええ、分かった。――じゃあ始めよう、坂神裕也」
「おう」
静寂が二人を包む
審判なんていないので、開始の合図が無い
しかし、そんなことは杞憂に終わった
「―――行くぞ!!!」
突然、短剣を投げてきた
不意を突かれたが
それを紙一重で避ける
「うおっ!…っとと」
二本を警戒して
咄嗟に崩したバランスを整える
だがフレイは短剣を投げる気配が無く、ましてやこちらに来る様子すら無い
「―――フレイムボール!!」
突然複数の火球を放った
そうか!もう一本は杖の変わりで、投げたほうは詠唱のための時間稼ぎか!
「うぉぉぉお!!!」
次々に襲い掛かる火球を剣で薙ぎ払う
ふと、視界にこちらに向かって走るフレイを見つける
ちっ、同時攻撃か!
…仕方ない
素早く右手をフレイに向ける
避けきれない火球が掠るが、それは無視
―――『創造』
手の平に面が当たるようにして、ダイヤモンドのほぼ無敵で透明な壁を創る
反動はほとんどない
慣れって凄い
オレが知る最強の盾はこれ以上の火球を防ぎ、さらに向かってくるフレイも…
ガァンッ!
「へぶっ!」
鈍い音とともにフレイがぶつかる
あれだ、下を向いて歩いていたときに電柱にぶつかる痛さ…と言えば分かるだろうか
しかも全力疾走なので痛さ倍増!
……うわっ…痛そ…
グシャ、とフレイが仰向けに倒れる
そしてすぐに額辺りを押さえて
「いっっっっっったぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
ワオ、絶叫だ
わかるわかる、泣けないくらい痛いよなぁ…
でも試合なんで、とりあえず剣を突き付けて
「オレの勝ち」
「うぅ……分かった。私の負―――」
―突然、オレとフレイの横の空間が歪む
「「!!?」」
歪んだそこから出てきたのは装飾のある黒いマントを羽織り、頭部は黒い兜で覆われた――『人』
ソイツの目がオレを捉え、次に口を開いた
「―――貴様か」
その手をオレに向ける
―刹那、ソイツが視界から消え、コロシアムの一角で轟音
次に現れたのは―――
「無事…ですね、良かったです」
フィリスだった
フィリスは、先程轟音があったところを向くとすぐに詠唱を始めた
「《主は無属なれ。主の性は乙女なれ。主の身は常に清められし身なれ…―
そして、主は汝の気に召すものであれ。》」
コロシアムの一角――そこの煙が少しずつ晴れ、あの黒マントの影が現れる
「《我は条件を満たしつる者。故に汝の降臨を望む》―――さぁ、来なさい。私の十八番」
詠唱が終わると同時に、フィリスの足元に大きな魔法陣らしきものが現れる
そこから現れたのは、美しい純白の女神だった
展開が遅い?
重々承知しています
ホントにすいません
~とある日記~
「…今日はとても眠いので、日記は『眠い』だけにしようと思った。
でもこれも日記だよね
…と言い訳し」