リバースアバター編Ⅵ:暴走
「はあ、面倒です。」
そう言って伊原 恒二が、指先を鳴らすと、30人前後の男が現れる。
「こいつら、まさか・・・」
朝日 焔は構える。
「そう、リバースアバターを使用したアバター賭博で敗北して、支配された者達です。鈴木君から買い取ったんですよ。」
人間を完全に物扱いの伊原。
「やれ。」
ステゴロが弱い焔はリンチされる。
「もういい、下がれ・・・」
ボコボコにされた焔を見下ろす。
「本当に、なんで異能を使わないんです?」
「わから、ねえか?異能を、使えば、
すぐに終わっちまうからだよ。」
「なっ!ト、トワイライトはどこだ!私の車はどこだ!」
「気付くのが遅かったなぁ!」
焔は通話中のスマホの画面を恒二に見せる。
『任務完了だ、朝日焔。』
スマホからトワイライトの声がする。
「スマートフォン、そんな旧世代の情報デバイスを・・・いや、それより、トワイライト!君は今どこにいる!」
「お前が今使ってる研究所だ。車に付いてたナビの走行記録からのお前の研究所を特定し、その研究所内のリバースアバターに関するデータを、コピーして統一理事会に提出した上で、削除。それが俺がトワイライトに課した任務だ。」
「な、何!リ、リバースアバターは統一理事会の極秘認可を受けていない研究!それを報告された!まずいまずいまずい!」
ボロボロのまま、フラフラでも立ち上がる焔。
「時間稼ぎが終わったんだ・・・
スクラップの時間だぜ!!!」
異能演算領域と生体プログラムを接続し、炎を捻出する。
「やれ!」
伊原の指示に従い、支配された男たちが焔に襲いかかるが・・・
「洒落臭ええええええ!!!」
圧倒的な炎の捻出量で支配された男たちを一瞬で焼き殺す。
「しゅ、瞬殺・・・流石はランクEXですね。」
「どうする?大人しく降伏するか、それとも・・・」
焔の言葉を遮り両手を上げる恒二。
「降参だ。私はまだ死ぬわけには行かないからね。」
「あっけねえな。だがまあ、平和的解決が一番良いか。」
恒二の手の甲、焔からは死角になっている場所に、注射器を隠し持っている。
「やっぱり、詰めが甘いね。」
「あ?なっ!」
隠し持っていた注射器で中の液体を焔の左手首に注射する恒二。
「な、何打ち込みやがった!?」
「強化剤ハザード。私が開発した異能力者を更なるステージへ進化させるお薬だ。ただし、副作用もある。」
「ゔっ!あ、あああ、
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
『どうした!朝日焔!何があった。』
スマホ越しである為に、
「能力の暴走だよ。トワイライト。」
『暴走!?』
「そう、強化剤を生体プログラムが刻まれている左手首に打ち込むことで生体プログラムと接続している異能演算領域にも浸透していく。そして、脳の特定部位にも強化剤が浸透することで闘争本能を過剰に活性化させる、結果として野獣の様に暴れ回る暴走が引き起こされる。」
「あああ!ゔああああああ!!!ぐッ!ゔッ!!!ああああああああああああ!!!」
黒い炎を発現させ、周囲を燃やしまくる焔。
「んー、いいですね。『神人類計画』の応用、強化剤ハザードは完成だ。」
デバイスで暴走する焔の様子を撮影する伊原。
そこへ、伊原が乗ってきた黒い車が到着する。
「これの!どこが完成なんだ!マスター!」
トワイライトが戻ってくる。
「やあ、トワイライト。普通に裏切っておいてまだマスター呼びかい?」
撮影を続けながらトワイライトに話しかける伊原。
「じゃあ、伊原!あれのどこが完成なんだ!」
「どこがって?焔は現代科学では説明できない黒い炎を発現させた。まあ、それはランクEXの彼だからここまでの効果が出た面もあるが・・・異能は進化しているじゃないか?」
「その結果引き起こされる暴走を制御出来ていないなら、それは完成とは言えない!」
鬼気迫る表情で詰め寄るトワイライト。だが、当の伊原はどこ吹く風だ。
「あのね、暴走は本人が制御するものだよ。異能を進化させることが重要で、それ以外は些事さ。じゃあ、そろそろ私の身が危ないので、失礼させてもらうよ。」
そう言って、トワイライトが乗ってきた車でそそくさと逃げる伊原。
「ゔッ!あああああ!!!いいいいはああああらああああああああああああああああああああ!!!」
焔の背中から黒い炎を翼の様に噴出し、その状態で焔は浮遊する。
「何がどうなっているんだ!」
「お、おい、あれ!」
「なんだあれ?」
「黒い、炎?」
道ゆく人々が、上空に浮遊する焔を見上げる。
「グハハハハハハハハハハ!!!アハハハハハハハハハハ!エハハハ!アハッ!!!全部ぶっ壊して!全部叩き壊して!滅ぼしてやる!この街ごと!伊原の野郎をよおおおお!!!」
札幌校に突入し、鈴木 太郎の元へ向かおうとしていた、早坂 零斗、早坂 一途、長崎 勝也も上空の焔を目撃する。
「あれって・・・朝日、焔?」
「なあ勝也、あれなんかやばくね?」
「ああ、放火する気じゃ・・・」
その瞬間、焔から放出された大量の炎が街に降り注ぐ。
「「「なっ!!!」」」
その光景を見て、焔の元へ向かう3人。
「何がどうなってんのかわからんが、とにかく止めるぞ!」
浮遊する焔の近くまで来た3人。そこそこの高さのビルの屋上へ上る。
「朝日焔!」
「ああ?早坂一途うううう!ああ、抑えられねえ!力もお!感情もおおお!アハッ!今ならお前にも勝てそうだぜええ!ブハハハハハハハッ!」
零斗と勝也を右手で制す一途。
「二人とも、下がってて。」
登場キャラクター紹介
朝日 礼夢
性別女身長160cm体重ナイショ誕生日4/30年齢15歳
朝日焔の妹。焔と同じ赤い目に白い髪をボブにした美少女。Dカップ。小5の時点でほぼほぼ今の身長だった。本人は身長が伸びないことを気にしてるが、冷静に考えて女性で160cmはそこそこ高い方。
性格は明るく、寂しがり。ブラコンで焔のことが大好き。父の恒二を反面教師に育ったため、正義感が強く悪逆非道を嫌悪している。
サウンドクローン計画のことも知っているが、焔の事は被害者と認識しており、その心の傷に寄り添いたいと思った結果、元々は普通の兄妹の距離感だったがブラコン化した。
兄の影響で昔からよくロックを聴いていたが、ラップパートのある曲からラップにハマり、フリースタイルの言葉で殴り合う感じが好きとのこと。
異能力者ではない。
好きなものはお兄ちゃん、ラップ、お兄ちゃんの料理、冬。
嫌いなものは虫全般、差別、いじめ。
特技はラップ。
苦手な物は暴力。




