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異能戦線-Chronos or BASIC-  作者: 崇詞
入学編
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入学編III:実戦訓練

「『異能、不明。ランク、測定不能』・・・だって。」

 早坂 零斗(はやさか れいと)異能測定(スキルキャン)の結果に対して、

「それはおかしいな。異能が発現している以上、『BASIC』は何らかのプログラムに変化している筈だ。」

 長崎 勝也(ながさき かつや)がその異常性を説明する。

「それを専用の機械で読み取るのだから測定不能の結果はあり得ない。仮に未知の異能だとしてもプログラムを解析すればどの様な異能かわかる。測定不能、それでは異能が発現していない筈だ。」

「そうなんだ・・・」

「零斗、お前の異能はどう言ったものだ。」

「なんか見えない斬撃が出せる。」

「他は?」

「あとは・・・いや、それだけだよ。」

「そうか。入学試験の実技はどうしたんだ?測定不能ならアバターでは異能が使えないだろ?」

「使えたよ?」

「使えたのか!ますます正体不明だな・・・・・」

「あー・・・長崎、もう良いか?次の指示が出せない。」

 零斗の異能について考える勝也に巡戸 進次郎(めぐるど しんじろう)がストップをかける。

「申し訳ありません、先生。」

「いや、いい。早坂の能力に関しては俺も、統一理事会も同意見だ。」

「そうですか。」

「集合!男女別出席番号二列!」

「はい!」

 生徒は返事をして男女に別れ、出席番号順に一列づつ並ぶ。

「結果の紙に『支援型』と書いてあった者は今日は見学、次回以降はアバター訓練室ではなく、実技室に迎え。」

 クラスの数名が観戦室に入る。『支援型』と書かれていた人達だろう。

「そして、何も書いてない者は、これよりアバターを使って一対一の実戦訓練を行う!」




「まず第一試合、早坂対音霊(おとだま)だ。すぐに準備しろ。」

「はい!」

「早速零斗とか!」

 アバター訓練室は対戦場と観戦席、そしてアバター室があり、人一人が横になれる大きさのアバターカプセルが置いてある。

 その中で仰向けになることで使用者の身体と生体プログラムを読み取り、アバターを対戦場に展開する。

 ちなみにアバターは動かすのに莫大な電力を商品するため、授業や体育祭以外での使用許可はほぼ降りない。

「入学試験でも使ったと思うが、アバターは筋肉や体重などから正確にお前たちの運動能力を再現する。自分の身体と何ら変わらない筈だ。ただし痛覚は十分の一に抑えてある。」

「うおおお!やっぱすげぇな!これ!」

「音霊、はしゃぐな・・・早坂準備は良いか?」

「はい。」

 零斗は返事をする。

「よし、勝敗はアバターの破壊、もしくはどちらかの降参でのみ決する。では・・・・・・・始め!」


「っぐあ!!!!!」


 巡戸先生が開始の合図をして勇牙がパイロキネシスによって両手に炎を纏った瞬間、勇牙の左腕が肩ごと切断される。

 アバターのため出血はないが、何をしたのか全くわからないために生徒達は騒然とする。

「まだ、終わってないぞ、零斗!」

 右腕だけの状態で勇牙は殴りかかってくる。しかし、

「な、何だ!?」

 鈍い音を立てながら勇牙の燃える拳は零斗の左胸の約50cm前で突如停止する。

 その後も、勇牙は繰り返し殴るが、見えない壁に阻まれるように零斗には届かない。

「これで終わり。」

 そう言った直後、大きく拳を振りかぶった勇牙の首が切断される。

「そこまで。」

 巡戸先生の合図で決着する。

 アバターはエネルギーを供給する供給系統と、信号を伝達する伝達系統の二種類の配線が全身に張り巡らせてある。

 その二種の配線は血管、供給系の中枢部は心臓、伝達系の中枢部は脳に見立ててアバターは構築される。

 こうする事でアバターでも心臓、脳、首などの損傷と出血多量の死因を再現することでより実戦に近い訓練を行える。

 その後、勝也対七姫は勝也の圧勝、一歌と紡理は支援型なので見学していた。





「いやー、零斗のあれ、すごかったな!無敵なんじゃないか?」

 授業が終わり、休み時間。勇牙は先程の戦闘訓練を思い返す。

「俺、誇張抜きで完封さらっちまった。対ステゴロなら無敵なんじゃね?」

「零斗、自分がどんな演算をしたか分かるか?」

勝也が零斗に質問する。

「演算?・・・んー、なんか何かを止めるようなイメージで異能を使ってるんだけど・・・」


「おはようございます!」


 零斗達の話を遮り、女子生徒が教室に入ってくる。

「ゆうま!」

「やっほー、零斗!なんだか久しぶりだね!」

「ま、まさか本当に美川(みかわ)ゆうま!す、すごい!デジタルクラス名簿を見た時もしかしてと思ったけど、やっぱり美川ゆうまだ!」

「ふ、楓太?どうした、なんかブチ上がるってるが。」

「アイドル界の超新星、美川ゆうまだよ!知らないの!?今、最も勢いのあるアイドルだよ!」

「う、うん・・・説明ありがとう。」

「いやいや、こちらこそ、一年間同じクラスに居させてくれてありがとう!!!」

「お前それ一年終わってから言うセリフだよ!」

 普段の楓太と掛け離れたドルヲタムーブに勇牙が突っ込む。

「えーっとね、学校では普通のクラスメイトとして接してくれると嬉しいなー、なんて・・・」

「席につけ、ホームルームを始める。」

 いつの間にか教卓に立っていた巡戸先生の号令でみんな席に戻る。

「えー、最後のクラスメイトに対して色々あるとは思うが、先にこの学校での初めての授業はどうだった?たまたまうちのクラスは座学じゃなくて実技教科になってが。」

 巡戸先生の問いかけに生徒はそれぞれの感想を述べる。

「明日からは午前中四校時、午後三校時の授業を受けることになる。中学生気分は卒業して、しっかり気を引き締めて毎日の授業を受けるように!」

「「「「「はい!」」」」」

 生徒が返事をする。

「では最後のクラスメイトを紹介する。美川、自己紹介だ。」

「はい、美川ゆうまです!よろしくお願いします!」

「美川は芸能活動がある為、学校に来ない日や、遅れてくる日、早退する日が多くなる。お前達も気を遣ってやれ。」




 放課後、教室に残った零斗、勇牙、楓太、氷川 七姫(ひかわ なき)司馬 一歌(しば いちか)櫻井 紡理(さくらい つむり)はゆうまとの親睦を深めていた。

 勝也は用事で先に帰った。

「じゃ、改めて美川ゆうまです!ゆうまちゃんって呼んで欲しいな!」

 アイドルらしい元気な挨拶だ。

「零斗とは中学一年までマンションの隣の部屋に住んでた幼馴染だよ!よろしくね!」


「幼馴染みーーーーー!!!?」

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