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13 ヤンキーが子猫可愛がるシーンよく出てくる。



「み、皆さん!落ち着いてくださいっ」

「治療には優先順位がっ!あ!ちょっと君!?」


「皆さん!聞いてください!!俺たちはランクなど関係なく、化け物から人々を避難誘導し、たくさんの命を救うことに専念しました!その結果、未知の生物の攻撃に巻き込まれ、俺の友人がッ‥この急なランク更新はきっとマザーのエラーから起こった一時的な不具合だと俺は考えています!お願いします。どうか、俺の友人を‥ルイを助けてくださいっ」


ケイが一瞬の隙をついて包囲から抜け出す。大きな声にしっかりとしたその態度は、人々を動かすには十分で。頭を下げるケイに人々が同情の目を向ける。俺に向けられていたものとは違う《《それ》》に、俺はただ、またかとそう思った。あぁ、この場から逃げ出したい。今すぐにだ。でないとまた、俺は‥


ーー惨めに傷つけられるの?


「っ、」


いつの間にか俺の手を握っていた少年に、俺は目を見開いた。いつの間にっ、てかこいつどうして現実に現れてんだよっ。少しボヤけている気もするが、確実にあの空間に居た幼き頃の俺だ‥。なにこれリトルリトルドッペルゲンガー‥不気味すぎるだろ!?


ーーなんで呼ばないの?


口が動いてないのに、頭に聴こえる少年の声。ホラーだ。リアルホラー体験。


ーー俺を使えばいいのに。そしたら傷つかなくてすむ。


ニコニコと笑顔の少年に不思議と恐怖は感じなかった。ただ、虚しくなって、俺は俯く。


自信が、無いんだ。いつも何をしても変わらなかった。誰も認めてくれなかった。もしここで何かしたとしても‥きっと丸め込まれて覆される。俺の世界はそんなもんなんだよ結局。


ーー‥悔しくないの?


あぁ‥もう慣れたよ。貶されても侮辱されても平気だ。俺は平気。


ーー‥嘘つき。


スッと消えていく少年に目を細める。仕方ないんだよ。我慢しなくちゃ。どうせ最後は‥全部俺のせいなんだから。


「元々こいつは‥この男は【Dランク】でした!‥なぜこの男がSランクに更新されたのかは分かりません。ただ世界の役に立つ。ランクはそうして決められたはずです。言い難いのですが、こうして言語も上手く話せず、意思疎通すら怪しいこの人物が、世界の役にたてるとは相当思えません。それよりも、皆を救おうとし怪我をした俺たちの友人の方がよっぽど世界の役に立っているのだと俺は思います!皆さんはどうお思いでしょうか!」


「お、同じ考えよ!!」

「そ、そんな奴、やっちまえにいちゃん!」

「そうだそうだ!ランクがなんだ!ランクなんて関係ない!ーーー」


伝染したかのように口を開きだす連中。

俺はただその光景から目を逸らして、両手で耳を塞いだ。平気だ。こんなのいつものことだ。いつもの‥


怖い。いろんな方向から、俺に対する暴言が聞こえてくる。逃げたい。女も子どもも‥俺を悪者のように見てくる。

はは、いつもなんでこんな目に遭うんだろ‥運が無いのか?いつもっいつもっどうして‥。俺が何したっていうんだよっ、


‥もう



消えてえよ‥ーー。


「このもやし野郎っ!びびって震えてんじゃねえか!おら、お前のせいでここの皆んな困ってんだよ!何がSランクだ!お前なんか俺が倒してやるよ!」


チンピラのような男が痺れを切らしたのか、近づいてくる。ケイを止めていた医師や看護師達も、ケイの言葉に感化されたのか気まずそうに俺から視線を逸らした。見事にケイの思惑通り。この場にいる誰もが、俺を悪いものだとそう認識している。俺はもう諦めて、その場でジッとその時を待った。

主人公を引き立てるモブ。序盤にすぐにボコられて、かっこ悪く逃げていくんだ。称賛される主人公は皆んなから感謝されて、片やモブは厄介者として卑下され不運な人生を歩む。そんなモブを助けるやつは誰もいなかった。はい、人生終了のお知らせ。泣けてくるわな、ほんと。


俺をなめきっているのだろう。ニヤリと笑う気持ちの悪い顔が俺の胸ぐらを掴んだ。振り上げられる拳。ダラリと腕から力が抜けて、俺はギュッと瞼を閉じた。あぁでも‥そんなモブを誰かが救ってやる物話が、ひとつあったな‥。なんだっけ‥タケちゃんから借りたファンタジーの小説で


確か‥


「うっせえ。喚くな雑魚がーーー」


世界を支配しようと企む魔王が主人公のーー。


「ッう“がっ!?ーー」


それは一瞬の出来事だった。悲鳴と鈍い音。俺はゆっくりと目を開け、その光景を目の当たりにする。

俺に殴りかかってきた一人の患者が宙にぶっ飛んだーー。



「この世界は【ランク】が全てだ!【ランク】が高けりゃ偉いんだよ!優先されんだよ!そう、お前らが決めたんだろうがぁ?!ーーー。」


「っ、」


長く解けた包帯が、俺の頬を掠める。俺の前に立つ銀色の髪がその場の誰よりもキラキラと輝いていて、俺は初めて、


世界にもこんな綺麗もんがあるんだな‥なんて、

呆然とそう感じていたーーー。




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