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49.■人目:■■すぎるヒーラー

「やぁ。遅れて済まないね。色々と手間取ってしまってさ」

「ギネカもシルヴァは見てねぇだってよ」


 ギルドの地下にクラノスとギネカお二人が帰ってきた。どうやら無事に合流して帰って来られたらしい。ひとまずは良かった。


「私がいなかったばかりに手間をかけちゃったみたいだ。それで、彼の容態は?」

「ああ、すぐに手当てをしたからか命に別状はないってさ」

「まぁ、リグの野郎は頑丈だからな。特に心配はしてなかったがよ」


 ギルドにいる一流のヒーラーたちに治療して貰ったので後は目覚めるのを待つばかり。

 しかしまさかシルヴァが龍の心臓を持って逃げてしまうとは。どうしても、リグと自分の境遇を重ねてしまう。父親に見放されてしまったところとか……。


「んで、シルヴァは龍の心臓を持ち出してどうするつもりなんだよ……?」

「さぁ。私はなーんにも、分からないねぇ。逆に聞きたいくらいさ。どうするのって?」


 ギネカは首を横へ振ってイスに腰を降ろした。

 元々、複製された龍の心臓を使って必要魔力を補う予定だったと言っていたが……。


「複製品は全部私が潰しておいたよ。これで彼の計画は潰えたと思うんだけどなぁ」

「まぁ、考えてもしゃーねーか。んで、サクラとクシフォスは?」

「ああ、クシフォスが眠たそうだったから連れて帰って貰った」


 もういい時間だったのでクシフォスは一度睡眠を取りに帰った。サクラはその送迎。まぁ、今回はこれで一件落着だろう。

 逃げたシルヴァこそ気になるものの――すぐに何かが起きるとは思えなかった。


 まずはリグの回復を待って、そこからどうするか考えよう。


「じゃあ、俺たちも戻ろうか」

「ああ、そうだな」


 と、クラノスと二人で家に帰ろうとしたところ。


「あ、そうだ」


 ギネカから後ろ髪を掴まれるように声をかけられた。


「ね、私も君たちのパーティーに加えてよ」

「は……?」

「え……?」


 振り返って、俺とクラノスは同時に首を傾げた。ギネカの言っている言葉の意味がよく理解できなかったからだ。

 だって彼女はもう既に自分のクランを持っている。(しかも、四大クランの一つ)自分のパーティーだって持っているはずだった。


「お前既にクランあるだろ」

「ああ、もちろん。食客として、ってことさ。個人的な同盟と思ってくれても構わないよ。やっぱり私はメイム君のことが好きなんだよね?」

「俺……ですか?」

「そ! 君は興味深いよ。色々な意味でね」


 色々――多分、その言葉には俺がオメガニアに連なる人間だということも含まれているのだろう。とはいえ、最高峰のヒーラーがパーティーに来てくれるのを断る必要なんてどこにもなかった。


「こちらこそ、お願いします」

「マジかよメイム! こんな奴を入れるのか?」

「失礼だなぁ。こんな奴ってさ? ま、パーティーリーダーの意向には従わないとね?」


 クラノスの肩を小突いて、ギネカは胸を張った。

 まぁ、これでまた――騒がしくなりそうだけど。


「じゃ、私の歓迎パーティーをしておくれよ! さぁ、買い出しに行こうじゃないか!」

「今からかよ!? バカかお前は!」

「バカじゃないし~? 君よりも学はあるよ?」

「むっかつくぜコイツ……」


 なんて言い争いに耳を傾けつつ、ギルドの一階へ戻って来たところ。何やら、カウンターが騒がしいようだ。明らかに焦った様子の兵士さんが、フィリアさんと話していた。


「どうされたんですか? そんなに急いで。まずはお水でも?」

「い、いえ必要ありません! これはロウェンからの報告なのですが! 直ちに今集められるだけのSランク冒険者たちを集めて王城に来て欲しいとのことです!」

「……何があったので?

「さ、さ、さ――災害龍が復活しました! 直に……竜の大群を率いて城下町に到達します!」


 この場にいる誰もが、その言葉に驚いて固まった。

 どうやら――すぐに起きてしまったようだ。

 ……異常が。


 第4章:最強のスタンドプレイヤー<了>

これにて第四章も完結です。ここまで見て頂きありがとうございます。

ぜひ、最後まで楽しんで行ってくださいね!

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