-05- レベルアップ
「ふむ、悪くない」
ルシフ・テスタロッサ
職業:魔王/社長
Lv.57
魔力:21375/21375
スキル:【生殺与奪】、【孤軍奮闘】、【孤立無援】
ドラコたちの経験値を奪い、リゼから借りたスキルと経験値を彼女に返した結果がこのステータスだ。
リゼから能力を取り上げる気はない。そもそも、残業に対する正当な報酬だ。力をなくした俺に付いてきてくれる部下を無碍にするわけにはいかなかった。
彼らから奪ったのは、俺が獲られた能力分のみ。元々彼らが手にしていた能力については剥奪しなかった。聞くところによると、残業を申請したのに残業代が付いていなかったらしい。それで俺に対する不満を抱いていたという。つまり、誰かが勤怠表を改ざんしているということだ。
給与関連は人事部の仕事だ。人事部の誰かがこの件に関わっている。
ドラコを許してやろうと思ったが、それでは示しがつかない。
罰としてリーダーのドラコからスキルを没収した。
レベルが上がり、10歳児から少年の姿に変わった。14歳くらいか?
「さて、これから貴様らには仕事を与えよう」
仕事、というワードに全員の体が硬直した。過去の記憶が呼び起こされたのだろう。
会社を設立して痛い目にあった。もうリゼ以外を迎え入れる気はないから安心しろ。
「俺の元部下どもに伝えろ。能力を取り返しに行く。それまで大人しくしていろ。と」
ドラコたちは首が取れそうになるほど強く頷いた。
ドラコたちは優秀で、魔王復活の知らせは直ぐに知れ渡り、魔物たちの騒乱は下火となった。俺に恐れをなして大人しくしたというよりは、俺を迎え撃つために準備をする期間に入ったというところだろう。
「ルシフ様が大人になっていく……」
リゼは成長した俺の姿を見て、ひどくショックを受けていた。まだリゼの守備範囲内に収まってはいるが、このまま能力の回収を続けていれば、直ぐに大人になってしまう。
レベルが上がって分かったが、俺がLv.57の時の年齢は14歳。
つまり、レベルが上がれば、その時の年齢に戻ることが出来る。
しかし、リゼが俺に従う条件の1つに、子供の姿でい続けるというものがある。
能力を回収すれば大人になってリゼが離れていくし、リゼを留めさせるためには能力を回収してはならない。まさしくジレンマだ。
ただ能力を回収しつつ、リゼの要求を叶える方法が1つだけあった。
【万古長青】見た目や感情など自分に及ぶ変化を防止し、現状を維持できるスキルだ。
それを使えば、この成長を止めることが出来る。正直、使い道の分からないスキルであり、これまで一度も使ったことがなかった。が、こんなところで役に立つとは思わなかった。そこまで有用なスキルではないし、役職が低い者に与えられているはずだ。
しかし、それを探す方法が分からなかった。
「リゼ。1つだけ方法がある」
俺はその旨をリゼに伝えた。