8話、数の暴力
〈4日目の朝〉
「そういえば、家族とアイツらは無事かな?」
俺はライフライン料を払った後にある事を思い出す。
「何か連絡はないのですか?」
「正直、何もないな」
家族は分からないが、数少ない友人達はしぶといと思うから大丈夫か。
「マスターのご友人はどんな方なのですか?」
「簡単に説明すると、忍者口調のなりきり男と、残念少女だな」
「か、変わった人達なのですね」
「まぁな」
俺はある意味変人に好かれていたみたいだ。
「普通なら避難しているはずだが、アイツらは多分していないな」
そろそろ拾いに行かないとマズイか?
「朝ごはんを食べたら会いに行くのも良さそうですね」
「そうだな」
俺達は朝ごはんを食べて準備をした後、家の外に出る。
俺とマリナな家の外に出て5分後
「マリナ、言いたい事があるのだが言ってもいいか?」
「はい、マスター」
目の前の光景を見ながら
「なんでこんなに〈野犬〉がいるんだよ!?」
大きめの道路に出ると〈野犬〉の群れと遭遇して戦闘になったが
「最初10匹くらいだったよな。なんで50匹くらいになっているんだ!?」
「それよりもマスター、モンスターを倒さないと進めないですよ!」
「そんな事は分かっている」
俺は喋りながらハンドガンで撃ちまくっているが、一向にモンスターが減らない。
「〈サークル・エッジ!〉このままではキツイですよ」
「いや、こっちに流れて来る数は減っているから粘ればいけるぞ」
術力が持つかどうかが心配だが、一発当てたら〈野犬〉は大体倒せるので
「〈回復弾!〉マリナ、大丈夫か?」
「はい! 防具のお陰でかすり傷しか無いですよ」
何とか戦えているが、こっちにも〈野犬〉が襲って来ているので、中々援護が出来ない。
「これは、マズイ! マリナ、一旦撤退するぞ」
「わ、わかりました」
戦闘から約1時間後、俺達は全力火力で〈野犬〉の包囲網を突破して距離を取る。
「わあぁ、追いかけて来ますよ!」
「いや、これでいい」
俺は追いかけて来る〈野犬〉をハンドガンで迎撃しながら
「マリナ、そこに入っている生ゴミを投げつけるんだ!」
「は、はい!」
マリナにゴミ捨て場にある生ゴミを〈野犬〉に投げつける指示を出して投げつけてもらうと
『グルル』
と生ゴミを受けた奴らはそっちに集中したみたいなので
「後は逃げるのみ!」
「り、了解です」
俺達は戦線を離脱する。
そして、裏路地まで逃げて追いかけて来るモンスターがいない事を確認してへたり込む。
「ハァハァ、かなりしんどい」
「私はまだ大丈夫ですが、何か危険を感じたのですか?」
「あぁ、〈危険探知〉で強力なモンスターが近づいている事が分かったから無理矢理にでも離脱したんだ」
恐らく、中ボス辺りだと思うが今の戦力では当たるとキツイ。
「やはりですか……。でも、このままだとジリ貧ですよ」
「さっきの戦闘でも100匹以上の〈野犬〉を倒しているからある程度のポイントはあると思うぞ」
ただ、戦力の方は何とかしたいな。
そう思っていると近くで戦闘音が聞こえたので
「何か起きているのですか?」
「逆に起きてなかったら戦闘音なんて聞こえて来ないと思うぞ」
マリナに突っ込みを入れながら見てみると
「ヒャッハー! ポイント稼ぎ放題だ!」
「そうっすね、頭」
「撤退戦でござろう! なんでまともに戦っているのでごさる」
「棟梁、僕達が抑えられる数では無いですよ」
……、アイツら!
俺はその光景を見て頭を抱える。
「マスター、何かあったのですか?」
「マリナ、俺が言っていた友人の事を覚えているか?」
「えっ、まさか!」
俺とマリナが裏路地から覗いている奴らが俺の友人なのだ。
「あのヒャッハーと言っている残念女子が〈小峰彩葉〉だ。もう1人の忍者口調の男は〈服部裕一〉。後の2人は恐らくユニットだな」
やはりメチャクチャなのは変わりない。
「あぁ、何故ここに坂上殿がいないのでござるか! 拙者1人では小峰嬢の暴走が止められないでござる!」
「アイツがこの光景を見たらアタシはアイツにシバかれるから、いない今がやり放題だ」
「「マスター」」
なんか悲しくなって来るが……、服部、お前も俺がいる時は小峰側じゃないか……。
「でもマスター、このままだとあの人達がやられますよ」
「だよな。ただ、あの状況の中に入りたくはないんだよな」
まぁ、仕方ないか!
「マリナ、あまり行きたくないが行くぞ!」
「了解!」
俺達は態勢を整えたので、服部達を襲っている〈野犬〉の群れに不意打ちをかける。
「坂上殿! 助かったのでござる!」
「久しぶりだな服部。お前、少しは俺の苦労が分かったか?」
俺はハンドガンで、服部は刀で〈野犬〉を迎撃しているが
「ヒャッハー! 零也、久しぶりだな。アタシ達は今モンスター狩りをしているが、お前も入るか」
「小峰、お前は相変わらずバカだな……。この状況だとお前らが襲われているとしか見えないぞ」
「ハハハ、当たりだ」
「お前、後でシバく」
小峰が盾で〈野犬〉を殴って紫の霧に変えているが
「マスター、これなら何とか倒しきれませんか?」
「そうだな。数的に何とかなりそうだ」
「坂上殿の助力のお陰でかなりモンスターが減って来ているのでござる」
それから30分後、何とか倒しきったので小峰を殴ってから裏路地に避難する。




