塔に向かう
俺とルードの視線はマリナの方に向いているが
「塔の近くに行ってみませんか?」
「そう来たか……」
「…………」
その意見に俺は頭を抑えてルードは固まっている。
「確かに俺も塔は気になっているが、かなり嫌な予感がするんだが」
「オレはマリナの意見に賛成だが、このまま行っても大丈夫なのか?」
「戦力的には大丈夫だと思いますよ」
それなら大丈夫か?
「まぁ、一回行ってみるか。正直俺も気になっていたからな」
もしかすると何かあるかもしれないと考えてしまう。
「では行きますか」
俺達はそう言って出発したが数分後
「やはりこうなるか」
いつも通り〈野犬〉の群れと遭遇して戦闘になるが
「この程度なら相手にならない」
意外とルードの戦闘力が高かったのと
「マスター、今日はまだ少ないですね」
マリナが普通に倒している所を見て
「そうだな。それに雑魚ばかりだから術力の消費も抑えられる」
〈通常弾〉で倒して数を減らしていく。
「オレもここまで戦えるとは」
ナイフの二刀流で相手を斬り伏せているルードを見ながら
「ルード様は普通に戦えていますね」
「そうだな」
細かい連携の話し合いとかもいるかもしれないが、このままでもある程度は進めるな。
「リーダー、近くに人がいるみたいだ」
「何とか会わない様に行けるか?」
「少し遠回りになるが行けるぞ」
時間的にまだ余裕があるから大丈夫か。
「やはり召喚士の確率が高そうですね」
「普通に考えれば召喚士が自衛隊のどちらかだろうな」
一般人が外に出る事は殆ど無いと思うが
「ただ、どっちにしても避けるのが安定だ」
前みたいな事はゴメンだと思いながら移動する。
「リーダー、人間の大半は安全エリアに逃げ込んでいるのか?」
「多分そうだと思う」
ルードは俺の回答を聞いた後、何かを悩んでいる仕草をしているので
「何か気になる事があるのですか?」
「あぁ、周りにモンスターが少ない事が気になってな」
「それは偶々ではないですか?」
「あの塔から離れているならそうだが、今はかなり近いのにそう言えるのか?」
確かにそうなんだが
「まさか、私達は何かの罠にかかったのですか?」
「その可能性もあるが、1番高い可能性は安全エリアに居る人間を襲いに行った事だな」
安全エリアの人間を襲いに行く?
「ルード様、安全エリアの中にいれば住民の安全では無いのですか?」
マリナの言葉に俺も頷くが
「正確に言えば安全エリアの中はだ。つまり周りにモンスターがいれば普通の住民は外に出た瞬間に襲われて終わりだな」
「「…………」」
確かにその考えはなかった。
「でも……、普通のモンスターにそんな考える頭がないと思いますか?」
「普通のモンスターだったらそうだと思うが、ボスが関係していたらどうだ?」
「それは厄介だな。ただ、向こうに行っているなら俺達はボスと鉢合わせしなくても大丈夫か」
なのでこちらは進めると思うが
「ただ、塔には強いモンスターがいる可能性も高いよな」
双眼鏡では特に何も無かったが、何かありそうで怖い……。
「マスター、アレを見てください!」
マリナがいきなり指を指した方向には
「〈野犬〉いや、緑の毛皮の犬か?」
「オレの鑑定スキルではレアモンスターの〈グリーン・ドック〉と出ている」
レアモンスターか、ここで倒しておくのもいいな
「周りには〈野犬〉と〈グリーン・ドック〉しかいないからチャンスか」
俺はホルスターから取り出した二丁拳銃を構えると
「行きます!」
まずはマリナが先陣を切って攻撃を仕掛けるが、〈野犬〉が阻んだ。
「やはり連携は取れているか!」
ルードも〈野犬〉の相手をしていて動けないみたいなので
「とりあえず援護する」
俺はひたすら通常弾で〈野犬〉を倒すが〈グリーン・ドック〉は
「ルード様、そちらに行きましたよ!」
「チッ、ややこしい」
ルードの方に攻撃を集中し始めたので
「マリナ、ルードを援護できるか?」
「少し苦しいですが大丈夫ですよ」
俺は壁を背にしながら撃ちまくっているが
「いつもの〈野犬〉よりも強くなっているのが厄介だな」
ただ、これ以上は時間をかけてられないので無理矢理攻撃して
「これでどうです!」
マリナが〈サークル・エッジ〉を〈グリーン・ドック〉に叩き込んでなんとか倒す。
「〈野犬〉の群れも倒し終わったがこのままだとどうしようもないな」
「それと、向こうは数が多いので対処がキツイのが現状ですよね」
そう呟きながら俺達は何か方法がないかを探し始める。




